2009年05月25日

205万円の衝撃(前編)

5月18日に発売された3代目トヨタ・プリウスは、異例尽くめのデビューとなりました。
・設計変更による発売延期
・発表前にオフィシャル写真が流出
・さらに発表前に価格情報が流出
・発売前の車両を公共の場に展示
・トヨタ系全ディーラーでの販売
・旧モデルの装備を見直して継続販売
あまりにも詳細な情報が事前に判明していたため、発表時には新鮮味が感じられなかった新型プリウス。おなじみモーターファン別冊『すべてシリーズ』も、早々と書店に並びました。



新型プリウスのすべて

新型プリウスで最も注目を集めたのは、なんといっても価格です。
1,800ccへの排気量アップや装備の充実度から、価格上昇が予想されていた3代目プリウス。量産効果によるハイブリッドシステムのコストダウンによって、既存車種との価格差が縮まるとの報道もありましたが、205万円からの価格は予想をはるかに下回る衝撃的なものでした。これは明らかに、189万円からの低価格でハイブリッド車を普通のクルマにすると謳ったホンダ・インサイトへの対抗処置です。
新型プリウスのラインナップは、最廉価版「L」が205万円、量販グレードの「S」が220万円、上級仕様の「G」が245万円。おそらく当初は「L」の価格を220万円位で考えていたのではないでしょうか。

世界トップレベルの低燃費、大幅に向上した走行性能、ソーラーベンチレーションやLEDヘッドランプといった最先端装備、室内スペースの改善、そして累計100万台以上の販売実績。新型プリウスを開発したエンジニアたちは、自信満々で3代目を世に送り出したはずです。たとえ今より20万円高くても、太刀打ちできるクルマは存在しないでしょう。実際に新型プリウスの予約は絶好調で、発売日には受注が空前の8万台に達しました。
しかし経営陣の思いは違ったようです。燃費でも装備の充実度でも、旧型プリウスにすら及ばないインサイトを過度に恐れ、205万円という価格勝負に打って出ました。そのうえカタログには、インサイトに見立てたマイルドハイブリッド車との比較まで載せて、情けなくなってきます。こういった比較は普通、販促チラシレベルでやるものでは?
創業期以来の赤字が、世界一の自動車メーカーをここまで弱気にさせてしまったのでしょうか。

4月にはインサイトがハイブリッド車として初の販売台数1位を獲得し、フィットとともにホンダがワンツーフィニッシュを果たしました。ホンダディーラーでは、インサイトの集客力が他車の成約につながっているようです。
一方、もともと知名度の高いプリウスは指名買いが多く、他車への波及効果は限定的。しかもプリウスの戦略的な価格設定は、他のトヨタ車を割高に見せてしまいます。
逆境のなかでも黒字を確保したホンダに対し、過大な生産能力が重荷となって今年度も赤字が見込まれるトヨタ。
この勝負、プリウスvsインサイトはプリウスの勝ちトヨタvsホンダはホンダの勝ち、といったところでしょうか。

(続く)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学技術交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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