2005年03月27日

愛・地球博の行方・・・

万博幻想(ちくま新書 526)
吉見俊哉著


今世紀最初の万博、愛・地球博が開幕しました。 それに合わせたかのようなタイムリーな出版。

1970年(管理人の生まれる以前・・・)の大阪万博は、高度成長を遂げた日本の、輝かしい未来の象徴でした。しかしながら万博の裏側には、誘致によって開催地の経済効果を当て込んだ、政治的な思惑が常に付きまとっています。沖縄の“本土並み”発展を目論んだ海洋博。首都機能移転問題と絡んだ、つくばの科学万博。そして、オリンピック誘致に敗れた名古屋のルサンチマンに端を発する、愛・地球博。

愛・地球博に当事者として関わった著者は、博覧会が経済発展による「輝かしい未来」信仰から、環境博覧会へと変貌する過程を目の当たりにします。“ミスター万博”堺屋太一をはじめとする知識人や市民運動が、万博の歴史とどう関わってきたのかも、興味深く描かれています。新書とはいえ300ページの、読み応えあるボリュームです。

果たして、愛・地球博は我々に何を残してくれるのでしょうか?


(3月27日読了)



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2005年03月22日

2005年は何の年?

夜の物理学
竹内薫著


2005年は、かのアインシュタインが相対性理論を発表してから100年、そして彼の没後50年にあたります。そんなわけで、今年は国連の世界物理年だそうです。(http://www.wyp2005.jp/)

昼間の物理学が専門の学生を対象にするものなら、本書はビッグバン理論から超ひも理論、インフレーション宇宙にホーキングの虚数宇宙、さらには今のところ証明されていない異端の学説までをエッセイ風に紹介する、物理学の課外授業です。
数式は判らないけれど、宇宙論を楽しみたい!という、管理人のようなブンガク部出身者も多いはず。
(3月21日読了)

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助教授の生き様

宮台真司interviews
宮台真司著

現在最も影響力のある論客の一人、宮台真司。彼の、1994年から2004年の間に雑誌に掲載されたインタビューをまとめたのが、本書です。
青少年の実態やサブカルチャーに強い研究者として90年代前半に頭角を現した彼は、単に時流に乗っていただけでなく、大学助教授という世間に通りのいい肩書きを有効に使ってきたことがわかります。
意外なのは、クルマ好きなこと。BMW323iのモール類をボディカラー化し、複数メーカーの気に入ったエアロをミックスして装着しているそうです。
(2005年3月19日読了)

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2005年03月07日

カルスタよりも、ブクロ。

電子の星
石田衣良著


思い出したように読みたくなる本があります。“池袋ウエストゲートパーク”シリーズです。
行列の出来るラーメン店や電子空間を徘徊するひきこもり青年など、第4作も時代のトピックをさりげなく織り込んでいます。前作でもエコマネー(地域通貨)やレイヴを取り上げていて、石田衣良のアンテナの感度にはいつも唸らされます。
青果業手伝い兼コラム書きのマコト、池袋の王様タカシ、いじめられっ子から組の出世頭にのし上がったサルら、おなじみの登場人物たちの魅力は健在。
読み始めたら止まらないスピーディーな展開に、ほろりとさせるエピソードの絡め具合も毎回絶妙です。

クラブやレイヴなどのサブカルチャー現象を、象牙の塔の方たちが記述するカルチュアル・スタディーズ(通称カルスタ)なる学問がありますが、都市の息づかいと体温が伝わってくる池袋ウエストゲートパークこそ、本物のカルスタでしょう。

(3月6日読了)
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データの欺瞞を見抜け!

子どもが減って何が悪いか!(ちくま新書 511)
赤川学著

潔いタイトル。世間一般で問題になっていることに堂々と異を唱える本には、つい惹かれてしまいますね。
著者は「女性の社会進出が少子化の原因」という通説が、いつの間にか「女性が仕事と子育てを両立できないから少子化が進む」に変貌している現状に疑問を抱きます。前半は社会調査というものがいかに欺瞞に満ちているかを解き明かす、リサーチ・リテラシー論です。そして子育て支援策が決して少子化を食いとめるものではないことを導きます。
しかし著者は男女共同参画社会を否定するのではありません。むしろそれが少子化を助長することになっても男女共同参画社会は推進すべきであり、選択の自由が保障され少子高齢化のリスクを皆が公平に負担する社会を理想とします。
学力低下や少年犯罪、ネットで集団自殺する青年の事件を耳にするたび思います。「生めよ殖やせよ」よりも、ただでさえ少ない子どもたちが無事に育つ環境作りが先決だと。こんな世の中では安心して子どもは生めません。

追記・・・文中にアニメのセリフが散見するのには辟易。
(3月6日読了)
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