2006年02月19日

公正・中立ってなあに?

私が森達也を知ったのは『放送禁止歌』です。この世には放送禁止歌なるものがあり、反体制的とか部落差別問題に抵触する等の理由から放送できないとされていましたが、実際にそれらの歌を放送禁止とする規制や圧力などは存在しなかったことを明らかにしました。


世界と僕たちの、未来のために


森 達也著 / 綿井 健陽〔ほか述〕


森は、オウム真理教を取材した映画『A』および『A2』の監督として知られています。彼はオウムや部落解放同盟にどうやってカメラを入れたのかとよく質問されますが、単に「撮ってもいいですか」と聞いたらすんなりOKが出ただけであり、オウムや解放同盟を、異質なものとして排除したり、端から恐ろしいものと決め付けて取材の対象としない、メディアの事なかれ主義に異を唱えます。
また、メディア(特にテレビ)の公正・中立・客観とは何なのかと、疑問を呈します。森はドキュメンタリー映画を撮っていますが、主観なきドキュメンタリーなどないと言います。ドキュメンタリーは単なる事実の記録ではありません。観測することが観測結果に影響を及ぼすとする量子力学と同じで、カメラを回す行為自体が目の前の事象に対する干渉です。
そんな姿勢で、森は31人と25の対談・鼎談を繰り広げます。
登場するのは、綿井健陽、田原総一朗、大澤真幸・長谷正人、宮崎学・安田好弘、田丸美寿々・島田裕巳、北田暁大、土屋敏男(日本テレビプロデューサー)、水道橋博士(浅草キッド)、是枝裕和、原一男、矢崎泰久、宮沢章夫、伊藤公雄、小室等、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)、斎藤貴男、松本智量、岡田幹治、鵜飼哲、菊田幸一、姜尚中、竹熊健太郎、朴慶南・深津真澄、野中章弘・吉見俊哉、重松清、鴻上尚史。
錚々たるメンバーです。どなたが読んでも、誰か一人は知っている人がいるはず。同じ話題が繰り返し出てきますが、そこは我慢しながら読みましょう(笑)。

森は憲法をテーマとしたシリーズ番組で、第一条=天皇のドキュメンタリーを撮りたいと構想していましたが、テレビ局側の配慮(?)によって企画倒れとなったようです。
(2月19日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:51| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

モノとココロ

紙や木や粘土などで色々なものを作った、小学校の図画工作の時間。またプライベートでも、プラモデルやジグソーパズルを作った経験のある方は多いと思います。
そんなモノ作りを楽しんだ、子供のココロに帰ることが出来る一冊です。



作家であり、大学の工学部助教授でもある森博嗣は、工作好きでも知られ、自宅の庭には自作のミニチュア鉄道が走っています。そして彼のガレージは書斎でもあり作業場でもあり、そこには愛車とともに、工作道具や模型のコレクションがズラリと並んでいます。
パソコン(Mac)にはじまって、手回しの計算機やスライド映写機、天秤、万力など。紹介される道具たちの多くは実際に彼が使っているものではなく、大学の粗大ゴミ置き場で拾ってきた、年代モノばかり。しかし、それらの古道具たちには、機能や材質をそのままカタチにした、素朴な美しさと重厚さがあります。
カラフルな道具や模型などの写真の数々は、すべて森自身がデジタルカメラで撮影したものです。そしてモノたちに触発されて書かれたエッセイが、デザインとは何かエコロジーとは何か進歩とは何かを考えさせてくれます。
私などは、写真を見ているだけで癒されてしまいました。森はエンジンが大好きだそうですが、私も蒸気エンジンの模型が動いている姿を、是非見てみたいものです。
(2月13日読了)

この本の舞台となった森家のガレージ建設の過程が、また面白いんですよね↓

アンチ・ハウス


森 博嗣著 / 阿竹 克人著

posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 芸術・娯楽交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。