2006年03月21日

自然界の匠たち

バイオミミクリー(biomimicry)という言葉があるそうです。バイオ=生物、ミミック=模倣からの合成語で、自然の叡智に学んだものづくりのことです。
資源の枯渇、大量の廃棄物、化学物質の人体への影響など、環境・エネルギー問題は人類が文明を継続していくうえで避けて通れない課題です。
自然エネルギーの利用、自然に分解される素材といった、自然のサイクルや生物のメカニズムに学んだ技術開発が、各分野で進められています。


地球上で最も繁栄している生物は、なんといっても昆虫です。空に地中に水中に、あらゆる場所に生息しています。
カイコの生み出すシルクや、クモ(正しくは昆虫ではありませんが)の糸は、どんな人工繊維にも勝るハイテク繊維です。カイコは繊維の原料となるだけでなく、フィブロイン、セリシンという純度の高いタンパク質を生み出し、医療分野への応用も期待できます。
タマムシやモルフォチョウの羽は、光の当たり具合によって様々に色が変化し、構造色と呼ばれます。この仕組みを応用した繊維や塗料が生まれています。
コオロギの行動の研究は、人間の行動の研究にも影響を与えるかもしれません。コオロギは闘争本能の強い昆虫ですが、相手を傷つけることはありません。しかし、集団と隔離して育てられたコオロギは、相手構わず攻撃を仕掛け、ついには殺してしまいます。隔離コオロギにはセロトニンなどの生体アミンが明らかに少なく、生物の攻撃性との関わりが研究されています。

昆虫以外にも、植物や微生物に学んだ新素材、新技術の数々が本書には紹介されています。科学って素晴らしい!
そして、ニッポンのものづくりの未来は明るい!

(3月21日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学技術交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

UFOは、不安な空を飛ぶ。

「空飛ぶ円盤」が最初に目撃されたのは、1947年。アメリカのケネス・アーノルドという人が飛行機を操縦中に、9つに連なるブーメラン型の飛行物体に遭遇しました。
以後、未確認飛行物体=UFOの目撃談が全米、さらには全世界で相次ぐようになります。


UFOの目撃談は、歳月とともに進化します。
当初、謎の飛行物体はアメリカまたはソビエトの秘密兵器だと考えられました。
それが宇宙からやってきた異星人の乗り物だと言われるようになります。そして米政府は、異星人の存在を知りながら世間に対しては隠蔽しているのだと。
さらに、異星人は家畜を殺戮したり、人間を誘拐して生体実験を行っているとされ、米軍はUFOの技術を応用した新兵器の実験を繰り返しているという、陰謀説に発展しました。
また異星人の姿も、当初は有名なコンタクティ・アダムスキーが出会ったという金髪の白人から、小柄で灰色の肌をもつグレイと呼ばれるものに変貌していきます。
こうした壮大な都市伝説=UFO神話が誕生し、進化していった過程には、明らかな流行があるというのが本書のテーマです。

UFOが当初、未知の兵器とされたのは、明らかに米ソ冷戦を背景としています。
現在、アーノルドが目撃した謎の飛行物体の正体は、当時アメリカで極秘に研究されていた軍事用の気球だと考えられています。また、アーノルド事件の二週間後に発生した、有名なロズウェル事件で回収された墜落物も同様です。
UFOの着陸痕からは強力な放射能が検出されるといった話も、核の脅威から生まれたものでしょう。
その後に生まれた、異星人による誘拐や生体実験の話は、バイオテクノロジーの発展に対する不安だと考えられます。

1995年に公開された捏造映像「宇宙人解剖フィルム」は、半世紀に及ぶUFO神話の幕引きとなりました。UFOに代わるように現れたのは、超高速で空中を飛行するUMA(未確認生物)、スカイフィッシュです。スカイフィッシュは、ビデオ映像のなかだけに生息します。
UFO神話の誕生と進化は、アメリカという大国の不安を背景にしていました。
どうやら21世紀の不安は、電子テクノロジーが蔓延する社会にあるようです。
(3月20日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 18:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月20日

2011年、テレビをまだ見てますか?

日本の証券市場に大きな衝撃を与えた、ライブドア事件。昨年は、ライブドアがフジテレビに仕掛けた買収劇が大きな話題となりました。
わが国の、最後にして最大の護送船団業界がテレビ局です。

電波利権



池田 信夫著



電波は、政府によって配分されています。電波を最も贅沢に割り当てられているのは、テレビ局です。その隙間を縫うように、何千万本もの携帯電話がひしめいています。
電波利用全体に占める携帯電話の割合は11%。しかし、電波利用料の93%は携帯電話ユーザーが支払っています。放送の負担はわずか1%です。携帯電話ユーザーが負担した電波利用料は、大部分が地上デジタル放送に使われます。

電波が利権になることを最初に見抜いた政治家が、田中角栄でした。日本は世界に例を見ない、テレビ局と新聞社が完全に系列化された国です。さらに在京キー局は、地方民放局を系列化しています。これらを推進したのが田中角栄だったのです。

巨大メディア・NHKの相次ぐ不祥事は、受信料不払い急増を招きました。著者は、現在の義務的な受信料徴収ではなく、有料放送化によるNHK民営化を提案します。民放のようにコマーシャルを入れて無料放送するのではなく、視聴者の自発的な契約による視聴料の支払いです(現在のNHK−BSは、事実上の有料放送といえます)。

インターネット業界が常にテレビ局買収に食指を動かすのは、数十年間蓄積された豊富なコンテンツ(番組)があるからです。しかもそれらは、たった一度放送されたきりで眠っています。躍進するインターネットに対し門戸を閉ざすテレビ局ですが、テレビ局は放送インフラ業ではなく、コンテンツ産業として生き残る道があると思います。

しかし・・・テレビって、見なくなりましたね(笑)
本は、テレビと違って時間と場所に拘束されないのが魅力です。
地上波がデジタル放送に完全移行すると、従来のテレビは受信不能となります(全国で1億台もの粗大ゴミが発生!)。
2011年、あなたはまだテレビを見ていますか?

(3月19日読了)
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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:14| Comment(2) | TrackBack(2) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月13日

イケナイコトカイ?

麻薬密売人とシャブ中、彼らはお互いに納得のうえで自発的な取引をしているのだから、非難すべきではない…こんな主張をどう思いますか?



この本には、上記の麻薬密売人とシャブ中の他、売春婦、ポン引き、ダフ屋など世間から忌み嫌われる職業や嗜好の人々が登場し、ブロック教授は彼らを擁護します。なぜなら、彼らが「原初の暴力」を行使していないからです。他人の生命や財産をおびやかしたり、取引の強要をしない限り経済活動は自由である・・・それがリバタリアニズムの原則です。

ラディカル(過激かつ根源的)な議論からは、経済の思わぬ真相も見えてきます。
著者は、ニセ札づくりを擁護します。ニセ札づくりが作るのは、ニセ札のニセ札にすぎません。なぜなら紙幣そのものが、国家が金や銀の代わりに偽造したニセ札だからです。
(借金大国・日本の通貨に今後も信頼はあるのでしょうか・・・)

原著はウォルター・ブロックによって1976年に書かれたもので、現在とは状況が変わっている部分も多く、現在の日本人にわかりやすいよう「超訳」がなされています。例えば「2ちゃんねらー」「ホリエモン」なんて項目もあります。でも、著者の主張はそのままです。

リバタリアニズムについては、訳者の橘玲が巻頭でわかりやすく解説しています。
社会を営むにあたって、国家の役割を最小限にし、市場原理に委ねるのがリバタリアニズムです。だからといってリバタリアニズムは、弱肉強食を肯定するものではありません。奴隷制度廃止を真っ先に唱え、婦人参政権や公民権運動を支持してきたのもリバタリアンです。右翼的と呼ばれる事の多いリバタリアンですが、その主張はリベラル派と多く重なります。

リバタリアニズムの本質は、「自由な個人」という近代の虚構(というかウソ)を徹底する過激さにある。その無謀な試みの先に、国家なき世界という無政府資本主義(アナルコ・キャピタリズム)のユートピアが蜃気楼のように浮かぶとき、人はそれを「希望」と呼ぶのかもしれない。
(「はじめてのリバタリアニズム」橘玲)


(3月12日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:54| Comment(23) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月05日

キリスト・コード

世界的ベストセラーとなった、ダン・ブラウンの小説『ダ・ヴィンチ・コード』。映画化が決定し、最近では盗作問題が浮上するなど、相変わらず話題を呼んでいます。
ティム・ウォレス=マーフィーの著作もまた、『ダヴィンチ・コード』に計り知れない材料を提供しているそうです。


シンボル・コードの秘密


ティム・ウォレス=マーフィー著 / 大山 晶訳


聖杯伝説、テンプル騎士団、フリーメーソン、黒い聖母・・・
異端という言葉には、人々の好奇心を刺激して止まないものがあります。聖書の記述や聖堂建築・宗教絵画には、一体どのようなメッセージが隠されているのでしょうか。
以下、私が面白いと思ったキリスト教異説をご紹介します。

・旧約聖書の出エジプト記(映画『十戒』の海が割れるシーンで有名)に登場する、預言者モーセ。彼は、世界最初の一神教者とされる古代エジプト王アクエンアテン(またの名をアメンヘテプ4世、イクナートン)と同一人物である。

・聖母マリアの処女懐胎は、キリスト教のオリジナルではない。民衆への布教過程で、ギリシャ神話など異教の要素を取り入れた。

・キリストことナザレのイエスは、マグダラのマリアと正式に結婚していた。聖書の記述にはイエス自身の挙式と思われる描写がある。

・イエスは、ローマによって扇動罪で処刑された。ユダヤ教を冒涜した罪で、ユダヤ人によって処刑されたのではない。磔刑はローマの刑罰であり、ユダヤの処刑は投石刑である。また、イエスはユダヤ教に忠実であった。

・聖地エルサレムを守護する目的で結成されたテンプル騎士団。彼らは単なる軍事組織ではなく、ヨーロッパから中東にまたがる広範囲で農場経営や金融業を営み、現在の多国籍企業の先駆けとも言える存在だった。

中世ヨーロッパでは、文字を読み書きできるのは聖職者だけで、皇帝ですら自分の署名をするのがやっとでした。つまり、知識は教会が独占していたのです。
オカルトとは本来、隠された知を意味します。
教会を介さずに神を礼拝し、知識を得ること・・・それがすなわち異端だったのでしょう。
(3月5日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:57| Comment(6) | TrackBack(0) | 芸術・娯楽交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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