2010年03月28日

空に太陽がある限り

フランスの思想家ジョルジュ・バタイユは、人間は過剰なエネルギーを蕩尽する存在であると説き、そのエネルギーの源は太陽であるとしました。
太陽は原子核融合反応によって、膨大なエネルギーを生み出しています。そして地球に生命が暮らせる温度環境をもたらし、光合成のもととなる光を供給しています。太古の植物から生成された化石エネルギーもまた、太陽の産物です。



太陽の科学

太陽は人類にとって最も身近な星であり、広大な宇宙においてはありふれた平均的な恒星です。
本書は太陽の構造に始まってブラックホールに至るまで、最新の宇宙研究の成果が紹介されています。いきなり、文系人間には想像もつかない単位の数字がズラリと並びますが、理系読者にはちょうどいい難易度でしょうか。

読んで面白いのは、やはり太陽が地球に及ぼす影響についてです。
太陽は常に激しく爆発しており、巨大なフレアが発生すると地球に被害をもたらします。1989年にカナダのケベック州で起こった大停電は、フレアによる磁気嵐が原因でした。
地磁気の変動で石油パイプラインが腐食したり、磁気嵐がヒトの血圧に影響するとした報告もあるようです。太陽の活動周期と文明の盛衰に因果関係を見出すのは、一種のトンデモ科学かとも思うのですが、根拠がないわけではなさそうです。

近年、太陽の黒点が100年に一度の少ない状態にあり、地球の寒冷化が心配されています。
地球温暖化の原因は太陽だとするのは天文学者・物理学者に多く、二酸化炭素が原因だとする気象学者とは対立関係にあります。
化石燃料の消費削減は、人類の重要な課題です。しかし現時点で、地球温暖化の原因が二酸化炭素であると結論することはできません。

太陽を知ることは宇宙全般を知ることであり、地球と人類の未来を考えることなのです。

(3月22日読了)★★★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
温暖化論議は冷静に(後編)
温暖化論議は冷静に(前編)
地球温暖化リテラシー
マルクスさんとマルサスさん
地球寒冷化に備えよ!
温暖化詐欺にご用心!(前編)
温暖化詐欺にご用心!(後編)
地球温暖化は繰り返す(前編)
地球温暖化は繰り返す(後編)
やっぱり宇宙は面白い
スーパースターBest20


ラベル:地球温暖化
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:45| Comment(19) | TrackBack(2) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月22日

サイエンスがいっぱい

奇妙なタイトルに、漫画チックな表紙(イラストはとり・みき)。
ちょっと手に取るのをためらわせる装丁ですが、内容紹介にあった「日本国憲法の過激な運用法」に興味を引かれて読んでみました。



サはサイエンスのサ

本書の元になったのは、雑誌『SFマガジン』に連載されている鹿野司のサイエンス・エッセイです。
「カラダを変えるサイエンス」「ココロを変えるサイエンス」「セカイを変えるサイエンス」「ミライを変えるサイエンス」の4章構成。
各章はさらに細かく分かれていますが、全く別のテーマを扱っていながら、つながっているように読めるのが本書の面白さ。
第1章の「カラダを変えるサイエンス」は、クローン人間から始まって、最後は新型インフルエンザの話題に。
第2章「ココロを変えるサイエンス」では、風の谷のナウシカと新世紀エヴァンゲリオンについて論じていたのが、宗教の起源やチンパンジーの知性へと展開していきます。

薀蓄満載のサイエンス漫談を楽しみながら、科学的な思考で世の中を見つめ直すことができます。クローン技術批判に対する疑問や、環境問題が倫理問題にすりかわっているという指摘には、大いに賛同。
ただ、期待していた「日本国憲法の過激な運用法」は、別にどうってことのない内容でした…

(3月21日読了)★★★★
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月21日

独裁者の本棚

読書は、人生に少なからぬ影響を与えます。
ドイツ第三帝国を率い、悪名高きホロコーストを引き起こしたアドルフ・ヒトラー。彼がどんな本を読んで、その思想を形成したのか。大いに興味が湧くところです。



ヒトラーの秘密図書館

ヒトラーは、学歴の低さに劣等感を抱いていました。政治家として恥ずかしくない知識を身に付けるべく、毎晩読書に励んでいたそうです。ヒトラーはまた、並外れた記憶力の持ち主だったと言います。
アメリカ議会図書館をはじめ、世界各地に眠るヒトラーの蔵書およそ1300冊。政治思想・反ユダヤ主義・軍事関連・オカルト科学など、彼の読書傾向は多岐に渡ります。そのなかには自動車王ヘンリー・フォードが書いた反ユダヤ主義本や、シルクロード探検家のスヴェン・ヘディンによるドイツ擁護論も含まれています。

ヒトラーを政治の世界へ導いたのは、国家社会主義運動の指導者で脚本家のディートリヒ・エッカートでした。ヒトラーに、反ユダヤ思想を刷り込んだ人物です。
エッカートは、ヒトラーの神秘性を高めるために写真撮影を禁止しました。また、政治家が女性の人気を得るには、独身でなければらないと考えていました。ヒトラーは生涯独身を貫き、エバ・ブラウンと正式に結婚したのは、二人が自殺する前日でした。

本書は単にヒトラーの蔵書を紹介するだけでなく、青年期から死に至るまでの、彼にまつわるエピソードを掘り下げています。
独裁者ヒトラーの素顔と、彼を生んだ当時の時代背景を読み解く一冊です。

(3月9日読了)★★★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
アーリア人って、誰のこと?


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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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