2008年11月24日

お金の価値はどこにある

アメリカのサブプライムローン崩壊に端を発した、世界金融危機。失われた資産は1兆4千億ドルにも達する(ゴールドマンサックス)そうです。
あっという間に弾け飛んでしまった、世界中の膨大なお金。文学部出身である私は、経済・金融政策よりも、そもそも「お金とはナニモノなのか?」に強い興味があります。



貨幣の経済学 岩村充 著

本書は、お金=貨幣とは何か、貨幣の価値はどこから生まれているのか、基本に立ち返って考えようとの主旨です。
まずは貨幣の起源から幕末の日本を襲ったインフレ、金本位制の時代を経て現在の変動相場制に至る、お金の歴史が語られます。
お金の価値とは、全くのバブルに過ぎないのでしょうか。それとも社会には、お金の価値をつなぎとめるアンカー(錨)のような存在があるのでしょうか。
お金の価値の拠り所となるものとして、金や土地や株式などが候補に挙げられます。そして最終的には財政(具体的には国債)こそが貨幣価値のアンカーであるというのが、本書の主張です。

わが国は600兆円もの国債残高を抱えています。このままでは日本国は破産してしまうのでしょうか?
本書の回答は「NO」です。政府の財政力が不十分なら、国債の価格は下落します。国債の実質価値が値下がりするということは、貨幣価値の低下を意味します。貨幣価値の低下とはイコール物価の上昇であり、国の財政力に不安が生じたときに起こるのはインフレであって、国家の倒産ではないのです。
ただし国家が倒産しないのは、国債が自国立て通貨である場合に限ります。外貨建て国債は、その国の財政不安から通貨価値が下落しても、実質返済負担は変わりません。外貨建て国債を大量に発行している国は、税収不足に陥ると破綻します。

麻生内閣は景気対策として、すべての国民に総額2兆円の定額給付金を支給することを決めました(具体的な支給方法や高額所得者への給付をどうするかで、もめていますが…)。一人当たり1万2千円(子供と高齢者は2万円)、果たして効果はあるのでしょうか?
ここに「マイナス金利の貨幣」というアイデアがあります。時間が経つと価値が減少していくお金で、もともとは「地域通貨運動の教祖」シルヴィオ・ゲゼルが提案したものです。単なるバラマキでは貯蓄に回ってしまうお金も、時間とともに価値が下がるのであれば、価値があるうちに使わざるをえません。
ゲゼルは紙幣にスタンプを押すことでマイナス金利を実現しましたが、現代には電子マネーというものがあります。電子マネーならば、貨幣そのものにプラスでもマイナスでも、自由に金利が付けられます。
自然利子率(モノの価値)がマイナスになった時は、名目金利(貨幣の価値)をマイナスにすることで、流動性の罠(金利が一定水準を下回ると、いくら貨幣の供給を増やしても消費や投資が増えない)を回避することができるというのです。

本書は経済学を学んだことがない人にでも、インフレやデフレのメカニズムが解りやすく書かれています。
ただ、文末の記述は「思っている」「考えている」が多くて、金融理論には確たるセオリーはないのかな?とも感じました。

最後まで読んでも私には、やはりお金の価値とはバブルではないかとの疑念は晴れませんでした。
ヒトはなぜお金(マネーおよびゴールド)に魅せられるのか?
実は経済そのものが、人類が生み出した巨大なバブルではないのか?
…文学的な問いには、そう簡単に解答を得られそうにありません。

(11月17日読了)


マイナス金利をめぐって


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:43| Comment(26) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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