2005年06月25日

報復の連鎖



発砲事件に巻き込まれたが、奇跡的に傷ひとつ負わなかった、八木剛士。彼の事件に興味を持った松浦純菜もまた、謎の暴行事件の被害者だった。彼らの住む街の公園には、桜の木の下に死体が埋まっているとの噂があり、そして連続殺人事件が発生…

読者の“こうあってほしい”というハッピーエンドの期待を必ず裏切って、自虐的なまでに物語の世界を破滅に追い込む浦賀和宏ですが、この作品は浦賀未経験者にもさほど抵抗無く読めると思います。
冒頭に引用された坂本龍一のメッセージからも判るように彼はYMOフリークで、報復の連鎖という言葉はこの物語の展開に大きく関わっています。
(6月19日読了)


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2005年06月20日

一国一城の主

家を建てることを普請と言いますが、城作りにおいて“普請”とは堀や石垣を築く土木工事のことで、天守(天守閣は俗称)や御殿などの建築工事は“作事”と呼びます。また、城の基本設計を縄張といって、これを誤ると見掛けは立派でも実戦には向きません。城下町の整備は現代の都市計画にも通じます。城普請は奥が深いのです。

美しい図版や写真を見ているだけでも十分に楽しめる一冊です。一国一城の主になった気分で、自分の理想の城を思い描きましょう。ちなみに著者によると、戦国一の城作り名人は藤堂高虎。理由は・・・読んでみてください。

日本建築の華・城ですが、当時のまま現存しているものは僅かであり、名古屋城や広島城のように太平洋戦争の空襲で失われた名城も少なくありません。非常に残念なことです。

(6月19日読了)


 


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輝け!六連星

昔は嫌いでした。ヘンテコなPCDのホイールを履いた不恰好なスバル(富士重工)車が。
しかし今やレガシィは、BMW3シリーズやアウディA4に比肩しうるプレミアムサルーンに成長したと思います。

スバルを支える職人たち
清水 和夫 / 柴田 充




本書の冒頭にもあるように、車種ごとに固定ファンのいる国産車(例;トヨタのハチロク、日産のGT-R、マツダのロータリー搭載車など)は数あれど、メーカーそのものに熱烈な支持者(スバリスト)がいるスバル車は稀有な存在です。
スバルの職人と言えば、スバル360を生んだ人たちがまず思い浮かびますが、本書の主人公は“てんとう虫”ではありません。国産初のFF車スバル1000、いわばレガシィのご先祖様です。水平対向エンジンやAWD(四輪駆動システム)といった独特の技術が、なぜスバルのアイデンティティとなったのか、職人たちの生の声をお聞きください。

(6月18日読了)

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2005年06月18日

北朝鮮民主化計画?!

現実の向こう
大沢 真幸

宮台真司や東浩紀ほどメジャーではありませんが(失礼!)、精力的に批評活動を展開している社会学者・大澤真幸(オオサワマサチ)。社会学者の本って、大抵難解なカタカナ言葉やカタカナ人名が独り歩きしているものですが、彼のこの著書は非常にわかりやすい主張で溢れています。
第1章は平和憲法について。なんと北朝鮮を民主化させるためのプロセスを、かなり具体的に提案しています。
第2章は時代論で、松本清張の『砂の器』が書かれた1960年代と、TVドラマ化(2004年)された現代を比較しています。これがかなりの“深読み”なんです。
第3章はオウム真理教(現アーレフ)論。ここで再び具体的提言。信者が社会と共存するためには、麻原彰晃を裏切ってユダとなれ!と説くのです。
愚直なまでにわかりやすい提言の数々。賛否の程は、皆様がそれぞれにお読みになってご判断ください。
(6月15日読了)
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2005年06月12日

竹島、尖閣、北方領土…

日本の国境
山田 吉彦


狭いニッポン…とはよく言いますが、日本の排他的経済水域の広さはなんと世界第6位。
日本は孤立した島国ではなく、海の上で多くの国々と国境を接していることを、私たちは知らなければなりません。

海はまた、単に国と国とを隔てる水の壁ではなく、天然資源の宝庫です。
中国が近年になって、尖閣諸島の領有を主張し始めたのは、著しい経済成長にエネルギー供給が追いつかない苦しい台所事情の現れであります。

竹島の行方については、著者は悲観的です。
日本が竹島の領有を宣言してから韓国が実効支配を始めるまでよりも、韓国の実効支配期間のほうが長くなっており、また国際司法裁判所への提訴には両国の同意が必要だからです(いっそ爆破して無くしてしまいたい…?)。

この本を読んで何よりも心に残ったのは、日々長大な日本の国境を守っている海上保安官の存在であり、改めて敬意を表します。

(6月6日読了)


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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月06日

呪いのパンツ



パンツを脱いだサル

タレント学者の嚆矢であり衆議院議員にも当選、しかし脳梗塞に倒れた栗本慎一郎が、帰ってきました。
ヒトは単なる裸のサルではなく、言語や貨幣や文字通りパンツといった過剰なモノを身に着けているという経済人類学的世界像を提示した『パンツをはいたサル』に、9.11後の世界情勢を加味して本書は書かれています。

本書の骨子は、無限に自己増殖する人類史上最強の巨大パンツ「貨幣=グローバルマネー」の行方でしょう。ジョルジュ・バタイユが人間の過剰な消費欲を“呪われた部分”と呼んだように、それは脱げない呪いのパンツです。その背景に、経済人類学の祖ポランニーを生んだ民族、カザール系ユダヤ人=アシュケナージの人脈を見ます。
世界国家は有り得ない、なぜなら国家間に経済格差があるほうが貨幣の増殖に都合がいいから、との指摘には同感。エントロピーの法則と同じですね(ただ、熱とは逆にお金は低いところから高いところへ流れて行きますが…余談)。

黙示録だのフリーメーソンだのオカルト・タームが頻出する、凡百のユダヤ陰謀本とは一線を画しています。
しかし、ビートルズのサブリミナル戦略について引用されるウィルソン・ブライアン・キイの『メディア・セックス』がトンデモ本と評される現在、栗本先生がしばらく見ない間に陰謀史観に染まってしまったのでは…と心配になったことを付け加えておきます。

(6月5日読了)

posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月05日

萌える資本主義

萌え萌えジャパン
堀田 純司著


サブタイトルは“二兆円市場の萌える構造”
これはキャラクターライセンス市場の規模であって、日本のコンテンツ産業全体の総売上は12兆円(2003年)にもなるそうです。

メイドカフェ、抱き枕、等身大フィギュアなどのディープな萌え市場に果敢に取材。知らない萌え用語(あほ毛って何?)が頻出し、各章末の注釈は濃すぎて、余計に何がなんだか解りません!
萌え市場の動向に疎い活字派人間には、奈須きのこについての記事が興味深く読めました。

最終節で著者が述べているように、オタク=ひきこもりという固定観念は全くの誤りであると、認識を新たにしました。萌え商品のコレクションに要する費用は、働いていない人間に負担できるものではありません。
また、お目当ての商品を手にするために行列したり、同好の士と情報を交換したり、コミケ等のイベントに参加したりと、萌え市場の担い手たちは行動的で社交的人なたちでもあるようです。

(6月5日読了)

posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 芸術・娯楽交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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