2005年05月22日

庭園は宇宙なり




後醍醐天皇、足利尊氏らの帰依を受けた南北朝時代の禅僧・夢想疎石。彼の開山した天龍寺の庭園は、日本庭園を代表する名勝です。
禅の二大宗派は曹洞宗と臨済宗ですが、前者がひたすら坐禅あるのみ(只管打坐)の体育会系なら、禅の境地を造形に表すことに努めた後者は文化系禅と言えるでしょう。庭園のみならず、茶道・華道・能楽など数々の日本の伝統文化は室町期に育まれましたが、その担い手の多くは臨済僧だったそうです。
しかし、いくら高僧とはいえ、庭園の石を古墳から拝借してきたのは罰当たりなのでは…。
建築・デザインに興味のある方、京極夏彦鉄鼠(てっそ)の檻を読んで禅の世界を覗いてみたくなった方は、ご一読いかがでしょうか?
(5月21日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月15日

これぞ、21世紀の教科書!

DNA 上
青木 薫 / Watson James Dewey / Berry Andrew
DNA 下
青木 薫 / Watson James Dewey / Berry Andrew


ブリューゲルの絵画『穀物の収穫』に描かれた小麦は、人の背丈ほどもあります。現在の小麦は品種改良の結果、丈が半分になり、茎を伸ばすことにエネルギーを費やす必要が無いため、種子は大きく栄養価も高くなりました。(口絵より)

ジェームス・ワトソンはDNAの二重らせん構造を発見した、言わずと知れたノーベル賞受賞者です。本書は二重らせん発見50周年を記念して企画されました。
遺伝学の歴史と優生学、二重らせん発見に至るドラマ、バイオビジネスとヒトゲノム計画、DNA鑑定や遺伝子治療の最前線、さらには人間の能力を決めるのは遺伝か環境かという永年の課題まで。生命・遺伝子に関するありとあらゆる知見を網羅した、まさしく21世紀に生きる私たち必読の教科書です。

常に分子生物学の最先端を走ってきたワトソンですが、決して“イケイケドンドン”派ではありません。遺伝子治療推進派ですが倫理問題には慎重であり、ヒトゲノム計画における安易な特許申請も批判しています。

(5月15日読了)
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2005年05月08日

女帝の時代


7世紀の日本に、なぜ数多くの女帝が輩出したのか?
有力な皇位継承候補者が複数並び立ち、なお且つ彼らの年齢が現天皇との世代交代にあたる時期に、スムーズな皇位継承を実現するためのクッションとして女帝を一代挟んだという説には、結構納得しました。皇統の始祖を継体天皇だとすれば、当時(継体朝から100年位)はまだ皇位継承のルールが不明確で紛争が絶えなかったと考えられますから。
それから、大化の改新の蘇我入鹿暗殺実行犯を特定している点でも、興味深い一冊です。学校の教科書で習った歴史に納得いかない方は、楽しめます。
(5月8日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:43| Comment(1) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月05日

主語を無くした日本人


著書放送禁止歌やオウム真理教の内部を撮った映画『A』(スミマセン、映画は守備範囲外なので見ていません…)で知られる森達也は、皆が見て見ぬ振りをする“臭い物の蓋”を取ってしまう人なんだと思います。そんな彼の行動原理は、場の空気を読めない「鈍さ」にあると言います。本書でも「ドキュメンタリー番組にだって編集はある」という身も蓋も無い発言(けれども事実)が飛び出します。
最近一人称の主語が失われている、という指摘には考えさせられました。「私」の主張が「我々」になったり「国家」に拡大していく過程で、思考や発言の主体・責任が曖昧になっていく姿は、このたびのJR福知山線脱線事故におけるJR西日本の企業としての対応のまずさに、端的に現れている気がします。
(5月5日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

助教授の生き様U



前作工学部・水柿助教授の日常で、研究者のおかしな生態を惜しげもなく披露してくれた水柿君と妻の須磨子さん。第二作で水柿助教授はなんとミステリィ作家デビューを果たしてしまいました。大学で本業以外の雑用に追われつつ、小説を書き続ける水柿君。
ますます森助教授・ささきすばる夫妻を連想してしまう…これって、もしかしてノンフィクション?
(5月4日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

もう、騙されない!

世間のウソ
日垣 隆著


殺人者と刑法39条の問題に果敢に取り組み、大ベストセラーとなった消費者ガイド本を斬る、気骨のジャーナリスト・日垣隆。本書は身近で且つタイムリーな話題を取り上げ、常識のウソを次々と暴いてくれます。

宝くじの本当の当選確率は?
中央競馬の収益はどこへ消える?

第一章に興味を引かれたら、もう最後まで一気に読むしかありません。これから始まる裁判員制度についても章が割かれています。
(5月3日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:18| Comment(1) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

4・1/2の神話

四畳半神話大系
森見 登美彦


どこの大学にもいますよね、4年で卒業せずに学園に居座り続ける“キャンパスの主”のようなお方が…。
そんな大先輩や、唾棄すべき人格の同級生に魅入られてしまったお蔭で、薔薇色のキャンパスライフを放棄せざるを得なくなった不幸な(?)男の物語。
新入生の彼は、どんな選択をしたって結局同じような大学生活を送ることになるのです。
四畳半アパートの矮小な宇宙で、終わりなき壮大な神話が繰り返される…
♪いい加減にして〜♪(判らない人が多いでしょう…すみません)
(5月3日読了)
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本当の“リベラリズム”

日常・共同体・アイロニー
宮台 真司 / 仲正 昌樹


宮台真司と仲正昌樹の、4度に渡るトークセッションです。
第1・2回はちょっと難解な思想論ですが、第3回でイラク人質事件、第4回で仲正自身の宗教体験が語られ、徐々に論点が具体化してゆきます。
宮台の語る“自己決定”や“共同体”に、仲正がひとつひとつ意味を問い質していくことで、リベラリズムのあるべき姿を浮き彫りしていく…といった印象です。
宮台の他の著書でも語られていますが、
『憲法とは民から国への命令/法律とは国から民への命令』
『田吾作による天皇利用批判』
『愛国教育で国賊官僚/売国政治家を誅せよ』
にはいつも同感します。自己決定こそ、右翼の本義なり。
(5月1日読了)

追記;以前採り上げた嗤う日本の「ナショナリズム」は、読み終えて「だから何?」という感じで共感を得られなかったのですが、それに比べると本書は(対談形式というのもあってか)すっきりとした読後感が得られました。
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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