2008年10月13日

地球温暖化リテラシー

今年のノーベル賞は、日本人が4人受賞しました。
物理学賞には素粒子理論(対称性の破れ)で南部陽一郎小林誠益川敏英の三氏、化学賞には緑色蛍光タンパク質を発見した下村脩氏が選ばれています。
長らく品切れになっていた受賞者の著書にも問い合わせが相次ぎ、重版が決定したようです。
昨年は、平和賞にアル・ゴア元アメリカ副大統領とIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が受賞したことで話題になりました。しかし彼らの受賞理由となった地球温暖化論に対しては、様々な異論が出されています。

メディアリテラシーという言葉があります。リテラシーとは読み書き能力の意味で、メディアを使いこなす能力と解釈されます。
地球温暖化論は、私たちのメディアリテラシー(さらには科学リテラシーと政治リテラシー)が試される格好のテーマではないでしょうか。



地球温暖化論のウソとワナ 伊藤公紀 渡辺正 著

本書を読んでまず驚かされるのは、気温測定がいかに杜撰であるかです。
日本国内の観測サイトで信頼できるデータが得られるのは、3ヶ所しかありません。

二酸化炭素の増加が地球の気温を上昇させるのはホントです。
そして20世紀後半以降の二酸化炭素の増加の多くは、人為的要因でしょう。
ただし最大の温室効果ガスは水蒸気であり、地球が温暖なのは大部分(90%以上)が水蒸気のおかげなのです。二酸化炭素が現在の2倍になったときの気温上昇値(気候感度)は、1.6℃だといいます。

地球の気候を変動させる要因は、温室効果ガスだけではありません。
二酸化炭素を吸収するはずの緑地が増えると、気温が上昇します。これは緑色のアルベド(反射率)が地面よりも低く、太陽光を吸収するからです。
雲は太陽光を反射し、雲の増加は気温を低下させます。雲の発生には宇宙線が影響しており、宇宙線の強弱は太陽磁気によって変化します。
大気中のエアロゾル(微粒子)もまた、気温低下の要因です。着色エアロゾルは逆に、気温を上昇させます。
気候変動の要因は他にも太陽の活動、火山活動、北極振動、ミランコビッチ・サイクルなど数多くあります。気候はあまりにも複雑であり、IPCCのコンピュータ・シミュレーションでは再現できません。科学には限界があるのです。

温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書は、EU(ヨーロッパ連合)に有利な1990年を基準に定められています。大量排出国が批准しなかったり、発展途上国に削減目標がなかったりと、結局は日本だけが実質的な削減義務を負う不平等条約です。
排出権取引とは、排出量を超過した国が達成した国から排出権を買うだけで、実質的に二酸化炭素が削減されるわけではありません。
サブプライムローン崩壊に端を発した世界的な金融不安と同様、近い将来、科学的根拠のない排出権取引が崩壊して世界経済を混乱に陥れるかもしれません。

地球温暖化論のウソ(科学的な誤り)については伊藤氏が、ワナ(政治的な思惑)の部分を渡辺氏が執筆しています。
ウソとワナという扇動的なタイトルが付いていますが、本書の内容は極めて冷静です。
データが豊富で、地球科学に関心を持つ全ての方にオススメできます。
ただ、誤字が多数見受けられるのが残念。

(10月12日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
マルクスさんとマルサスさん
地球寒冷化に備えよ!
温暖化詐欺にご用心!(前編)
温暖化詐欺にご用心!(後編)
地球温暖化は繰り返す(前編)
地球温暖化は繰り返す(後編)
マイナス6%の覚悟
地球の現代史・不確かな真実V
不確かな真実U
不確かな真実
悲観も楽観も、いけません。


※注意事項


ラベル:地球温暖化
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:38| Comment(23) | TrackBack(2) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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