2007年02月12日

不確かな真実

今世紀末に地球の平均気温が最大で6.4℃上昇する
2月1日、パリで開催された国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、このような報告書をまとめました。
地球の平均気温と大気中の二酸化炭素濃度は現在上昇傾向にあり、これが地球温暖化論の根拠となっています。
地球が温暖化すると、その影響が最も大きく現れるのは極地です。北極圏研究の第一人者は、地球温暖化問題をどう考えているのでしょうか。



北極圏のサイエンス

赤祖父俊一氏は、アラスカ大学にある国際北極圏研究センターの所長です。
アラスカは厳寒の地というイメージが強いのですが、夏の気温はなんと30℃を超えます。
本書のサブタイトルは「オーロラ、地球温暖化の謎に迫る」です。

北極圏の最も美しい自然現象は、なんと言ってもオーロラでしょう。
オーロラの光は緑白色が酸素、ピンク色が窒素の発する色です(酸素は暗赤色の光となることもあります)。
オーロラは、地球に磁場があるために発生します。地球と同様に磁場のある木星や土星でも、オーロラは観測されます。火星・金星には磁場がないためオーロラは発生しません。また水星には磁場があるのですが、大気が無いためオーロラは発生しないのです。

北極圏に、地球温暖化の決定的な証拠はあるのでしょうか。
永久凍土に建てられた住宅が傾くのは、温暖化によって凍土が融けたからではありません。凍土に直接家を建てると、暖房の熱で凍土が融けて家が傾き、数年で住めなくなります。永久凍土上で暮らすには、柱を立てて床と地面の間を空けなければならないのです。
氷河の後退こそ、地球温暖化の証だという意見があります。しかし北極圏の氷河の後退は17世紀から始まっており、逆に最近になって急に前進を始めた氷河もあるのです。また、氷河は数千年の気候変動とともにあり、ここ数十年の気温の変化を反映するものではありません。

過去100年間で、地球の平均気温は0.6℃上昇しています。
その間1940年から1970年までの気温は逆に降下しており、その後再び急上昇し現在に至っています。
1940年からの気温低下の原因は未だはっきりしておらず、かつては地球は氷河期に向かっているとの意見が主流でした。寒冷化は、人類にとって温暖化以上の脅威です。寒冷化による凶作は、地球規模の大飢饉を招きます(温暖化は農作物の収穫にはプラスです)。

現在の気温上昇のうち、どこまでが自然変動でどこからが人間の文明活動に起因するのか、実は全くわかっていないのだそうです。
気温の上昇によって、海洋中の二酸化炭素や永久凍土に封じ込められたメタンガスが大気中に放出され、温暖化が加速されたのかもしれません。
過去100年間の気温上昇のうち、0.2℃は太陽の活動の影響だとする計算もあります(すると人為要因による上昇は0.4℃)。だからといって、人間の文明活動が環境に与えている影響は無視できません。

本書はサイエンスと銘打っていますが、アラスカでの生活や北極圏探検史も交え、たいへん易しい本に仕上がっています(ただ、複数の連載をまとめたために、各章に重複した話題が多いです)。
美しいカラー写真も豊富で、地球の神秘に触れたい人にはオススメです。
地球温暖化についてじっくりと考えてみたい方も、是非!

(2月12日読了)


ラベル:地球温暖化
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 20:51| Comment(50) | TrackBack(1) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。