2009年08月16日

チャップリンは知っていた(後編)

では最新作『六つの手掛り』の探偵役は…
黒いスーツにソフト帽を被り、ちょび髭を生やした小太りの男。その容姿を一言で表すなら、太ったチャップリン。元マジシャンで、大道芸プロモーターの林茶父(はやし・さぶ)です(そういえば、茶風林という役者さんもいましたね)。
探偵役はマジックが得意とくれば、メインとなるのはやはり物理トリックです。



六つの手掛り
乾くるみ 著

収録されているのは次の6編。
・六つの玉
乗っていたタクシーが雪道で事故に遭い、一晩の宿をとった林茶父たち。
旅芸人の青年は、なぜ死んだのか?
・五つのプレゼント
女子大生にゼミ生から贈られたプレゼントの中に、爆発物が含まれていた。
誰がどうやって送りつけたのか?
・四枚のカード
超能力マジックを披露したカナダ人教授が殺害された。
無くなったESPカードが示す犯人とは?
・三通の手紙
誤って送られてきた沖縄旅行の写真。
鉄壁と思われた、留守番電話のアリバイが崩れる?
・二枚舌の掛け軸
富豪の邸宅で開かれたパーティで、お披露目された二枚の掛け軸。
悪戯好きの富豪を殺したのは誰か?
・一巻の終わり
人気作家の自宅に集まった評論家・編集者たち。
毒舌ミステリ評論家殺害の擬装は、なぜ見破られたのか?

面白い作品が揃っていますが、『四枚のカード』は犯行動機が曖昧なのが不満でした。文系ミステリ愛好家にとって重要なのは、物理的なトリックの切れよりも、カタルシスのある結末ですので。
最後の『一巻の終わり』は書き下ろしで、本の作りまでオチに合わせてあります。文字通り、一巻の終わりに相応しい演出です(666ページで終わる『バトル・ロワイアル』を思い出しました)。

本書はミステリ好きならずとも、どなたでも楽しめる一冊です。
乾くるみ氏に興味をもたれた方は、稀代の怪作Jの神話』にも挑戦してみては?

(8月14日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
チャップリンは知っていた(前編)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 09:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。