2005年08月28日

『憲法力』は『ことば力』

憲法力
大塚英志〔著〕

日本国憲法草案はわずか9日間で創られた。
この事実は“憲法押し付け論”の論拠のひとつでもありますが、逆に言えば誰にだって憲法を創ることができると、大塚英志は“憲法前文を書こう”運動を勧めてきました。
自ら憲法前文を書くことによって、憲法における「We」とは誰なのか(全人類なのか日本国民なのか)を考えるきっかけとなります。憲法とは民から国への命令ですから、私たちに最も近い法律なのです。

「大量破壊兵器が見つからないからといって、大量破壊兵器が無かったことにはならない。フセインが見つからないからといって、フセインがいなかったことにはならない」総理大臣のこんなトンデモ発言が国会でまかり通ってしまう我が国ですが、政治家の言葉の軽さを嘆くより、自ら憲法前文を書くことで政治を語ることばを取り戻そうというのが大塚の主張です。
9月11日は総選挙。護憲派も改憲派も創憲派も、柳田國男の言う公民(=群れに流されず選択する有権者)として、自らのことばで考え投票しましょう。

(8月28日読了)


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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 21:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年4月25日

2005年になって既に様々な事件・事故が起きていますが、4月25日のJR福知山線脱線事故は忘れることの出来ない大惨事です。



福知山線は過密ダイヤとは言えない、事故の起こった半径300mのカーブよりも急なカーブは多くはないが他にもある、旧式ATSでも事故は防げた…等、本書は事故の原因として報道された事項に異議を唱えています。
著者が今回の事故の最大の要因として挙げているのは、鉄道関係者に危険視する声さえあるという、事故車両の採用していたボルスタレス台車です。他に、油の焦げるような臭いがしたという乗客の証言からオイルダンパーの損傷や、ブレーキ系統に不具合のあった可能性も指摘しています。
JRの企業体質や運転士の心理といった感情論を避けて、事故原因を純粋に技術的な面から探ろうとする本なので、非・鉄道マニアには初めて目にする用語がズラリ…でした。

(8月21日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学技術交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月17日

パブロフの犬の遠吠え



書物や講演の、特定の言葉だけに過剰に反応し、噛み付き、吠える、困った読者や聴衆たち。まるで条件反射するパブロフの犬のよう。
例えばこんなことが。
仲正昌樹が訳した本に、校正ミスで“レズビアン”を“レズ”と表記した箇所が一部にあったそうです。レズは同性愛者を侮蔑した略称であり、仲正は差別主義者だと激しく糾弾されました。あくまで一部の誤植であるのに(仲正さん、この件をかなり根に持っているみたいです…)。
同様に、インターネットにはびこる書評も、特定の(評者が噛み付きやすい)言葉をあげつらって、本題とは関係の無い自論を展開したものが目に付くそうです。
人の話を聞かずに、自己主張ばかりする。そんな困った“ワン君”たちへのお叱りが、一冊の本となっております。
(8月16日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 21:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月16日

ウラ日本史

南朝全史
森茂暁著
京極夏彦の狂骨の夢に、後南朝というものが出てきます。
学校で習う1392年の足利義満による南北朝統一後も、実は南朝は一定の勢力を保っており、それを後南朝と呼ぶそうなのです。
そこで手に取ったのが森茂暁闇の歴史、後南朝でした。同じ著者による南朝通史が本書です。
南北朝の起源は、鎌倉時代の後深草・亀山の兄弟天皇に遡ります。室町幕府が支持する北朝に対し、常に劣勢で見るべきものがないと思われていた南朝ですが、実は本格政権だったことが明らかになってきました。
熊沢天皇など戦後現れた自称天皇たちは、みな南朝の末裔であると称してきました。南朝の歴史こそ、まさしくウラ日本史であります。
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウヨク・サヨクを超えて

言論統制列島
鈴木邦男著 / 斎藤貴男著 / 森達也著

鈴木邦男は、おなじみ民族派新右翼。斎藤貴男は自分の立場は昔から一貫しているのに、いつの間にか周囲に取り残されてサヨク扱い。森達也はオウム真理教(現アーレフ)のドキュメンタリー映画を撮って以来、未だにオウム幹部と間違えられる。
世間との軋轢を恐れず、常に本音で語ってきた三人の、言論統制なき鼎談であります。
タイトル通り、監視カメラ社会、NHKの番組改変圧力疑惑など、国家と管理の問題をタブーなく論じます。特に斎藤貴男の言っていることが真実ならば、我々は恐ろしい社会に住んでいることになります。
本当に、こんなこと書いていいんでしょうか?
この3人に宮崎学が加わったら、さらに過激な本になりそう…
(8月13日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:11| Comment(5) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お祭りワッショイ!

ワールドカップサッカーの盛り上がり、インターネット上でのイラク人質・北朝鮮拉致被害者家族へのバッシング。これらは若者の右傾化でも、ナショナリズムの台頭でもありません。連帯を求める現代人による、瞬間的な『お祭り』だったのです。
『お祭りの時代』もたらした要因として、フリーター・ニート等の若年労働問題、セキュリティ希求がもたらす監視社会化、若者の連帯ツール“ケータイ”を著者は論じます。
企業の雇用抑制による若者の就職難は、既得権益を有した年長世代による若年世代への“たかり”であり、親の経済力に頼る若者とともに“たかりあっている”とする著者の労働観は秀逸です。(8月12日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月06日

妖怪は境界に棲む



妖怪大談義

稀代の妖怪馬鹿・京極夏彦師と、各界のあやかしを愛する者たちとの対談集です。

水木しげる、養老孟司、中沢新一、夢枕獏、アダム・カバット、宮部みゆき、山田野理夫、大塚英志、手塚眞、高田衛、保阪正康、唐沢なをき、小松和彦、西山克、荒俣宏。これだけのメンバーが揃えば読まずにいられません。

文学、民俗学から妖怪図鑑まで、対談のフィールドは多岐に渡ります。
対談を通して明らかになるのは、妖怪とは、都市と自然の境界に現れるものだということです。

本書に刺激され、再び読みたくなって引っ張り出したのが小松和彦氏の著作。
鬼がつくった国・日本
日本の呪い
日本は、妖怪の国だ!

(7月31日読了)
ラベル:京極夏彦
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 07:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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