2009年08月13日

エンジンはないほうがいい!(後編)

クルマが走るのに必要十分なパワーが得られれば、エンジンは小さく、燃料消費が少なく、排気ガスがクリーンな方がいい。これからの潮流はダウンサイジングです。
排気量が小さいエンジンでパワーを稼ぐには吸気量を増やす、つまり過給すればいいのです。ハイブリッド化してモーターがエンジンをアシストする方法もあります。実質的な小排気量化であるミラーサイクルでも同じです。
かつて大型トラックのエンジンはV型8気筒や10気筒でした。しかし現在では直列6気筒のターボ過給が主流となっています。
小型車のエンジンは3気筒が本命になるだろうと、畑村氏は述べています。



最新!自動車エンジン技術がわかる本

畑村耕一 著

畑村氏は現在、HCCIエンジンの開発に取り組んでいます。
HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition=予混合圧縮着火)は、ガソリンエンジンのように空気と燃料を混合し、ディーゼルエンジンのように圧縮で自己着火するエンジンです。高効率とクリーンな排ガスを両立します。
いずれ電気自動車の時代が来るのでしょうが、発電・送電や電池の製造段階を考慮すると、現時点ではハイブリッド車の方がエネルギー効率に優れているそうです。当面はエンジンの時代が続きます。HCCIが最後のエンジンとなるのかもしれません。
燃料電池車も公道を走り始めていますが、本格的な水素エネルギー社会が到来しても水素エンジンの出番はないとする著者の見解に、私も同意します。

本書にはガソリン、ディーゼルから研究中のHCCIまで、最新のエンジン技術の数々がわかりやすく紹介されています。エンジン単体の進化だけでなく、高効率なトランスミッション、車体そのものの軽量化、クリーンな燃料の開発なども重要です。
あれとあれを組み合わせると、素晴らしいクルマが出来上がるのではないか…想像すると楽しくなってきます(最終章は、著者によるエンジン開発シミュレーションです)。実際には各メーカーの得手・不得手な技術があったり、特許の壁があったりで、すべてを組み合わせた理想のクルマを作るのは難しいでしょうけど。
エンジンはクルマのキャラクターを大きく左右する要素であるせいか、小規模メーカーであってもほとんどが自社開発です。メーカーの壁を超えてエンジンを供給しあう水平分業が進むと、自動車産業は大きく様変わりする気がします。

(8月11日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
エンジンはないほうがいい!(前編)
205万円の衝撃(前編)
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景気回復の救世主?(前編)
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イニシャルD


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学技術交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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