2006年09月26日

スーパーサウルスは存在し得ない?!…U

以前ご紹介しました、NHKスペシャル『恐竜VSほ乳類』の本。
実は2種類あるようでして、ひとつはご紹介済みの読み物、さらにもうひとつビジュアル版というものが存在します。


恐竜VSほ乳類



NHK「恐竜」プロジェクト編 / 小林 快次監修



ビジュアル版はサイズが大きく、NHKスペシャルの美麗で迫力満点なCGが、フルカラーで堪能できます。
あの、巨大なスーパーサウルスを存在たらしめた呼吸メカニズム=含気骨(空洞のある骨)による気嚢システムも、一目瞭然です。

恐竜はなぜ、巨大化の道を歩んだのか?
注目されている説は、大気中の酸素濃度です。
恐竜が誕生した三畳紀は、二酸化炭素が急増し酸素が半減したと考えられています。そんな過酷な環境に対応し、恐竜は気嚢システムを発達させました。
また、二酸化炭素が増えると植物の生長は促進されますが、栄養価は逆に低くなります。低栄養価の植物でエネルギーを獲得するには、大量に食べなければなりません。そうなると、大量の植物を消化するための長大な消化器官が必要です。必然的に体も大きくなります。

最新の学説を踏まえた恐竜とほ乳類の進化プロセスが、楽しみながら理解できてしまうオトナの絵本。
文字が大きく、漢字にはふりがな付き、ページ数も少ないので、お子様にもオススメです。

(9月25日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】スーパーサウルスは存在し得ない?!
【不純文學交遊館】福井県立恐竜博物館


ラベル:恐竜
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:27| Comment(0) | TrackBack(1) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月25日

日向神楽

人知れずひそかに更新されている『不純文學交遊界』。
9月16・17の両日、天岩戸神話を題材とした「日向神楽」を観てまいりました。
場所は、福井県坂井市の長畝八幡神社です。
日向神楽が、なぜ福井に?
それは日向延岡藩主の有馬氏が、越前丸岡藩に移封となった際、日向神楽も一緒に持ち込んだからです。
興味のある方は、お立ち寄りください。
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 書を捨てて街へ出る会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月23日

これはオレのモンだ!

2006年9月20日、自由民主党の新しい総裁に安倍晋三官房長官が選出されました。
小泉純一郎内閣は、郵政や道路公団の民営化などの「聖域なき構造改革」を推し進めましたが、一方で社会格差が拡がったとの批判も受けました。安倍新総裁は改革路線を引き継ぎつつも、改革で痛みを被った人々の「再チャレンジ支援」を掲げています。

市場経済においては、人々が財やサービスを自由に交換し、神の見えざる手によって丸くおさまる…ことになっています。
しかしながら、実際には財は万民に平等に分配されず、自由競争のもとで勝ち組と負け組み、持てる者と持たざる者とが生まれています。

それでは、所有するとは一体何なのでしょうか?
原始時代、誰かが「これはオレのモンだ!」って叫んだときから所有の概念が生まれたのでしょうか?
公平な市場、公平な分配って、有りうるのでしょうか?
…なんて、取りとめのないことを考えるのに、最適なお供はこの本でしょう。


所有と国家のゆくえ



稲葉 振一郎著 / 立岩 真也著



稲葉振一郎立岩信也、両者とも市場原理の矛盾を指摘しつつも、市場そのものは否定していません。

立岩は、分配する最小国家を唱えます。最小国家というと、普通は「国家は治安の維持に専念し、あとは市場原理に任せるべきだ」との考え方が思い浮かびます。立岩の考える最小国家は、財の分配のみに専念し、それ以外の余計なことはしない、経済成長も目指しません。しかも分配の範囲は一国の範囲を越え、世界を想定しています。
私は立岩の思想に、従来の社会主義国家とも福祉国家とも違う、なんとなく静かなユートピア(?)を感じました。

一方の稲葉は、自らの思想を、資本主義への抵抗を正当化しつつ、現行の資本主義を基本的には肯定するものとしています。
経済成長は再分配するパイを大きくするために必要であり、経済成長の環境負荷についても、技術革新なくして環境問題の改善はありえないとします。そして社会主義的・福祉国家的な考え方は、資本主義(顕教)を補完する密教であると。

書店でのトークライブが基になっているので、内容のわりには読み易いのですが、抽象的なテーマだけに「これだ!」という結論が導かれているわけではありません。
それでも、所有とは市場とは国家とは何なのか、秋の夜長にじっくりと考えてみるには、いいヒントが溢れています。

(9月17日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
ポストモダン再考
マルクスさんではありません
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 22:13| Comment(29) | TrackBack(1) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

古代王国の記憶

図書館でたまたま目についたので、読んでみました。
ヤマト朝廷統一以前の日本列島には、各地に特色を持ったクニが覇を競っていたものと思われます。丹後出雲吉備筑紫日向…それら古代の王国の息吹を今に伝える遺跡や神社を紹介し、論考するムックです。

なかでも圧巻なのが、巻頭カラーで紹介される丹後王国です(古代丹後王国の存在はエノク&トマス様に教えていただきました)。
丹後地方は、現在の京都府北部。名勝・天橋立を望み、浦島太郎伝説・羽衣伝説が残るロマンあふれる地です。
丹後国一の宮である籠(この)神社は、元伊勢と呼ばれています。天照大神が伊勢に祀られる以前には、ここに祀られていたのです。さらに日本最古の家系図である海部氏系図(国宝)、古代の鏡(息津鏡辺津鏡)が伝わっています。
日本海側最大の古墳が存在するのも、丹後地方です。
ここにはきっと、古代日本の大いなる記憶が眠っているに違いありません!

丹後一の宮 元伊勢 籠神社

(9月18日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月11日

黒幕は誰だ?

古代史最大のクライマックス、乙巳の変大化の改新)。
中大兄王子中臣鎌足が、独裁者・蘇我入鹿を暗殺し、様々な改革を行った…ことになっています。
しかしながら、大化の改新にはおかしな点も数多くあります。
・功労者・中大兄王子は、なぜ大王になれなかったのか
・なぜ軽王子孝徳大王)が即位したのか
・やんごとなき身分の中大兄王子が、なぜ自ら殺害の実行犯となったのか
・改新で退位した皇極大王は、なぜ重祚(再び即位)したのか
…などなど。
正史・日本書紀は、多くを語ろうとはしません。では、このミステリーに挑戦してみましょう。


偽りの大化改新



中村 修也著



注記;天皇の称号が用いられたのは天武天皇以降であるといわれており、本書に従ってこの記事でも、天皇は大王、皇子は王子と表記いたします。


本書では、大化の改新の首謀者は、軽王子=孝徳大王であるとしています。孝徳大王は中大兄王子にとっては母・皇極大王の弟、すなわち叔父にあたります。
現状では皇位に就ける可能性の薄い軽王子が、皇極朝の後ろ盾である蘇我入鹿を、反対勢力を結集して排除したというのです。
なるほど。ミステリーでは、犯人は最も得をしたものを疑え、といいますからね。改新で最も利を得たのは、皇位についた軽王子です。
孝徳大王は中大兄王子らによる傀儡政権であり、中大兄王子は皇太子という天皇よりも自由な身分で存分に政権を行使した…との説がありますが、中村は否定します。皇太子というだけで、政治的実権などあるわけがないからです。
また、皇極大王重祚は、弟から皇位を取り戻して再び即位(斉明大王)することで、わが子・中大兄王子への皇位継承を確かなものにしたと説明します。

入鹿暗殺の実行犯はもちろん、王族である中大兄王子ではありません。第一、中大兄王子が首謀者なら、これから皇位に就こうとする者が、自らの手を汚してまで殺害を実行するでしょうか。
蘇我入鹿暗殺以外にも、改新の功労者である蘇我石川麻呂を讒言によって自殺させたり、孝徳大王の子・有間王子を絞首刑に追い込んだりと、血腥い冷酷な人物として描かれる、中大兄王子。のちの天智大王となる人物がなぜ…
そこで、もう一人の黒幕の存在が浮かび上がってきます。

日本書紀の編纂を命じたのは誰か。
それは天武天皇、中大兄王子の弟・大海人王子です。
大海人王子は、中大兄王子の子・大友王子(弘文天皇と諡号されるが、即位したかどうか異論あり)から武力で皇位を奪いました。壬申の乱です。
歴史書は、その王朝の正統性を証明するために書かれます。日本書紀は天武朝の正史です。天武朝が倒した近江王朝(天智・弘文)の、イメージダウンを図らねばなりません。かといって、実の兄をあからさまな悪人に仕立て上げることもはばかられる…といったところでしょうか。
…なるほど、なかなか手の込んだトリックですね。
歴史にさほど詳しくなくても、ミステリーとして楽しめる一冊です。

(9月11日読了)
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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:05| Comment(14) | TrackBack(4) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月10日

日本に恋してる



愛国心は嫌いだ
こう言ったのは、なんと愛国者の鑑のように思われている作家・三島由紀夫です。
昭和43年1月8日の朝日新聞に三島が寄せた記事、その名も「愛国心―官製のいやなことば」においてでした。



三島は言います。愛国心の「愛」の字がきらひである、と。愛は無限定無条件でなければならない。「人類愛」といふのなら多少は筋が通るが、「愛国心」というのは筋が通らない。なぜなら「愛国心」とは、国境を以って閉ざされた愛だからである。
愛国心は、自分と自分の国しか愛せない。時には他の国と戦争をしたり、アイツには愛国心がないと糾弾する、凶器になったりする。愛国心は押しつけがましい…三島は愛国心という言葉に「官製のにほひがする」と指摘しました。

愛国心がいけないのなら、われわれはどうすればよいのか。三島は「恋」でいいと言います。愛するという言葉には、双方向性が期待されている、見返りを期待している。対する恋は一方的で、秘めた心情です。
三島とともに自決した森田必勝は、「俺の恋人、誰かと思う。神の作りし日本国」(徳富蘇峰の言葉だという)と、いつも言っていたそうです。誰かから強制されたわけではなく、生まれ育ったこの国・日本に恋しているのです。
ただ、恋国心ではすわり心地が悪いと鈴木邦男は言いますが、私はいい言葉だと思いますよ、恋国心。今日から私は恋国者です。

さて、本書は三島の皇位継承論についても触れています。
三島の憲法草案には、なんと「皇位は世襲であって、その継承は男系子孫に限ることはない」との記述があるのです。皇太子殿下、文仁親王殿下がお生まれになり、皇統の将来に何の不安もない時代のことです。

9月6日、文仁親王同妃両殿下に、親王がご誕生になりました。
皇位継承の危機は、歴史上これまでに何度もありましたが、今日まで皇統は絶えることなく受け継がれています。
私たちは、皇室に「愛」を押しつけることなく、そっと見守っていようではありませんか。

(9月10日読了)


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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 22:56| Comment(2) | TrackBack(1) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月06日

親王誕生

9月6日午前8時27分、文仁親王妃(秋篠宮妃)紀子殿下が親王をご出産されました。
心よりお祝い申し上げるとともに、親王の健やかなるご成長をお祈りいたします。
皇位継承順位は、皇太子殿下、文仁親王(秋篠宮)殿下に次いで第3位となります。

宮内庁ホームページ

【不純文學交遊録・過去記事】 ノブレス・オブリージュ


【不純文學交遊録・過去記事】 知られざる法典

天皇家の掟



鈴木 邦男〔著〕 / 佐藤 由樹〔著〕


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2006年09月04日

時には森ミステリィ

森博嗣は、刊行ペースが早い!
すべてがFになるに始まる『S&M(犀川創平西之園萌絵)シリーズ』、瀬在丸紅子と奇妙な仲間たちによる『V(Veniko=紅子)シリーズ』、そして現在は犀川&萌絵コンビが再び登場する『Gシリーズ』が刊行中です。
シリーズ外の小説・絵本・エッセイ等も数多くあります。

私は『Vシリーズ』の奇妙奇天烈な登場人物たち(女装趣味の格闘少年や便利屋稼業の探偵)に、途中でついていけなくなりました(笑)
それでも時には森ミステリィの切れ味を楽しみたいので、いろんな森博嗣を味わえる短編集はチェックしています。



ラジオの似合う夜
辞表を出した警部に、長期海外出張の話が舞い込んできました。かつて自分の部署で研修していた、留学生の出身国です。
元留学生から、その国で起こった不可解な伝説の事件を聞かされます。
・単独犯のはずなのに、未知なる別人の指紋が見つかった大富豪一家殺害事件
・走行中の蒸気機関車から忽然と犯人が消えた、列車強盗事件
さらに今度は、オープンしたばかりの国営美術館で、コンクリートの壁が繰り抜かれる事件が発生。一体何のために…?

檻とプリズム
僕は檻から出られない…
少年の心の冷たい光が刺さってくるようで、私は怖かったです。

砂の街
久しぶりに郷里へ帰ってきた大学院生。彼の故郷は、いつの間にか砂まみれになっていました。
裏の家に住む鎌谷さんの姪も大学院生で、この砂の謎を研究しているというのですが…

刀之津診療所の怪
お待ちかね、スーパーセレブ大学院生・西之園萌絵嬢の登場です。
静岡県沖の小さな島・白刀島。島の診療所には、いくつもの怪現象があるといいます。着物姿の幽霊。祟りのせいで病気の治らない男の子。そして時折診療所を訪れる、刀を持った黒ずくめの人物。これらはすべて超常現象なのでしょうか。
※森ミステリィ未体験の人には、登場人物が掴みづらいかもしれません。


これら4つの短編に、5編の詩的なショート・ショートをサンドイッチした、全9作品。
森ミステリィらしさを最も堪能できるのは『ラジオの似合う夜』でしょう。
工学博士ならではの理科系テイストと、舞台となった国(なんとなく某独裁国家を思わせる)の幻想的な雰囲気の、両方が味わえます。
余談ですが、お屋敷の管理人をしている警部の別れた奥さんって、あの人(瀬在丸紅子)かな…?

(9月3日読了)

森博嗣原作『カクレカラクリ』2006年9月13日PM21:00〜TBS系にて放映
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 18:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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