2007年08月12日

鳥の巣を吹っ飛ばせ(※小説です)

2008年8月8日の北京オリンピック開幕まで、1年を切りました。
毎年10%以上の経済成長率を誇る中華人民共和国の昇竜ぶりを象徴する、一大国家プロジェクトです。
華々しい成長の影で、最近は食品の安全性問題に揺れる中国。急速な工業化にともなう激しい環境破壊や、エネルギー消費の急増も懸念されています。
そして人権問題を理由に、中国のオリンピック開催国としての資質を疑う声も消えたわけではありません。

ウイグル(東トルキスタン)やチベットでの中国政府による虐殺事件は、日本ではあまり報道されない。ウイグル族の反政府運動は実際にオリンピック開催阻止の方向で動いている…このようなスタンスで書かれた小説があります。
著者は米軍グリーンベレー大尉の経歴を持ち、軍事史研究・歴史小説・サバイバル術等の著作で知られる柘植久慶氏です。



ウイグルの叛乱

彦坂和彦は、ノンフィクションと歴史小説を主に手掛ける作家です。取材のための海外渡航も多く、現在は洪秀全が主導した太平天国の乱を題材に作品を構想しています。
中国での、特に国際謀略小説の取材では外国人記者の単独行動は公安に目を付けられやすい…彦坂は中国では必ず、地方政府公認のガイドを雇うことにしていました。

上海のホテルのクラブで彦坂を接待した、若い女性。彼女はシューユと名乗り、新疆の出身だと話しかけてきました。しかしどう見てもウイグル人ではなく、漢人の容貌。彼女の親は文化大革命の折に、ウイグルに下放されたのだと言います。
そしてシューユは、姉を取材旅行のガイドにどうかと提案してきました。何か裏があるのでは…
姉のスンピンは、実はウイグル独立運動のメンバーであり、外国人相手の観光ガイドは武器を輸送するためのカムフラージュだったのです。

独立運動のメンバーにはウイグル人ばかりでなく、開発にともなう土地の強制収用で地方政府に農地を騙し取られた漢人たちも加わっていました。
彼らの目的は鳥の巣‐北京のオリンピックスタジアム‐を爆破し、中国政府に大打撃を与えること。まさしく現代の太平天国の乱が始まろうとしています。
度重なる前哨テロに、公安は当然黙ってはいません。反政府組織の片棒を担ぐことになってしまった彦坂は、無事日本へ帰ることが出来るのでしょうか…

(8月12日読了)


管理人のひとりごと


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 21:30| Comment(0) | TrackBack(1) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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