2009年05月11日

アメリカは自滅したがっている?

「変革」を掲げ、今年1月に発足したバラク・オバマ政権。景気回復に大きな期待がかかる一方で、巨額の経済対策は、危機的なアメリカ財政をさらに悪化させるとの懸念もあります。
オバマ政権下でドル基軸通貨体制の崩壊が起こると予測するのは、国際ジャーナリストの田中宇氏です。世界金融危機を受けて2008年11月15日にワシントンDCで開かれたG20(金融サミット)は、ドルに代わる国際通貨体制を模索した、第2のブレトンウッズ会議であったと述べています。
第2次大戦後の世界経済の安定化を図った、1944年のブレトンウッズ会議は、金1オンスを35ドルと定め、ドルと各国通貨との交換比率を固定しました。ブレトンウッズ体制は、1971年の金ドル兌換停止(ニクソン・ショック)によって崩壊します。



世界がドルを棄てた日

田中宇 著

19世紀に覇権国家だったイギリスは、二度の世界大戦を経てアメリカに覇権が移っても、国際政治を黒幕的に操ってきました。製造業が衰退したイギリスにとって、諜報こそが最大の産業。まさに007の国ですね。
一方、ニューヨークの金融資本家たちは、凋落傾向にあるアメリカ市場よりも成長著しい途上国市場を重視し、世界規模で利潤を最大化することを目論んでいます。
英米覇権主義を掲げる軍産複合体と、国際多極主義を目指す金融資本家。アメリカ政治の背後には、ふたつの勢力の暗闘があると、田中氏は推測しています。

田中氏は9.11同時多発テロを、軍産複合体が「テロとの戦い」という第2の冷戦を展開するために、テロを予測しながら防ごうとしなかった、自作自演的なものだとしています。しかしながら9.11後のアメリカは、軍事費増加による財政悪化、イラク情勢の泥沼化など、どう考えても自国に不利な状況へ向かっているとしか思えません。
これはブッシュJr.政権の戦略の稚拙さに加えて、多極主義者がアメリカを故意に破滅へと導いているからだと田中氏は言うのですが…

日本や中国は、自国通貨が基軸通貨となることのリスクを避け、アメリカの単独覇権が維持されることを願い続けてきました。しかしドルに依存する世界経済は、そう長続きしそうにありません。特に対米従属路線しか頭にない日本に対し、多極化する世界の一翼を担うべく覚醒が必要であると、田中氏は強く訴えています。
地球温暖化問題については、先進国が排出ガス課税によって途上国の経済成長をピンハネする策略であり、温暖化対策をしなくても人類は困らないとの認識です。

たいへん面白い読み物なのですが、さてアメリカ政府は本当に財政破綻したがっているのでしょうか…?

(5月11日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
バラク・オバマと7つのアメリカ
それでもバブルは繰り返す


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 21:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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