2009年01月04日

それでもバブルは繰り返す

本日は、世界金融危機を理解するのに非常に有効な一冊です。
サブプライムローンとはいかなる金融商品で、いかにして崩壊の道をたどったのか。本書には詳細な解説がなされています。



資本主義は嫌いですか 竹森俊平

サブプライムローンは、信用力の低い個人向けの住宅融資で、所得なし(No Income)・職業なし(No Job)・資産なし(No Asset)でも通ってしまうことから、NINJA(忍者)ローンとも呼ばれます。
数多くの住宅ローン債権を束にした証券が作られ、それに格付け機関がトリプルAのお墨付きを与えて売り出されました。まさに忍術のような金融商品です。
ところがサブプライムローンの歴史は浅く、債務不履行率のデータはごく短期間しかありません。しかもその間、アメリカの住宅価格は上昇傾向にあり、サブプライムローンの安全性は過大評価されました。
サブプライムローンの債務不履行の増加につれて、住宅バブルは崩壊しました。

アメリカの住宅バブルは、なぜ起こったのでしょうか。
明確な結論は下せないとしながら、本書では低金利政策に加えて、人々が住宅価格の上昇を期待した心理的な要因を挙げています。
世界各地でバブルが頻発する背景には、「金融資産の超過需要」と「実物資産の超過供給」という、世界経済の不均衡があるといいます。そこで新たな投資対象を作り出して、バブルが生み出されているのです。

世界経済の不均衡とは、世界的な貯蓄過剰であり、それは経済成長率の高い新興国の貯蓄過剰です。
バブルを起こさないには、どうすればよいのでしょうか?
ひとつは、世界経済全体を低成長にすることです。経済成長率が低下すれば、資源・食糧価格の高騰や地球温暖化も緩和されます。
経済成長を維持するのであれば、新興国での投資対象を増やす方法があるでしょう。
しかし、いずれも容易ではありません。

バブル経済を発明したのは、稀代の天才にして詐欺師と評価されるスコットランド生まれの実業家ジョン・ローであるといわれます。
本書の第T部では、ジョン・ローで始まりジョン・ローで終わる物語を通して、資本主義経済の本質が浮かび上がってきます。
第U部と第V部は金融についてのテクニカルな議論ですが、第T部は経済を学んだことのない人にも読みやすい内容です。

(1月4日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 17:40| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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