2008年05月19日

イニシャルD

1999年、東京都の石原慎太郎知事はディーゼル車が排出した煤を入れたペットボトルを振りかざしてテレビ出演。東京都の環境確保条例をきっかけに、ディーゼル車の排気ガス規制は大幅に強化されました。
石原知事の「脱ディーゼル」宣言以降、すっかり悪者とされてしまったディーゼルエンジン。国内メーカーからディーゼル乗用車は姿を消してしまいました。
(現在日本で新車購入できるのは、メルセデスベンツE320CDIのみ)



ディーゼルエンジンと自動車 鈴木孝 著

一方、ヨーロッパではディーゼルエンジンは環境対策の切り札とされ、新車販売の半数をディーゼル車が占めています。
ドイツの技術者ルドルフ・ディーゼルは、最も熱効率の高い仮想機関カルノーサイクルを目指し、ディーゼルエンジンを発明しました。ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンよりも燃料消費(二酸化炭素排出量)が少ないのです。
排気ガスの浄化が難しいのがディーゼルエンジンの弱点でしたが、現在ではPM(粒子状物質)や有害物質の排出が大幅に削減され、低公害化が進んでいます。
最新のディーゼル車はスポーティでもあります。2006、2007年と2年連続でル・マン24時間レースを制したのは、V型12気筒ディーゼルエンジンを搭載したアウディR10でした。
鈍重で、ガラガラと大きな音を立てながら黒煙を撒き散らして走るディーゼル車のイメージは、過去のものとなったのです。

日本では、ハイブリッド車がエコカーの代名詞となっています。ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド車は圧倒的な省燃費を誇り、ブランドイメージを大いに高めました。
しかしながら、エンジンとモーターを併用するハイブリッド車は、重量が増えて高コストとなります。高性能なモーターやバッテリーの製造には、レアメタルが欠かせません。
Well to Wheel(油井から車輪まで)という言葉がありますが、製造から廃棄までを含めたトータルでのエネルギー消費量や有害物質の排出量も評価する必要があるでしょう。
ディーゼルハイブリッドなら、ガソリンハイブリッドよりもさらに効率的です。

昨年はバイオエタノールが「カーボンニュートラル」であるとして注目を集めましたが、食糧からの転用は穀物市場の高騰を招きました。また、森林を伐採してバイオ燃料を製造するのでは、かえって環境を破壊しCO2排出を増やすだけです。
石油に代わる燃料としては天然ガス、GTL(ガス・ツー・リキッド)、BTL(バイオマス・ツー・リキッド)等が挙げられます。多様な燃料が使えるのもディーゼルエンジンの利点です。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの利点を併せ持ったHCCI(予混合圧縮着火)エンジンの開発も、各メーカーが進めています。

本当は環境にやさしいDiesel
この記事を読んだ方が、認識を改めてくださることを願います。

(5月11日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
ハイブリッドは世界を制すか
未来予想図

【管理人・過去の交遊書】


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:47| Comment(4) | TrackBack(1) | 科学技術交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。