2009年11月18日

ニッポンに希望はあるか(後編)

昨年秋の世界金融危機では、サブプライムローンの影響が少ないはずの日本で、景気が大きく後退しました。
日本が不況に陥った原因は、輸出の大幅な減少です。過剰消費といわれたアメリカ市場が縮小し、為替相場は円高となりました。
輸出はGDPの一割に過ぎませんが、日本経済は一割の輸出産業に大きく依存しています。日本を代表する企業であるトヨタが、創業期以来の赤字に転落したのは、象徴的な出来事です。
日銀のゼロ金利政策により、金利の安い日本で資金を調達して金利の高いアメリカに投資する、いわゆる円キャリー取引が発生し、アメリカで住宅バブルを引き起こしていた疑いがあります。




希望を捨てる勇気
池田信夫 著

2000年代の日本の経済成長は、輸出という名のドーピングによる、偽りの好況だったのでしょう。
円安による輸出バブルの崩壊で、日本のGDPは潜在成長率よりもやや低い水準に落ちたと考えられます。財政出動によって短期的な経済効果は得られるにせよ、それは需要の先食いでしかありません。
いま求められているのは、バラマキ財政出動ではなく、潜在成長率そのものを引き上げる施策(規制緩和や税制改正)なのです。

不況になるとモノが売れなくなりますから、物価が下がります。そうなると企業収益を圧迫して、今度は賃金が下がります。賃金が下がると人々は消費を控えるので、ますます物価を下げざるをえません。これがデフレスパイラルです。
物価が下がると、それだけ貨幣の価値が上がります。これと逆の現象がインフレです。
実質金利=名目金利−物価上昇率

デフレ下においては、ゼロ金利であっても物価が下がっているので、貨幣価値は上昇しています。しかし政策金利をゼロより下げることは出来ないので、この状況でいくら貨幣を供給しても、投資や消費は増えません。金利が一定以下の水準になると金融政策が無効になることを、流動性の罠といいます。
人為的に経済をインフレに出来れば良いのですが、貨幣の需要が無限大となった状況で、日銀が「今から○年間インフレにします」と宣言しても、人々にインフレ期待を起こせるかは疑問です。
そこで浮かび上がってくるのが、マイナス金利というアイデアです。その起源はシルヴィオ・ゲゼルが提唱した、時間とともに価値の減額する貨幣にあります。現代の技術をもってすれば、電子マネーを用いて、プラスでもマイナスでも自由に金利を付ける事が可能です。
電子マネーでマイナス金利にするアイデアは、岩村充氏の『貨幣の経済学』を参照。


本書の主張は、池田信夫BLOGの読者にはおなじみのものです。
タイトルの「希望を捨てる…」とは、決して悲観的な意味ではありません。
最後までお読みになればわかります。

(11月15日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
ニッポンに希望はあるか(前編)
現代の予言者
発覚!あるある大利権
日本のメディアは杉林
2011年、テレビをまだ見てますか


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:04| Comment(25) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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