2008年04月21日

恐竜はなぜ鳥になった?

鳥類は恐竜から進化したとする説が、現在では有力です。
羽毛を持った恐竜の化石も発見され、恐竜と鳥類の近縁性はますます強まっています。

鳥類の特徴は羽毛の存在だけでなく、呼吸器官にもあります。
鳥類の骨は中空構造になっており、骨の空洞を利用した気嚢という呼吸システムを持っています。気嚢による高い呼吸効率は、大空への飛翔を可能にしました。
最近の研究では、恐竜も気嚢システムを持っていたと考えられています。
では、空を飛ばない恐竜がなぜ気嚢システムを持っていたのか…?



恐竜はなぜ鳥に進化したのか

恐竜誕生前夜、地球は史上最大規模の大量絶滅に遭遇しました。
全生物の90%が絶滅したというペルム紀大絶滅。今から約2億5千万年前のことです。ペルム紀と次の三畳紀とのあいだはP‐T境界と呼ばれ、古生代と中生代を隔てる地球史の大きな節目となっています。
石炭紀からペルム紀にかけての地球の大気は、35%もの高酸素濃度でした(現在は約21%)。生物はこぞって大型化し、翼長70cmもの巨大トンボ・メガネウラが空を飛んでいました。
しかしペルム紀末期、地球の酸素は急激な減少に転じます。この時代、地球の陸地はひとつの超大陸パンゲアを形成し、急激な環境変化が生物を大量絶滅に追いやったと考えられています(白亜紀末のような天体衝突ではないようです)。

それからしばらくは酸素の減少が続き、恐竜が出現した三畳紀は最も酸素が薄い時代でした。地表の酸素が、数千メートルの高山並みしかありません。
そんな息苦しい環境に適応したのが、恐竜が獲得した気嚢システムだったのです。その後、大気中の酸素は増加を続け、恐竜は多様化・巨大化し地球の覇者となります。
恐竜の時代に幕を下ろしたのは、白亜紀末の6500万年前に起こった天体衝突でした。白亜紀と第三紀の境目はK‐T境界と呼ばれ、中生代と新生代を区分しています。

悠久の生命の歴史を、酸素濃度の推移から描いたピーター・D・ウォード氏。
生命は酸素なしでは生きてゆけません。生命の大量絶滅は、ことごとく酸素濃度が急落した時期と一致しています。そして低酸素環境に適応した新しいボディ・プランをもつ生物が出現し、酸素量の回復にしたがって生物は多様性を拡大させていったのです。
生命の進化は自然淘汰による漸進的な変化の累積によると考えられていますが、生命の歴史は時として飛躍的な発展を見せます。
科学者たちのあいだで対立的に捉えられてきた「小さな進化」と「大きな進化」を、ウォード氏は「酸素濃度への適合」として一元的に説明することに成功していると、訳者・垂水雄二氏は本書を大絶賛しています。
地球の生命史を大きく見直す一冊です。

(4月20日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
スーパーサウルスは存在し得ない?!
スーパーサウルスは存在し得ない?!…U

科学書に膨大な参考文献リストは付き物ですが、本書の参考文献はすべて文藝春秋のホームページに掲載されています。
http://www.bunshun.co.jp/book/kyouryu/


ラベル:恐竜
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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