2005年03月07日

カルスタよりも、ブクロ。

電子の星
石田衣良著


思い出したように読みたくなる本があります。“池袋ウエストゲートパーク”シリーズです。
行列の出来るラーメン店や電子空間を徘徊するひきこもり青年など、第4作も時代のトピックをさりげなく織り込んでいます。前作でもエコマネー(地域通貨)やレイヴを取り上げていて、石田衣良のアンテナの感度にはいつも唸らされます。
青果業手伝い兼コラム書きのマコト、池袋の王様タカシ、いじめられっ子から組の出世頭にのし上がったサルら、おなじみの登場人物たちの魅力は健在。
読み始めたら止まらないスピーディーな展開に、ほろりとさせるエピソードの絡め具合も毎回絶妙です。

クラブやレイヴなどのサブカルチャー現象を、象牙の塔の方たちが記述するカルチュアル・スタディーズ(通称カルスタ)なる学問がありますが、都市の息づかいと体温が伝わってくる池袋ウエストゲートパークこそ、本物のカルスタでしょう。

(3月6日読了)


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データの欺瞞を見抜け!

子どもが減って何が悪いか!(ちくま新書 511)
赤川学著

潔いタイトル。世間一般で問題になっていることに堂々と異を唱える本には、つい惹かれてしまいますね。
著者は「女性の社会進出が少子化の原因」という通説が、いつの間にか「女性が仕事と子育てを両立できないから少子化が進む」に変貌している現状に疑問を抱きます。前半は社会調査というものがいかに欺瞞に満ちているかを解き明かす、リサーチ・リテラシー論です。そして子育て支援策が決して少子化を食いとめるものではないことを導きます。
しかし著者は男女共同参画社会を否定するのではありません。むしろそれが少子化を助長することになっても男女共同参画社会は推進すべきであり、選択の自由が保障され少子高齢化のリスクを皆が公平に負担する社会を理想とします。
学力低下や少年犯罪、ネットで集団自殺する青年の事件を耳にするたび思います。「生めよ殖やせよ」よりも、ただでさえ少ない子どもたちが無事に育つ環境作りが先決だと。こんな世の中では安心して子どもは生めません。

追記・・・文中にアニメのセリフが散見するのには辟易。
(3月6日読了)
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