2010年07月26日

アジア恐竜時代の幕開け‐巨大恐竜の進化‐

以前予告しました福井県立恐竜博物館の特別展です。
混雑を避けて平日の午前中に行って参りました。
アジア恐竜時代の幕開け‐巨大恐竜の進化‐
平成22年7月9日〜11月7日
福井県立恐竜博物館

日本および中華人民共和国の竜脚類化石を中心とした展示です。
先にセミナーを聴いていたので、見どころは押さえてあります。
主な展示は、古竜脚類ルーフェンゴサウルスの実物全身骨格と立体的な実物頭骨、竜脚類マメンチサウルスとシュノサウルスの実物頭骨。特に保存状態の良い頭骨は、極めて稀だそうです。同時代の捕食者である獣脚類ヤンチュアノサウルスも、実物全身骨格が展示されています。
複製ではありますが、20世紀初頭に発掘されたエウへロプス、歯が真横に並んだニジェールサウルスの頭骨もあります。フクイティタンをはじめとする、日本産の竜脚類化石も展示。
特別展示室はスペースに限りがあるため、せっかくの実物全身骨格が、重なり合って見づらいのが残念でした。

開館10周年を記念して、常設展示もリニューアル。
リアルに動くティラノサウルスロボットが出現しました。
クリーニング中のカマラサウルスの化石も見ることが出来ます。

【写真】福井県立恐竜博物館特別展


ラベル:恐竜
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2010年07月25日

日本一有名な三姉妹

テレビのアナログ放送停止まで、1年を切りました。テレビはほとんど見ないので関係ありませんが(笑)、来年のNHK大河ドラマは『江‐姫たちの戦国‐』だそうです。
江(ごう)は、戦国一の美女として名高いお市と浅井長政の三女で、江戸幕府2代将軍・徳川秀忠の継室です。法号は崇源院。長男の家光は3代将軍、五女の和子は後水尾天皇の中宮(東福門院)となりました。織田・浅井両家の血を引き、将軍の母にして天皇の祖母でもあるという、稀代のスーパーセレブであります。

お市は織田信長の妹で、近江小谷城主の浅井長政に嫁ぎました。のちに夫・長政と兄・信長は決裂。小谷落城後は、越前北ノ庄城主となった柴田勝家の妻と再婚します。しかし勝家は羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)と対立し、夫とともに北ノ庄城で自害しました。遺された茶々・初・江の三姉妹は、父母の仇である秀吉の保護下に置かれることとなります。
長女の茶々は、秀吉の側室となり、淀殿の名で知られています。大坂夏の陣で、息子の秀頼とともに自害。人生で三度もの落城を経験する、波乱の生涯を閉じました。
次女の初は、若狭小浜藩初代藩主である京極高次の正室。京極氏は浅井氏の主家筋にあたり、初と高次はいとこ同士でもあります。豊臣方の姉と徳川方の妹を仲裁すべく、奔走しました。

福井県とゆかりの深い、お市と浅井三姉妹。7月25日、福井県郷土誌懇談会総会記念講演会が、福井県立図書館で開催されました。
『お市と浅井三姉妹の生涯』
太田浩司(滋賀県長浜市長浜城歴史博物館)

お市と長政の婚姻は、正確な時期がわかっていないのですが、永禄10年(1567)〜11年(1568)とする説があります。この頃、お市は21〜22歳。当時としてはかなりの晩婚です。また、兄の信長は既に美濃を平定しており、政略結婚としての重要度も薄れてしまいます。この婚儀は、織田側の一方的な持ち出しなのです。
講師の太田氏は、永禄4年(1561)婚姻説を唱えています。長政は以前、賢政と名乗っていましたが、これは当時の主君である六角義賢の一字を授かったものです。しかし、永禄4年からは長政の名を用いています。これは信長の一字であり、この頃には織田・浅井同盟が成立していたというのです。本日の講演で、最も興味深い部分でした。

太田氏は、戦国史の大家・小和田哲男氏とともに大河ドラマの時代考証に参加しているのですが、自説ではなく小和田説が採用されて非常に残念そうでした。
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2010年07月20日

推理しない探偵

俗世と隔絶した館や孤島、超自然的な事件や現象、歴史や因習にまつわる宿命など、ゴシック小説の流れを受け継ぐ本格ミステリ。
私が最初に読んだ新本格ムーブメントの作品は、島田荘司・綾辻行人・法月綸太郎の3氏が推薦する麻耶雄嵩のデビュー作『翼ある闇』でした。
『翼ある闇』では、京都近郊にある中世の古城のような館で、エラリー・クイーンの国名シリーズに見立てた連続殺人事件が発生し、事件を解決するはずの探偵まで殺されてしまいます。最後には、謎の老婦人は〇〇〇〇〇〇だった…というトンデモ歴史解釈まで飛び出す弾けっぷりです(ネタバレ自主規制)。

ミステリの探偵は大抵が素人ですが、時間に余裕のある人物でなくてはなりません。警察官が主役のミステリもありますが、現実の警察官が事件に対する義憤や好奇心で動くはずはありません。
探偵役に相応しいのは、暇な学生とか売れない作家とか、警視総監を兄に持つルポライターだったりします。あるいは、こんなお方とか…



麻耶雄嵩、5年ぶりの新作。
貴族探偵を自称するのは、口髭を蓄え、皇室御用達の店で誂えた高級スーツに身を包んだ、20代後半の青年。
「貴族は労働しない」がモットーで、事件を捜査するのは執事の山本、メイドの田中、運転手の佐藤。いつもの麻耶ならメルカトルだのわぴこだの珍名人物が続出するのですが、使用人たちは平民っぽさを強調するためか平凡な名前です。
自ら足を使って捜査しないで頭脳プレーに専念する、いわゆる安楽椅子探偵かと思いきや、推理を披露するのも探偵の使用人たち。なんと探偵でありながら推理すらしないのです。その間やることといったら、紅茶を飲みながら現場に居合わせた女性を口説くだけ。

本作には麻耶作品でおなじみの、古城のような洋館とか、奇妙な因習や複雑な血縁で結ばれた一族といった大仰な舞台設定はありません。
これは謎や推理よりも、貴族探偵というキャラクターを楽しむ小説ですね。あるいは、確信犯的バカミスか…(笑)

(7月19日読了)★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
本格ミステリとの出会い(前編)
Firefly
ラベル:麻耶雄嵩
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2010年07月19日

泰平の眠りを覚ます宇宙線

地球温暖化は、大気中の二酸化炭素の増加が原因であるとされています。その一方で太陽の活動、海流の変化、ミランコビッチ・サイクルなど、温室効果ガス以外の要因を挙げる科学者も少なくありません。

地球温暖化論争に関心のある方は、宇宙線が雲の生成に影響しているとする「スベンスマルク効果」をご存知でしょう。太陽活動が低下すると太陽風が弱まり、地球上に多くの宇宙線が飛来します。そうなると雲の生成量が増えて、太陽の光が地上に届くのを遮ることになるのです。
地球は寒冷化に向かうと主張する丸山茂徳の著書で、スベンスマルクの名を知った方は多いと思います。しかし残念なことに、これまで邦訳がありませんでした。



スベンスマルク、待望の初邦訳(原題は『The Chilling Stars』)。
横書きで理科系度高し。

ヘンリク・スベンスマルクは、デンマーク国立宇宙センターの太陽・気候研究センター所長。共著者のナイジェル・コールダーは、BBCの科学番組を手掛けるサイエンスライターです。
スベンスマルクの説は、地球温暖化懐疑論としてのみ語られている感がありますが、本来は地球の歴史全般の解明につながるスケールの大きなものです。

かつて地球は、赤道地帯をも含めた全域が氷に閉ざされた全球凍結(スノーボールアース)の状態にありました。その後も地球環境は激しい変動を繰り返し、生物の大量絶滅が何度も起こっています。
私たちの銀河系は星々が渦巻き状に連なっていますが、太陽系は銀河の渦巻きの腕を通過するたびに大量の宇宙線を浴びることになります。その周期は約1億4000万年です。
太陽系の近くで起こった超新星の爆発も、大量の宇宙線を放射します。もしかすると、地球に降り注いだ宇宙線が生物の遺伝子に変異をもたらし、著しい進化を促したのかもしれません。

地球温暖化は異常気象や海面上昇をもたらすとされ、科学の枠を超えて国際政治の問題として扱われてきました。
温暖化の原因が人為的な二酸化炭素の排出増加でなかったとしても、人類は化石燃料の消費を抑制すべきですし、大気中の二酸化炭素濃度が一方的に増え続けて良いわけではありません。
スベンスマルクの著作が地球温暖化論争から離れて、純粋に新しい科学のフロンティアとして読まれることを願います。

(7月12日読了)★★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
空に太陽がある限り
マルクスさんとマルサスさん
地球寒冷化に備えよ!
やっぱり宇宙は面白い
氷の世界
スーパースターBest20
ラベル:地球温暖化
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2010年07月18日

恐竜博士、来日。

7月18日、福井県立恐竜博物館の博物館セミナーへ行って参りました。
博物館では現在、開館10周年記念特別展「アジア恐竜時代の幕開け−巨大恐竜の進化−」を開催中(11月7日まで)。竜脚類の進化を中心とした展示です。
竜脚類は首と尾の長い巨大恐竜で、俗にカミナリ竜とも呼ばれます。
福井県立恐竜博物館
セミナーの演題も特別展と同じ「アジアの恐竜時代の幕開け」。三畳紀に現れた初期の恐竜である古竜脚類と、ジュラ紀中期から白亜紀にかけて繁栄した竜脚類との違いについて、詳細な解説がなされました。
竜脚類は四足歩行の巨大恐竜ですが、古竜脚類は二足歩行も四足歩行も出来たと考えられています。歯の生え方、上腕骨の長さの比率にも違いがあります。

特別展の見どころは、中華人民共和国でも見ることが出来ないというマメンチサウルスの実物頭骨化石、スウェーデン王国ウプサラ大学所蔵の中国産エウへロプス(一部実物)。
入館無料の第三日曜日とあって館内は混雑していたので、特別展は日を改めてゆっくり見ることにします。
当日は、世界的な恐竜研究者である中国科学院古脊椎動物古人類研究所の董枝明(ドン・チミン)先生が滞在中。たいへん気さくな方で「董先生!」と声を掛けると、ニッコリ笑って握手してくださいました。
ラベル:恐竜
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2010年07月11日

福井県発掘調査報告会

7月11日は第22回参議院議員通常選挙の投票日でありますが、その前に第25回福井県発掘調査報告会(会場:福井県立図書館)へ行って参りました。
平成21年度に発掘調査された遺跡のうち、報告されたのは以下の6遺跡。

小矢戸旗鉾遺跡(大野市)
弥生時代〜中世にかけての堀立柱建物跡。墨書土器、権状錘が出土し、役所の跡と考えられる。中世の層からは将棋の駒が出土。

石盛遺跡(福井市)
南北朝時代、新田義貞・脇屋義助が陣を構えた『太平記』に登場する石丸城の跡。当時の烏帽子が発掘された。旧堀と新堀があり、新堀は戦国時代の遺構。

興道寺廃寺(美浜町)
7〜8世紀の寺院の跡。8世紀に再建、創建時の基壇を削平して整地されている。古墳時代の集落も出土。

特別史跡・一乗谷朝倉氏遺跡(福井市)
戦国大名・朝倉氏の居城として有名。日本のガラス生産の空白期とされてきた、室町時代のガラス工房跡が発掘された。

国史跡・白山平泉寺旧境内(勝山市)
白山三馬場のひとつ。開祖は泰澄。48社36堂6000坊を数える中世の巨大宗教都市だったが、一向一揆との戦いに敗れ、焼失。門・塀を復元する予定。

敦賀町奉行所跡(敦賀市)
江戸時代には奉行所、明治時代には県庁・裁判所があった敦賀の中枢地域。下層からは戦国時代の遺構が見つかり、大谷吉継の敦賀城と考えられる。

出土品の展示もありました。
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2010年07月05日

空白の皇統

最初の天皇は誰なのか。皇統は本当に万世一系なのか。
天皇家のルーツをめぐる議論は尽きませんが、とりわけ問題となるのが第26代継体天皇の存在です。越前(あるいは近江)から擁立され、即位後20年間も大和の地に入らず、その系譜も詳らかでないことから、地方豪族による新王朝の樹立ではないかとする説があります。



第15代応神天皇5世の孫と称する、継体天皇。その主張が正しいとしても、先代の武烈天皇とは10親等も離れています。
しかしヲホド王(継体天皇)は、地方豪族でも傍系の王族でもなく、本家本元の正統なる王位の継承者であったと唱えるのが、前田晴人です。
応神と継体を結ぶ系譜は、記紀では空白となっていますが(『上宮記』逸文には記載)、そこに当てはまる人物を探し出すことによって、隠された王統譜を浮かび上がらせます。

継体天皇の祖先の系譜は、なぜ秘匿されたのか。それは重大な犯罪者だったからだといいます。
456年、第20代安康天皇が眉輪王に暗殺されました。眉輪王の父は、安康天皇に殺された大草香皇子。父の仇を討ったのです。とはいえ眉輪王は天皇を殺した犯罪者。彼を匿った円大臣(葛城円)ともども、皇位を継いだ雄略天皇によって攻め滅ぼされます。この眉輪王こそが、事績の伝わらない継体天皇の祖父(乎非王)ではないかというのです。

本書の提示する新説は、超大胆です。
応神・仁徳は架空の天皇であり、継体天皇の本当の祖先は応神天皇(ホムタワケ王)ではなくホムツワケ王で、彼こそが実質的な初代天皇だとしています。それ以前のヤマトに世襲の王家は存在せず、卑弥呼の邪馬台国のような「女王の国」であったと。
しかし、世代の異なる者同士の婚姻は不自然だとして、系図を組み替えるのはどうかと思います。一夫多妻が当たり前の時代、親子ほど年の離れた兄弟姉妹は、決して珍しくなかったでしょう。天武天皇と持統天皇(叔父と姪)という夫婦はありえないから、架空の天皇だったとでも言うのでしょうか。
大変興味深い説なのですが、強引さも目に付きます。

(7月4日読了)★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
日続き知らす可き王無し
ピンク石の秘密
天皇陵、発掘。
旧暦10月・出雲は神在月
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2010年07月02日

ミステリに中国人が登場したっていいじゃない

浦賀和宏(受賞時19歳)、西尾維新(同20歳)、佐藤友哉(同20歳)など若い作家を生み出してきた講談社のメフィスト賞。
最新(第44回)の受賞作『琅邪の鬼』を書いた丸山天寿は55歳、これまでで最年長の受賞者となりました。古書店主として豊富な読書量を誇り、日本人の起源を探るうちに構想に至ったという物語です。



秦の始皇帝の時代。
山東半島の港町・琅邪(ろうや)は、現世と異界の境と呼ばれていました。
琅邪の海上には、突然この世のものとは思えない浮島が出現するのですが、誰一人として島にたどり着いた者はいません。歴代の支配者も、この島には手を出そうとしませんでした。
ところが秦王政(始皇帝)は、神仙の島を我が物にしようと、琅邪の地へやって来たのです。秦王は方士の徐福に、不老不死の仙薬を手に入れるよう命じます。
琅邪には徐福の研究所と造船所が、秦の資金で建てられました。さらに秦王は、琅邪を12年間免税にしたのです。

徐福の研究所が出来てから、琅邪の町には多くの人々がやってきて賑やかになりましたが、おかげで犯罪も増えました。
琅邪の求盗(警察官)である希仁のもとへ、新興の大商人・西王から、屋敷に鬼が現れるとの相談が持ち込まれます。家人が知らぬ間に品物の位置が変わっており、斉の王室に伝わる「双龍の璧」が消えたのだと言います。璧とは「完璧」の語源となった宝物のことです。
支那の「鬼」は、人智を超えた不思議な現象全般を指します。その後も琅邪では、花嫁がいなくなったり、死者が甦ったり、屋敷が一晩で消失したりと、不可解な事件が続発。琅邪に災いをもたらす鬼の正体とは…


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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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