2008年08月11日

名探偵「星の君」

私がこれまで交遊したミステリ小説で、最も独創的かつ最も許せないトリックを用いた作品は、小森健太朗氏の『ローウェル城の密室』です。
少年と少女が中世ヨーロッパを描いた漫画の世界に入り込み、王城で起こった密室殺人事件に遭遇するというもの。史上最年少の16歳で、江戸川乱歩賞の最終候補作となりました。
小森氏は東京大学卒。ミステリ作家としては寡作な部類に入るのでしょうが、神秘思想に造詣が深く翻訳書もいくつか出しています。

『ローウェル城の密室』には、知を司る「星の君」なる女性が登場し、延々と密室講義を繰り広げます(実際に作品で用いられたトリックは、密室講義が全く意味をなさない「独創的」なものでしたが…)。
その「星の君」を彷彿とさせる人物が、探偵役を務める作品が『星野君江の事件簿』です。



星野君江の事件簿 小森健太朗 著

7つの事件が収められた短編集。
チベット、インドを舞台にした事件では、異国の風土ならではのトリックが登場します。
抜群の推理能力を発揮して真相に到達する星野君江嬢ですが、事件は彼女のあずかり知らぬところで解決している…というオチがたびたびあって、笑えます。

本書には、実際に小森氏が遭遇した不思議な出来事に基づいた作品が含まれています。
池袋駅近くのトイレで、一時間半以上にも渡って同じ位置で立ち続ける男子中学生。誰かを見張っているのかと思いきや、その位置から外の景色を見ることはできず、トイレの外から彼の姿を確認することもできません。小説の結末は、小森氏の想像です。
1994年頃の出来事だそうです。小森氏はより合理的な解決案、あるいは事の真相を知っている方を募集しています。
みなさんも考えてみてはいかがですか?

(8月11日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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