2008年06月30日

小粒でもピリリと辛い国

8月8日に北京で開幕する第29回オリンピック。
前回(2004年)のアテネ大会には、202の国と地域が参加しました。

世界には193の独立国(国際連合加盟の192ヶ国とバチカン市国)がありますが、うち44ヶ国は人口が100万人に満たない小国家です。



世界の小国

太平洋には小さな島嶼(とうしょ)国が数多くあります。
人口が一万人に満たないツバル。海抜はわずか数メートルで、サンゴ礁の土壌は農業には適していません。水損資源は豊富ですが、自前で大規模な漁業は行えず、外国漁船から入漁料を徴収しています。
そんなツバルの意外な収入源が、ドメイン名ビジネスです。日本に割り振られたドメインは「.jp」で、ツバルなら「.tv」。これがテレビ局にとって非常に魅力的で、アメリカのdotTV社が支払ったドメイン使用料でツバルは国連加盟を果たしました。

太平洋のミニ国家が産業に乏しく国民所得が世界の最貧レベルなのに対し、カリブ海地域は比較的裕福です。
主な産業は砂糖やバナナなどの農損物ですが、モノカルチャー経済からの脱脚を目指し、カリブ海諸国は観光業に力を入れています。巨大市場アメリカから地理的に近いことも、観光客の誘致に有利です。
とりわけ国民所得の高いバハマは、観光に加えて世界的なタックスヘイブン(租税回避地)として知られています。
タックスヘイブンとほぼ同義語にオフショアがありますが、オフショアの意味は「沖合い」です。本国から離れた沖合いの小島が、本国よりも自由な経済環境によって金融資産を集めたことに由来します。

第二次世界大戦後に独立した太平洋・カリブ海諸国と異なり、ヨーロッパの小国は長い歴史を持っています。大国が覇権を競うなか、したたかに生き抜いてきた国々です。
なかでもルクセンブルクは、高い経済成長率を維持し、一人当たりのGDI(国民総所得)は世界一です。かつて産業の主力は鉄鋼業でしたが、現在は金融業にシフトして世界各国から投資を集めています。
隣接するドイツとフランスの領土的野心に晒されてきたルクセンブルクにとって、ヨーロッパの平和と安定は悲願であり、EU統合の中心的な役割を果たしてきました。資源や領土に恵まれなくとも、巧みな外交で存在感を示しているのです。

世界第2位の経済大国・日本ですが、今後人口は減少に向かっています。
労働力として、積極的に移民を受け入れるのか。
東洋のオフショアとなり、金融大国を目指すのか。
歴史と自然を生かして、観光立国で生きてゆくのか。
それとも独自の外交で、超大国と互角に渡り合うのか。
日本の未来を考えるうえで、小国たちの生き残り戦略には大いに学ぶべきものがありましょう。

(6月29日読了)


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2008年06月29日

パクられた!

大宮信光なる人物がいる。
SF乱学者を名乗り、著書も多数あるらしい。

『SF乱学講座 話題掲示板』の大宮の投稿は、100%他人の文章の丸写しである。
そして最後に、申し訳程度に引用元のリンクが貼ってある。
全文パクっておいて、今さらなにをという感じだ。
しかも「From:大宮信光」などと、あたかも自分の書いた文章のように装っている。
パクられた記事@

こちらは「引用」したことはわかるが、やはり全文パクリ。
パクられた記事A

『SF乱学講座 話題掲示板』には、次のようなルールがある。
他の人の文章を引用する場合は、引用元と引用範囲が、はっきり分かるような書き込み方でお願いします。
プロの物書きでありながら、物を書くルールを全く知らないようだ。

他人の文章を全文転載することを引用とは呼ばない。著作権法違反という。
ブログを書くときに知っておきたい、著作権に関する知識(セコム)

※このエントリに限り、管理人の承諾なく全文転載することを認めます。
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2008年06月22日

ふたつの法隆寺

現存する世界最古の木造建築物、法隆寺。1993年、日本で最初の世界遺産に登録されました(姫路城・屋久島・白神山地と同時)。

法隆寺は聖徳太子によって607年に創建されましたが、670年に焼失したと伝えられています。再建・非再建をめぐって長く論争が繰り広げられましたが、創建当時の遺構とみられる若草伽藍の発掘、木材の伐採年代測定から、現存する法隆寺は再建されたとするのが定説です。



法隆寺の謎を解く 武澤秀一著

法隆寺の謎を探ることは、聖徳太子の人物像にも迫ることとなります。
哲学者・梅原猛氏は、法隆寺は非業の死を遂げた聖徳太子の怨霊を封じ込めた場所であると唱え、一大論争を巻き起こしました。法隆寺の中門には中央に柱が立っていますが、これは法隆寺だけの特徴であり、怨霊が出てくるのを防ぐ意図があると梅原氏は考えたのです。
梅原氏の『隠された十字架』に対し、柱の存在には別の意味がある、怨霊信仰が成立したのは後の時代である、などと反論が出されました。しかし、法隆寺だけに柱が存在する理由は全く説明できていません。

建築家の武澤秀一氏は、中門の柱が存在する理由を美的観点から説明しています。
初期の寺院は、同じく聖徳太子の創建になる四天王寺のように、門・塔・金堂・講堂がタテ一直線上に並ぶ左右対称の伽藍配置を採っていました。旧法隆寺である若草伽藍も、四天王寺と同じレイアウトになっています。
再建された法隆寺は五重塔と本堂が左右に並ぶ、非対称の伽藍配置です。大きさ・形が全く異なる建物を並べて視覚的バランスを取るのは困難を極めます。そこで視線の焦点となって構図を引き締めるのが、中門中央の柱なのです。
武澤氏はヨコ並び伽藍配置のルーツを、天皇家による最初の寺院・百済大寺(吉備池廃寺)に求めています。

柱が怨霊封じであることを否定した武澤氏ですが、法隆寺再建に隠された政治的な意図まで否定したわけではありません。
旧法隆寺である若草伽藍は、聖徳太子の邸宅・斑鳩宮と並行して建てられました。ともに真北から20°西へ向いています。ところが再建された法隆寺は向きを変え、起伏のある地形を整地してまで敷地を移動しています。そのうえ伽藍配置まで変わっているのです。
創建時からの本尊とされる釈迦三尊像に火災の跡が全く見られないことから、現在の法隆寺は若草伽藍が存在した頃から建造が始まっていたとも考えられます。

法隆寺の「再建」が始まったのは、天智天皇の時代です。
天智天皇の父は舒明天皇、母は皇極天皇。いずれも聖徳太子の子・山背大兄王を退けて皇位に就いています。天智天皇による第二の法隆寺の創建は、いまだ民衆の思慕の厚い上宮王家の痕跡を消し去り、自らの王統の正統性を示すためのデモンストレーションだったのでしょうか。
そして必要のなくなった隣の若草伽藍は、故意に破壊された…?

わが子・大友皇子が皇位を嗣ぐことを願った天智天皇ですが、それは叶わず、壬申の乱によって弟の天武天皇が即位しました。
天武天皇の時代になって建てられた薬師寺は、中央に金堂があって左右に二つの塔を配する、新羅式のシンメトリーレイアウトです。天武天皇は法隆寺に認められた権益を廃止しており、五重塔の再建工事に長期の中断があったのは、そのせいかもしれません。ここに明らかな王権の政策転換が見て取れます。天武天皇の曾孫・聖武天皇が建てた東大寺もまた、薬師寺と同じく左右対称となっています。

壮麗な寺院建築は、権力者のモニュメントでもあります。
伽藍配置の変遷と皇位継承との関連は、建築家ならではの慧眼です。

(6月22日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
・法隆寺の仏像について
秘仏封印
女帝・かぐや姫
・若草伽藍20°の傾きについて
日本のルーツを求めて
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2008年06月17日

地球温暖化は繰り返す(後編)

7月7日から9日にかけて開催される北海道洞爺湖サミットまで、一ヶ月を切りました。
福田康夫内閣総理大臣は、洞爺湖サミットを環境サミットと位置づけ、日本の積極的なCO2排出削減策を打ち出すものと思われます。

しかし地球温暖化の原因がCO2でないのなら、排出削減に意味はあるのでしょうか?
あるいは温暖化の原因がCO2であっても、世界が率先して取り組むべき課題は他にないのでしょうか?



地球温暖化は止まらない
S・フレッド・シンガー デニス・T・エイヴァリー 著

人類の歴史上、温暖期は文明の発展期であり、寒冷期には凶作で人口が減少して文明は停滞しました。
地球の気候は温暖期には湿潤で穏やかですが、寒冷期になると乾燥して嵐が多くなります。温暖化はむしろ人類(そして多くの生物)にとって歓迎すべき事態です。
地球温暖化は海面上昇をもたらし、暴風雨や干ばつが増加し、多くの野生生物が絶滅に至るとのシナリオが流布していますが、これら「温暖化がもたらす脅威」を本書はことごとく否定しています。
温暖化で水没するとされる国・ツバル周辺の海面は上昇しておらず、浸水の原因は過剰な砂の採掘にあるそうです。
温暖化によるサンゴの白化は、新たな共生藻と適応する準備であって、サンゴの死ではないといいます。

地球温暖化は自然現象であるというのが本書の主張です。
CO2は温室効果ガスですから、その増加が地球の温暖化を促進することは間違いないでしょう。そして産業革命以降の人類の経済活動が、大量のCO2を排出し続けていることも事実です。
とはいえ現在の地球の平均気温の上昇のうち、どこまでが自然現象で、どこからが人為的要因(ヒートアイランドを含む)なのかはハッキリしません。

私はCO2の排出削減自体には賛同します。地球が温暖化していようがいまいが、化石燃料の埋蔵量は有限だからです(取り組むべきは省エネルギーであって、排出権取引ではありません)。
人類が直面するもうひとつの課題は、食糧危機です。穀物からのバイオ燃料製造は食糧不足を招き、森林を破壊します。
ある国にとって海面上昇が差し迫った問題ならば、CO2の削減以前に海岸線に堤防を築くべきでしょう。都市のヒートアイランドもまた、放置できない問題です。
地球温暖化よりも優先すべき課題は数多くあります。

地球温暖化CO2主因説への懐疑論は、京都議定書に対する産業界の反発や、CO2削減が思うように進まないことから生まれた抵抗運動に過ぎないと思われる方もいらっしゃるでしょう。
確かに著者の一人、エイヴァリーはアメリカの保守系シンクタンクに所属しています。
しかし一方のシンガーは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のメンバーなのです。

『地球温暖化は止まらない』という邦題は、CO2を削減しない限り地球温暖化は止まらないとか、地球はこのまま一方的に温暖化し続ける主張だと誤解を招く気がします。私は『地球温暖化は繰り返す』がふさわしいと思いますが、いかがでしょうか。
1500年周期説では、この先地球が寒冷化することもありえます。そのための対策も地球温暖化と同様に考えておかねばなりません。

一時期オゾンホールの出現が騒がれましたが、今では誰も話題にしなくなりました。
現在の地球温暖化狂騒も、いずれ昔話となるでしょう。

(6月9日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
・地球温暖化については
マイナス6%の覚悟
地球の現代史・不確かな真実V
不確かな真実U
不確かな真実
悲観も楽観も、いけません。
・太陽が地球にもたらすエネルギーについては
スーパースターBest20


注意事項
ラベル:地球温暖化
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2008年06月16日

地球温暖化は繰り返す(前編)

6月は環境月間です。
先日、NHKは『SAVE THE FUTURE』と称して、朝から晩まで地球温暖化に関する番組を放送していました。
地球温暖化の原因は人類の文明活動によって大気中の二酸化炭素(CO2)が増加したせいであり、温室効果ガスの排出削減が国際社会の緊急課題である…日本のマスメディアはどこも同じ態度です。

しかしながら科学の世界では、地球温暖化の原因がCO2で決着がついたわけではありません。
このところ地球温暖化CO2主因説に対する懐疑論が目につくようになってきました。



地球温暖化は止まらない
S・フレッド・シンガー デニス・T・エイヴァリー 著

地球の歴史はこれまで、温暖化と寒冷化を繰り返してきました。
南極大陸やグリーンランドの氷床コアは、過去数十万年もの気候の変化を刻んでいます。そこから明らかとなったのは、地球には約1500年の気候周期があることでした。
地球に気候周期をもたらすのは、太陽の活動だと考えられます。太陽の活動に1500年周期はありませんが、87年と210年の周期があり、この二つを組み合わせた1470年周期が気候変動とほぼ一致するのです。

歴史時代に入ってからも、人類は周期的な気候変動を経験しています。
紀元前200〜紀元600年頃の温暖期は、ローマ帝国が繁栄しました。
600〜900年頃は暗黒の寒冷期と呼ばれ、民族の大移動によってビザンツ帝国は衰退しています。
900〜1300年頃の中世温暖期は、グリーンランドに文字通り緑があふれ、ヴァイキングが積極的に入植していた時代です。
1300〜1850年の間には、二度の小氷河期が訪れました。
いずれの時代も、温暖期には文明が発展し寒冷期には衰退しています。

このように過去の温暖期や小氷期の存在は、科学的に確かめられています。
ところがIPCC第3次報告書に採用された気候学者マイケル・マンの気温グラフは、近年になって急激な上昇カーブを描いていました。まるでホッケースティックのように。
マンのグラフに対し、過去の気候変動を意図的に無視しているとの批判が出されました。これがホッケースティック論争です(IPCC第4次報告書では訂正されています)。

地球温暖化が一転して、急激な寒冷化をもたらすとの説もあります。
確かに過去一度、このような現象が起きました。今から1万2千年前のヤンガードライアスは、温暖化によって融け出した北極の氷が、北大西洋海流を不安定化させたのだと考えられています。
ただし、この時は氷河期からの温暖化であって、現在の地球には当時のように大量の氷床はありません。したがって映画『デイ・アフター・トゥモロー』のような、ヤンガードライアスの再現は有り得ないのです。

過去の温暖化の原因が、化石燃料消費によるCO2増加であるはずがありません。
産業革命以前に大気中の0.028%だったCO2は、現在では0.038%に増加しています。では、それによって地球の気温はどれだけ上昇したのでしょうか?
最大の温室効果ガスはCO2ではなく、実は水蒸気です。本書はCO2の増加は地球温暖化の遅行指標であり、むしろ気温の上昇によって増加したのだとします。
また都市部のヒートアイランド現象が、観測気温を大きく上昇させていることも忘れてはなりません。

メディアの多数派は、地球温暖化CO2主因説です。
しかし科学の真理は、多数決で決めるものではありません。
地球が太陽の周りを回っていると考えたのがガリレオ・ガリレイ一人だった時代でも、正しいのは彼でした。

(続く)


注意事項
ラベル:地球温暖化
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 03:15| Comment(6) | TrackBack(0) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月09日

王山古墳群と舟津神社

funadu1.JPG
古墳と聞いて興奮するわけではありませんが(笑)、2008年6月8日、福井県鯖江市の王山古墳群の整備工事完成を記念した講演を拝聴いたしました。

王山古墳群は鯖江市を代表する史跡で、弥生時代中期から古墳時代中期(1〜5世紀)にかけての墳墓が54基確認されています。とりわけ弥生時代の方形周溝墓が発掘調査された先駆的な事例であり、保存状態も良いことから昭和42年に国の史跡に指定されました。
王山古墳群のある丘陵地の麓には、北陸地方随一の古社である舟津神社があります。舟津神社の祭神は大彦命。第8代孝元天皇の皇子で、第10代崇神天皇の時代に大和朝廷が全国を平定すべく派遣した、四道将軍の一人です。阿倍氏の祖である大彦命を、メスリ山古墳(奈良県桜井市)の被葬者だとする説もあるようです。

舟津神社の宮司でもある橋本政宣・東京大学名誉教授が「古墳と神社」と題して講演。そして昭和40年の発掘調査に携わった椙山林継・國學院大學神道文化学部教授が、当時の貴重な記録を写真を交えて紹介しました。
最後に両氏が、歴史遺産の保存と活用について討議。
椙山氏が「研究者がいくら学術的価値を訴えても歴史遺産は保存されない。保存は地域の住民次第である。地域住民が遺跡の存在を知り、そこを訪れることが何よりも大切だ」と訴えたのが印象的でした。
それを受けて橋本氏は「学校教育は教室のなかだけでなく、もっと野外に出て自然や史跡と触れ合うべき」と述べました。

というわけで、私も身近に残る歴史遺産を全国に発信いたします。
王山古墳群と舟津神社の写真は不純文學交遊界にUPしました。
不純文學交遊館 王山古墳群・舟津神社

古墳と一体化した神社は、実は全国に少なからずあります。
講演では触れられませんでしたが、宇佐神宮(大分県宇佐市)も古墳の上に建っているそうです。これが卑弥呼の墓だという論者もいます。
【不純文學交遊録・過去記事】
邪馬台国は、ここにある。

今回の講演、残念ながら質問タイムは無し。
ラベル:古墳
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:44| Comment(4) | TrackBack(0) | 書を捨てて街へ出る会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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