2010年07月19日

泰平の眠りを覚ます宇宙線

地球温暖化は、大気中の二酸化炭素の増加が原因であるとされています。その一方で太陽の活動、海流の変化、ミランコビッチ・サイクルなど、温室効果ガス以外の要因を挙げる科学者も少なくありません。

地球温暖化論争に関心のある方は、宇宙線が雲の生成に影響しているとする「スベンスマルク効果」をご存知でしょう。太陽活動が低下すると太陽風が弱まり、地球上に多くの宇宙線が飛来します。そうなると雲の生成量が増えて、太陽の光が地上に届くのを遮ることになるのです。
地球は寒冷化に向かうと主張する丸山茂徳の著書で、スベンスマルクの名を知った方は多いと思います。しかし残念なことに、これまで邦訳がありませんでした。



スベンスマルク、待望の初邦訳(原題は『The Chilling Stars』)。
横書きで理科系度高し。

ヘンリク・スベンスマルクは、デンマーク国立宇宙センターの太陽・気候研究センター所長。共著者のナイジェル・コールダーは、BBCの科学番組を手掛けるサイエンスライターです。
スベンスマルクの説は、地球温暖化懐疑論としてのみ語られている感がありますが、本来は地球の歴史全般の解明につながるスケールの大きなものです。

かつて地球は、赤道地帯をも含めた全域が氷に閉ざされた全球凍結(スノーボールアース)の状態にありました。その後も地球環境は激しい変動を繰り返し、生物の大量絶滅が何度も起こっています。
私たちの銀河系は星々が渦巻き状に連なっていますが、太陽系は銀河の渦巻きの腕を通過するたびに大量の宇宙線を浴びることになります。その周期は約1億4000万年です。
太陽系の近くで起こった超新星の爆発も、大量の宇宙線を放射します。もしかすると、地球に降り注いだ宇宙線が生物の遺伝子に変異をもたらし、著しい進化を促したのかもしれません。

地球温暖化は異常気象や海面上昇をもたらすとされ、科学の枠を超えて国際政治の問題として扱われてきました。
温暖化の原因が人為的な二酸化炭素の排出増加でなかったとしても、人類は化石燃料の消費を抑制すべきですし、大気中の二酸化炭素濃度が一方的に増え続けて良いわけではありません。
スベンスマルクの著作が地球温暖化論争から離れて、純粋に新しい科学のフロンティアとして読まれることを願います。

(7月12日読了)★★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
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ラベル:地球温暖化
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 13:55| Comment(4) | TrackBack(1) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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