2006年12月11日

ときめきを再び

11月20日、12代目となるスカイラインが発表されました。 来年(2007年)で50周年を迎える日本車を代表する老舗ブランドであり、モデルチェンジのたびに賛否両論を巻き起こす、話題には事欠かないクルマであります。

ニューモデルが発表されると複数の出版社から解説ムックが出ますが、私のお気に入りはモーターファン別冊『〜のすべて』シリーズです。
メカニズム解説とデザイナーインタビューがきわめて詳細で、歴代スカイライン(R32〜)やプリウス(NHW10、20)など、メカ的な興味をそそられる車種のものを購入しています。



さて今回のV36についても、ネット界のいたるところで既に激論が交わされていることでしょう。
私はV36の、世界市場をターゲットにした高級スポーツセダンというのは正しい方向だと思っています。
デザインも、プレーンで知的ではあるが平面的だったV35と違って、抑揚のある豊かな面構成に眼光鋭いV36には、魅力を感じます。FRらしさを表現したというリヤフェンダーのプレスラインも、かつてのサーフィンラインを思い起こさせるものです。
ただ、ちょっと大きいですね。全長4.7mは切って欲しかったです。できれば車重1.5tも…
あの酷評されたV35の全長は4675o(R34よりも短い!)、車重は1490kg(300GT)でした。
V36最大の商品的弱点は5速ATでしょう。性能では互角だといっても、競合他車(レクサスISBMW3)が軒並み6速では見劣りします。日産には究極のAT、8速マニュアルモード付トロイダルCVTがありますが、これを載せると車両価格が100万円アップだとか。
6速MT仕様はインフィニティG35にはあるので、いずれ出るでしょうが…

本書にはミスター・スカイラインこと櫻井眞一郎氏のインタビューも掲載されています。
歴代スカイラインで最も売れたのは、60万台以上が世に送り出された4代目C110(ケンとメリーのスカイライン、通称ケンメリ)ですが、櫻井氏は「自分が最も嫌いな自動車である」と告白しています。ケンメリは売ることを意識して作った「商品」だったからです。
しかしエンジニアリングの理想を追求した「作品」は、売れない。スカイラインは、そんな歴史の繰り返しでした。

業績好調な自動車メーカー。日産も過去最高の利益を上げていますが、それはカルロス・ゴーン流のコストカットのおかげ。新型車の投入効果ではありません。
日産の他社を大きく引き離す高額な役員報酬は、新型車の開発資金に回すべきではないですか、ゴーンさん?

(12月10日読了)

管理人のひとりごと


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 12:07| Comment(3) | TrackBack(4) | 科学技術交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

氷の世界

地球温暖化という言葉を聞かない日はない、昨今。
地球の平均気温は、産業革命以降の人類の文明活動が排出した二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスによって、上昇しているといわれています。

地球の歴史は、温暖化と寒冷化を繰り返してきました。地球温暖化説が定着する前は、現代は氷河期と氷河期のあいだの間氷期であり、地球は寒冷化に向かっているというのが、むしろ定説でした。
これからするお話は、氷河期なんて生やさしいものではありません。かつて地球全体が(赤道直下も含めて!)氷の世界だった、というものです。

私のお気に入りスポットに、恐竜博物館があります。ここの売り物はもちろん、数々の恐竜の全身骨格標本ですが、地球や生命の歴史についての展示も充実しています。
今年の特別展示は、エディアカラ生物群でした。先カンブリア時代の、軟らかな体をもった生命体が岩石に残した、かすかな痕跡の化石です。
化石とともに、原初の地球の歴史を解説したパネルも展示されていました。そのなかにあったのが、太古の地球を襲った大異変・全地球凍結スノーボールアース説です。

スノーボール・アース



ガブリエル・ウォーカー著 / 川上 紳一監修 / 渡会 圭子訳



地球に最初の生命が誕生したのが、約30数億年前。以来、今日に至るまでその営みは連綿と受け継がれてきています。
しかし長い地球の歴史は、生命を一掃しかねない大絶滅を何度も経験しました。最近では、6500万年前に恐竜やアンモナイトが姿を消した、白亜紀末の大絶滅があります。

全地球凍結は、約7億年前に起こったとされています。
これまで地球は、灼熱の火の玉が徐々に冷えて現在の安定した気候になったと考えられていました。途中、一度でも地球が氷に閉ざされたとは想像だにできませんでした。
しかし、赤道直下を含む世界各地で見つかる氷河堆積物は、地球全体が氷に覆われていたことを示すものでした。
スノーボールアースの引き金は、二酸化炭素の減少だと考えられています。氷床は極地から次第に拡がり、氷床は太陽光線を反射することで、さらに寒冷化を進めます。当時、地球の大陸がひとつに集まっていたことも、氷床の拡大を助けました。
多くの生命は絶滅しましたが、海底火山の熱や氷の隙間から僅かに日光が届く場所で、生き永らえたものもいました。
やがて火山ガスにより、氷の世界は崩壊します。今度は短期間に大気は40度まで上昇したと考えられています。
この急激な環境変化が、生命の多様な進化のスイッチとなり、エディアカラの不思議な生き物たちを生み出したのかもしれません。
なお、地球全凍結はこのとき一度きりではなく、約20億年前にもあったといわれています。

スノーボールアースというアイデアを最初に思いついたのは、天才的なひらめきの持ち主であるが飽きっぽい、ジョー・カーシュヴィンク。そしてこの新説を世に知らしめたのは、マラソンランナーでもある激情家のポール・ホフマンです。
本書は科学解説書というよりは、スノーボールアースをめぐる地質学者たちの、小説のようなスリリングな物語です。科学書は苦手だという方にも、おすすめできます

(12月10日読了)
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:37| Comment(20) | TrackBack(2) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。