2005年10月10日

アジアの純真/アジアの陰謀


満州国にヒトラーに追われたユダヤ人を受け入れようとした「フグ計画」。
ハンガリー・フィンランドから日本に至る、ウラル=アルタイ語族の一大連帯を謳った「ツラン民族運動」。
戦前の日本の大陸戦略は、ユーラシア全域に亘る壮大な民族運動と複雑に絡み合っていました。そこでは近代史に名を残す人物たちが暗躍し、歴史的想像力を刺激してやみません。

亡命ユダヤ人にビザを発給し日本のシンドラーと呼ばれた、杉原千畝。
騎馬民族征服王朝説で史学界に衝撃を与えた、江上波夫。
アメリカとの世界最終戦争を予言した異色の軍人、石原莞爾。
中国・辛亥革命の指導者、孫文。
大本教のカリスマ、出口王仁三郎。
源義経=ジンギスカン説を唱えた、小谷部全一郎。

しかしながら、未知なる大陸への純粋なロマンは、日本のアジア支配を実現するための陰謀に容易に利用されました。例えば騎馬民族説は、日本の大陸進出を正当化するイデオロギーともなったのです。学術調査とは、そのまま大陸における情報収集活動でありました。
戦後60年目の読書の秋。こんな近代の裏面史を読んでみるのも一興ではないでしょうか。
(10月10日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:28| Comment(5) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス



年に1冊のペースで刊行される井沢元彦の『逆説』シリーズ、その最新刊であります。今回の主人公は徳川家康です。関ヶ原の戦い、大阪の陣、そして江戸幕府の統治システムを三本柱に、二百六十余年の長きにわたって江戸時代が続いた謎を“井沢流”に解き明かします。
井沢流の真髄は、史料に書き残されなかった歴史を、日本人の宗教観や当時の国際情勢といった史学界以外の“常識”から推理しようというものです。
徳川氏には御三家というものがあります。言わずと知れた尾張・紀伊・水戸の三家です。さらに江戸中期には御三卿というのも出来ました。こちらは田安・一橋・清水の三家で、一橋家から出たのが最後の将軍、慶喜です。
御三卿のうち、田安・一橋両家を創設したのは八代将軍吉宗ですが、彼は紀伊家の出身です。七代将軍家継が夭折し、尾張家との激しい後継争いを制して将軍となりました。このままでは紀伊系将軍の血が絶えた場合、尾張家の復讐を招く恐れがあります。そこで紀伊家の血統を守るために生まれたのが御三卿だというのです。
そもそも将軍の後継が絶えた場合にどうするか明文化されていないのが、紀伊家と尾張家の争いを生んだ原因ですが、有事を明文化しないのが日本人の宗教観『言霊信仰』である…これが井沢の持論です。
もう一つの御三家・水戸家は天下の副将軍と呼ばれながら、将軍の後継候補にはなっていません。何故か…これに対する井沢の解答も面白いですよ。
(10月9日読了)

posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 21:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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