2006年01月03日

Firefly

私の新本格との出会いは、麻耶雄嵩からでした。
島田荘司らの推薦を受けたデビュー作『翼ある闇』。麻耶を許容できるかどうかが、当時のミステリ読者の嗜好の分かれ目だったと思います(その後は清涼院流水、現在は西尾維新がボーダーラインでしょうか?)。
京都府の外れにある人里離れた洋館と、複雑な血縁をもつ一族の悲劇。この二つが麻耶の持ち味でしょう。


蛍





麻耶 雄嵩著




音楽家・加賀蛍司の邸宅だった、京都府の山奥にあるファイヤフライ(蛍)館。十年前、ここで加賀は楽団のメンバー六名を惨殺し、自らも逮捕後に衰弱死しました。また、もう一人の楽団員・小松響子は今も行方不明です。
大学のオカルトサークルが、肝試し合宿にファイヤフライ館を訪れます。館は現在、サークルOBの佐世保左内が所有しています。
一夜明けて、館主の佐世保が他殺体で見つかります。集中豪雨で、館と下界を結ぶ一本の橋は冠水しており、電話回線も切断されていました。携帯電話も圏外です。
犯人はサークルのメンバーの中にいるのか?
それとも行方不明の小松響子なのか?
あるいは阪神地方で連続殺人事件を起こしている“ジョージ”の仕業か?
大学生たちの犯人探しが始まります。

なお、本作には麻耶作品でおなじみの奇人銘探偵(名探偵の誤字ではありません)メルカトル鮎は登場しません!

(1月3日読了)


ラベル:麻耶雄嵩
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

音楽は、宇宙なり。

『音楽入門』!
この一冊で音楽のすべてが判るかのような、ストレートなタイトルに惹かれました。

北沢方邦音楽入門



北沢 方邦著


プロフィールによると、著者は構造人類学および音楽社会学の研究者で、音楽とは本来、民族の宇宙観の表現であるとして、音楽の歴史を語ります。
例えばパプア・ニューギニアのスリット・ドラム(丸太をくりぬいた打楽器)と竹笛は、前者が地、後者が天の象徴です。古代中国雅楽でも、石の楽器は天を、青銅製の鐘は地を意味します。また、中国の青銅器技術は、東南アジアでガムラン音楽を生みました。
西洋音楽のルーツはイスラム文明、それもイスラム神秘主義(スーフィズム)にあります。イスラム正統派は、快楽を刺激するとして芸術を禁じていましたから。
数々の名作曲家を生んだ西洋近代音楽は「宇宙の音楽」に対する「人間の音楽」と言えます。それでも、モーツァルトの『魔笛』やベートーベンの『第九(歓喜の歌)』は、フリーメーソンの宇宙観や世界市民思想を表したものだそうです。
また、ベルリオーズはフランス七月革命と共に生き、リストはハンガリー、ショパンはポーランド、ヴェルディはイタリアの民族運動と深く係わっています。こうした背景を知ると、音楽の授業はもっと楽しくなりますね。

北沢は、世界の多様な音楽を知ることを通しての異文化理解を、強く願っています。
(1月2日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 16:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 芸術・娯楽交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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