2009年05月03日

退化する芸術

モナリザにひげを生やしたり、便器にサインをしただけで「芸術」と称する、マルセル・デュシャンの作品をご存知の方は多いでしょう。
抽象的な絵画、ガラクタを寄せ集めたオブジェ、建造物を巨大な布で覆うパフォーマンスなど、現代アートは「よく解らない」と言われます。
芸術とは美とは、一体何なのでしょうか?



現代音楽と現代美術にいたる歴史

北原惇 著

ポール・マクリーンは、人間の脳は三層構造になっていると唱えました。
一番下にあるのは爬虫類の脳で、捕食や繁殖といった生命を維持する行動を司ります。
次いで原始的な哺乳類の脳(大脳辺縁系)があり、感情を表すことができます。
その上に進化した哺乳類の脳(大脳新皮質)があります。人間の脳は新皮質が非常に発達しており、美や道徳など高度な創造的活動を生み出します。
本書は、マクリーンの脳科学を用いて、芸術とは美とは何かを論じる試みです。

人間は病気やストレス、化学物質の影響、そして戦争や災害などの衝撃的な体験によって、大脳新皮質が機能しなくなることがあります。そうなると欲望や感情をコントロールできなくなり、人間の行動は原始的な哺乳類や爬虫類の段階にまで退行してしまいます。
北原惇氏は、アフリカ系アメリカ人の過酷な奴隷体験や差別体験が、麻薬やグラフィティ(落書き)、バンダリズム(破壊行動)などのゲットー文化を生み出したといいます。
欲望や官能をストレートに歌うアフリカ系アメリカ人のリズム&ブルースは、それを聴いたアフリカ系以外の若者をも魅了し、ロックンロールの名で商業音楽化されて世界を席捲しました。ロックとともに、反社会的なゲットー文化が、アメリカをはじめ世界を侵食しているのです。
北原氏には、そのものズバリ『ロック文化が西洋を滅ぼす』という著書もあります

つまり、対抗文化とは退行文化だった…
意味不明なアートの氾濫は、人類の文明の行き詰まりを暗示しているのでしょうか?
近代がもたらした弊害を批判する、保守思想書としても読めます。

(4月29日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 芸術・娯楽交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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