2008年05月02日

ロシアより“哀”をこめて

経済成長が著しい国といえば中華人民共和国インドの名が挙げられますが、忘れてはならないのがロシア連邦です。
ロシア(JETRO国・地域別情報)
原油をはじめとする原材料の国際価格が高騰するなか、資源大国ロシアはますます存在感を強めています。オイルマネーに潤う経済、そして退任後も最高権力者として影響力を行使し続けるであろうウラジーミル・プーチン大統領、これはロシア帝国の復活なのか…
ロシアの動向からは今後も目が離せません。



虚栄の帝国ロシア

好調なロシア経済を支えているのは、1500万人もの旧ソビエト連邦諸国からの不法就労者なのだそうです。
プーチン政権が、旧ソ連諸国からの出稼ぎ労働者を積極的に受け入れる政策を打ち出す一方、就労許可申請はなかなか下りず、結果として彼らは不法就労者となります。
彼らの出身国はタジキスタンアゼルバイジャンアルメニアモルドヴァなど。建設現場、フリーマーケット、清掃作業などの低賃金労働に従事しています。朝からウォッカをあおるロシア人と違って、酒も煙草もご法度のイスラム教徒は、とても勤勉との評判です。
ロシア経済の影の部分を担う彼らは、黒い髪の色とあいまって「黒い労働者」と呼ばれています。

モスクワへ向かう出稼ぎ列車の車掌は、無料で配られるはずのロシア出入国カードを乗客に売りつけます。
不法就労者を取り締まる警察官は、彼らの職場を訪れて、見逃すかわりに賄賂を要求します。
正規の雇用契約のない彼らに代わって、企業に名義を貸すことで不労所得を得ている一般のロシア市民もいます。
不法就労者たちは、あらゆる場面でお金を巻き上げられているのです。
そして、事故や病気と隣り合わせの劣悪な労働環境。また、スキンヘッドの不法移民反対運動組織も彼らの平穏な生活を脅かしています。
それでも本国の平均賃金の何倍もの収入を手にする「黒い労働者」たち。
ロシア以外の旧ソ連諸国の経済が、いかに疲弊しているかがわかります。
ロシアとは、周辺諸国からピンハネすることで経済が成り立っている、虚栄の帝国だったのです。

著者・中村逸郎氏は、モスクワ留学経験のある政治学者。
不法就労者とその雇い主、労働者の実態を見て見ぬ振りする役人、そしてスキンヘッド・グループの代表に接触するなど、ロシアの暗部に生々しく迫った渾身のレポートです。

(4月28日読了)

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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 18:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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