2007年01月22日

カラダは世界遺産

突然ですが、盲腸虫垂の違いはご存知ですか?
小腸と大腸がつながるT字路のような部分。一方は大腸となり、もう一方はすぐに行き止まりとなります。この行き止まりの部分が盲腸です。虫垂とは、盲腸の先にぶら下がった細長い器官のことをいいます。


「退化」の進化学



犬塚 則久著



「退化」の進化学とは、なんとも魅力的なタイトルです。
人体の退化した部分というと、真っ先に思い浮かぶのが盲腸・虫垂ですよね。
草食動物の盲腸が長いことは、よく知られています。植物の硬いセルロース性の細胞壁を消化するために、バクテリアを住まわせているからです。肉食動物の盲腸は、小さいか全くありません。
一方の虫垂ですが、こちらは多くの哺乳類にはなく、ネズミやネコ、ヒトなどの霊長類に限られます。
俗に言う「盲腸」…虫垂炎になると虫垂を切除しますから、虫垂は役に立たない退化した器官の代名詞とされてきました。ところが実際には虫垂はリンパ小節が密集しており、むしろ類人猿とヒトに特有の、生物進化のうえでは新しい免疫機構だったのです。

私たちのカラダには、進化の足跡が数多くあります。
例えば耳。
耳には3つの小さな骨があって、私たちは音を聴くことができます。両生類と爬虫類では耳の骨は1つで、あとの2つは顎の関節を構成しています。
また、これらの骨は、サメでは顎の骨そのものです。そして耳の穴は魚類のエラの穴に由来し、私たちの首は魚類のエラ蓋があった場所ということになります。
このblogで何度か採り上げたNHKスペシャル・恐竜VSほ乳類でも、爬虫類の顎の骨の一部が哺乳類の耳の骨になり、哺乳類は聴覚を発達させて夜の世界に進出することで、昼の世界を支配する恐竜との棲み分けをはかって進化したとの説を紹介していました。

無から有が生まれないように、人体の器官はすべて、魚類や爬虫類や他の哺乳類から受け継がれています。
私たちのカラダそのものが、生命が何億年ものあいだ進化を続けてきた何よりの証拠なのです。
著者・犬塚氏は言います。私たち自身が世界遺産であると。

(1月21日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 15:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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