2005年11月27日

♪も〜もたろさん、桃太郎さん♪

ミステリーには、歴史をテーマにした作品が数多くあります。
歴史ミステリーは、現代の人物が歴史上の謎、もしくは歴史に絡んだ現代の事件に挑みます。時代ミステリーと言った場合、物語の舞台そのものが過去です。

QED鬼の城伝説
高田 崇史著



高田崇史の『QED』シリーズは、実際の歴史上の謎と、歴史に絡んだ現代の事件の、両方を見事に解決する稀有な作品であります。
本作の舞台は、岡山。日本で最もメジャーな昔話、桃太郎のふるさとです。桃太郎のモデルとされる吉備津彦を祀る、吉備津神社。そこに伝わる鳴釜神事は、釜の鳴る音で吉凶を占います。
一方、総社市の旧家・鬼野辺家には、鳴ると凶事が起こるという大釜が伝わっています。薬剤師・棚旗奈々と妹の沙織、ジャーナリスト小松崎の三人は、旅先の岡山で、鬼野辺家長男の悲惨な死に遭遇します。
事件を解明するのは、遅れてやってきた桑原崇。寺社巡りが趣味で、タタルとあだ名される薬剤師です。彼が桃太郎伝説や、古代の山城・鬼の城の謎に迫ります。
鬼退治の物語が大和朝廷の征服神話であるとの説は既に定着していますが、桃太郎の登場人物を記紀神話の人物に当てはめて、神話に隠された鬼の歴史を解き明かすタタルの語り口には、改めて納得させられます。
(11月27日読了)
高田崇史公認ファンサイトclub TAKATAKAT




posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

タフな奴ら。

生物が生きていくためには太陽が必要…だと学校で習った記憶のある方は多いと思いますが、実は太陽の光が届かない深海や地底にも、豊かな生命の世界が広がっていることが明らかになってきました。



暗黒の深海底の、数百度にもなる熱水噴出孔。そこにはチューブワームが群生し、シロウリガイやシンカイヒバリガイの生態系があります。熱水噴出孔は、最初の生命が誕生した場所と考えられるようになってきました。
さらに驚くべきは地下生物圏の存在です。地下の岩石の隙間には微生物の世界があり、地下微生物の総量(バイオマス)は2兆トン(炭素重量)と推定され、これは全ての動植物のバイオマス1兆トンをはるかに上回ります。
深海や地下深くの過酷な環境で生きる、タフな奴ら。そこは彼らにとっては快適な環境なのです。
そこから導き出されるのが、地球外生命の存在。太陽から遠く離れていても、そこに水と熱源があれば生命が存在することは可能です。
もっとも期待されている天体は、木星の衛星・エウロパです。表面を覆う氷塊の下には、海があることが確実視されています。
生命の大いなるに可能性に魅了される一冊です。

2007年9月18日放送
NHK総合プロフェッショナル「地の果てにこそ、真実がある 生物学者・長沼毅」

(11月26日読了)
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2005年11月26日

誰もがナショナリスト

誰しもが自分の生まれ育った地には、特別な思い入れがあることでしょう。日本の某ノーベル文学賞作家は「ナショナリズムは諸悪の根源」とのたまったそうですが、ナショナリズムとは何も特殊な主義主張ではなく、人類普遍の思考であります。

★ナショナリズム(愛国心)とパトリオティズム(愛郷心)は正確には違うのですが、ここではパトリオティズムも広義のナショナリズムとしておきます。



自他共に認めるサヨク(?)、島田雅彦のナショナリスト宣言という、意外性に惹かれて読んでみました。
本書を貫くのは、反戦主義と反米主義。島田といえばロシア語学科卒業ですが、その道を選んだのはアメリカン・ポップ・カルチャーへの反発と言いますから、筋金入りの反米主義者のようです。
「腰抜けな」ナショナリストにしては、北朝鮮の金正男が偽造パスポートで入国した時には彼を拉致すべきだったと、意外と強硬な意見も書いています。
自らを生み育んだ国を愛し、その行く末を憂えるのは、健全な態度であると思います。
(11月26日読了)
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2005年11月23日

トーキョー・ダイビング

地球の気候は、寒冷化と温暖化を繰り返しています。氷河期は今よりも海面が低く、日本列島は大陸と地続きでした。縄文時代の日本は今よりも温暖で、東京の低地は海の底だったのです(縄文海進)。

アースダイバー
中沢 新一著


アースダイバーとは、水中深く潜った水鳥が持ち帰った泥が陸地のもとになったいう、ネイティヴ・アメリカンの創世神話です。現代のアースダイバー・中沢新一は、アスファルトに覆われた東京の地下に眠る、縄文時代の海岸線へ潜ります。
坂の多い都市、東京。坂を上った高台は、縄文時代には海へ突き出した岬で、そこは死者を埋葬する聖地であり、現在も神社や寺となっています。坂を下りたところは、当時は入り江でした。
世界に冠たる文明都市ながら、至るところに縄文の野生の息づかいが聞こえる、異形の都市・東京。中沢は、東京の成り立ちの物語を通して、資本主義経済という現代の神話を語ります。
語りは、騙りなり。彼の本職は学者ではなく、シャーマンなのかもしれません(良い意味で!)。
(11月23日読了)
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2005年11月20日

はるかなる飛鳥

11月13日、蘇我入鹿邸があったとされる甘樫丘東麓遺跡で、建物跡が発掘されました。
飛鳥時代最大の豪族・蘇我氏のルーツは、神話に登場する武内宿禰とも渡来系とも言われていますが、はっきりとはしていません。

シリウスの都 飛鳥
栗本 慎一郎著
 

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2005年11月18日

ハンドルネームバトン

異世界より、ハンドルネームバトンなるものが飛来。
『お茶の間に、ちょっと理科系な話題でも』のオオクボ様より受け取りました。

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2005年11月13日

藝術の秋ですね。

秋といえば、芸術の秋。
しかし、芸術といっても幅広くあります。美術、音楽、演劇…
美術に絞っても、絵画、彫刻、建築…
教科書でおなじみの古典的名作もあれば、良くわからない現代アートもあり。こんな時は、誰かにガイド役を頼むのが一番です。


布施英利(ヒデトと読む)は、美術表現にあたって人体や生物の構造を研究する美術解剖学が専攻で、養老孟司のもとで学んでいます。
歴史上の人物から現在活躍中の作家まで、50人を紹介。絵画、彫刻から建築や映像の分野にまで及びます(紹介に割くページ数から、それぞれの作家に対する思い入れの深さがわかります)。
彼の出発点はやはり、解剖を通して人体表現を追及した、レオナルド・ダ・ヴィンチです。美術作品とは、脳を通して見た世界を表現したものであるとする、布施英利。ありきたりな言い方ですが、理科系の視線による作家ガイドです。
(11月13日読了)
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事件記者の目・キツネの目

母親に毒を盛った高校生。
同級生をメッタ刺しにした高校生。
最近、痛ましい少年犯罪が続発しました。
統計上、少年犯罪の件数が急増している訳ではありませんが、少年による不可解な事件が多いことも確かです。

殺人率
宮崎 学著 / 大谷 昭宏著


この本は『お茶の間に、ちょっと理科系な話題でも。』 の管理人であるオオクボ様から、普通の人にはオススメ出来ない本として紹介されたものです。私は普通の人ではないのかな…?(笑)
血気盛んで悩み多き若者世代の殺人および自殺が多いのは世界共通の傾向ですが、唯一わが日本は、若者よりも団塊世代が殺人・自殺ともに多いという、特異な現象を示しています。
その背景にあるものは何なのか。キツネ目のアウトロー・宮崎学と、事件記者として数多くの現場を目の当たりにした大谷明宏が、危険なトークを繰り広げます。
日本の若者の殺人率は低いが、なぜ動機が不可解なのか。団塊の世代は、なぜ自殺を選ぶのか。二人のトークは、個々の事件の分析よりも、日本型管理社会論へと向かいます。
学生運動経験者の宮崎は、言います。これから内ゲバという時に一番勇ましいことを言う奴は、いざという時に姿を隠してしまう奴。肝に銘じておきましょう。
(11月12日読了)
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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 21:19| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月07日

はじまりの物語

最近、宇宙最初の星の光を捉えたとのニュースが配信されました。
今年は彗星探査機ディープインパクトや日本人宇宙飛行士の活躍など、宇宙の話題が注目を集めています。
また、アインシュタインの特殊相対性理論発表100年を記念した、国連の世界物理年でもあります。



宇宙起源をめぐる140億年の旅

原著のタイトルはズバリ“ORIGINS”まさしく宇宙の起源の物語であります。
広大な宇宙に存在する全ての物質は、最初は目に見えない極小の粒の中にギュウギュウに押し込められていました。その宇宙の種が140億年前に一気に大爆発して、今なお果てしなく広がり続けています。
宇宙の種はなぜそこにあったのか、宇宙の外には何があるのか…という疑問を考え始めたら今夜は眠れなくなりますので、ほどほどにしておきましょう(笑)
ビッグバンから始まって、元素、銀河、恒星、惑星、そして生命と、章ごとにそれぞれの誕生の物語が綴られていきます。各章はコンパクトにまとめられ、文章もユーモアたっぷりで、たいへん読みやすい本です。
巻頭の美しいカラー天文写真と相まって、専門知識がなくても、宇宙の悠久の物語に思いを馳せることができます。
それにしても不可解なのは、暗黒物質(ダークマター)ですね。目に見える銀河や星々の6倍もの質量が、宇宙空間に存在するなんて。しかも宇宙空間の密度は、10立方メートルに原子がせいぜい1個しかない、スカスカの状態なんだとか。
ああ、今夜は眠れない…
(11月7日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 18:37| Comment(7) | TrackBack(2) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月03日

リコール!その時あなたは…


三菱自動車のリコール隠し事件は、社会に大きな衝撃を与えました。また、近年リコールの件数と対象台数が大幅に増えています。
リコール急増の背景には、まず三菱問題を契機にリコールの基準そのものが厳格化したことが挙げられます。
また、コスト削減で部品の共用化が進み、同じ部品を使う車種が増えたことで、1件のリコールでの対象台数が拡大しました。今や部品の共用化は、自動車メーカーの垣根を越えて行われています。
最も深刻なのは、自動車メーカーのコスト削減圧力による部品の品質低下です。部品メーカーは、人員削減を不慣れな期間労働者や外国人労働者で補おうとします。しかし十分な教育や品質管理がなされていません。新車開発期間の短縮化も、設計や試験にかける時間を圧迫する恐れがあります。
これは労働者の質のせいではなく、現場を無視したコスト削減圧力をかける経営トップの問題だと著者は言います。
アメリカの品質調査でのトヨタの圧倒的な成績は、実はレクサスのおかげです。トヨタブランド車とレクサスブランド車では、成績に差があります。
大メーカーの高収益が、アメリカ市場の好況や為替差益だけでなく、下請工場の搾取から得られており、その結果私たちの愛車の品質が低下しているとしたら…まさしく日本のモノ作りの危機です。
(11月3日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 17:49| Comment(2) | TrackBack(1) | 科学技術交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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