2007年08月08日

地球の現代史〜不確かな真実V

地球温暖化をめぐる報道には、不確かなものがあります。
今年2月、今世紀末に世界の平均気温が最大6.4℃上昇すると、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次報告書の内容が報じられました。
気象庁翻訳;IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書(PDF)

しかし実際には、今世紀末の世界の平均気温は、温室効果ガスの排出量が最も少ないシナリオでは1.8℃(可能性が高い予測幅は1.1〜2.9℃)、最も多いシナリオでは4.0℃(同2.4〜6.4℃)上昇すると評価されています。
6.4℃とは経済高成長シナリオでの最大値であり、日本のマスコミは何の説明もなく6.4℃と報道していたのです。
地球環境問題の真実を知るために、今回はこの本を選びました。



地球史が語る近未来の環境

本書は日本第四紀学会の手になりますが、第四紀とは約260万年前から現在に至る、地質時代区分の最も新しい時代のことを指します。人類が飛躍的に進化し、また氷河期が繰り返し訪れた、地球史上特筆すべき時代です。
国際社会の今後を占うのに現代史の知見が必要なように、地球環境の未来を予測するには「地球の現代史」ともいえる第四紀の環境の研究が不可欠となりますす。

縄文時代の気候は現在よりも温暖で、海岸線は内陸部まで進んでいました(縄文海進)。
縄文時代の江戸 (古代で遊ぼ)

これは氷床が融けて現在よりも海水量が多くなったからでしょうか?
ところが当時の海水量は、むしろ現在よりも少なかったのです。
地球の表面の荷重の均衡をアイソスタシー(地殻均衡)といいますが、氷床が融解すると海水量が増えて海洋底への荷重が加わり、マントルはアイソスタシーを保とうとしてゆっくりと変形します。その結果あらわれたのが、縄文時代の海岸線です。
氷が融けると単純に海水面が上昇するわけではないようですね。地球システムの複雑さがよく解ります。

20世紀の気候再現実験によると、1930年代の気温上昇は自然要因のみで説明できるが、近年の地球温暖化は自然要因に加えて人為要因を考慮しないと再現できないそうです。
更新世末(約1万年前)の生物大量絶滅が、気候変動のせいなのか人類も関与しているのかは結論が出ていませんが、現在進行中の「2度目の大量絶滅」は明らかに人類の活動が影響しています。
地球というシステムは非常に複雑で、地球環境の未来予測は不確実です。
だからといって何も対策をしなければ、地球環境は取り返しのつかない状況に陥るでしょう。
第四紀の環境の変化は、人類の活動を無視して語ることはできません。

本書は地球温暖化問題のみならず、森林資源の利用や宅地開発に関する章もあり、環境問題に対する幅広い関心に応える一冊となっています。
特に国立公園上高地(長野県)に対する提言は、公共事業のありかたについて考えさせてくれるものでした。

(8月6日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
不確かな真実
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ラベル:地球温暖化
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:45| Comment(37) | TrackBack(0) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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