2010年08月09日

資源大国ニッポン

小学生の頃、石油はあと数十年でなくなるとか、日本は石油の99.8%を輸入に頼っていると知って、とても不安になったのを覚えています。
しかし石油は太古の生物の死骸だといわれても、なかなかピンときませんでした。そこで石油無機生成説とか、日本海底には大油田があるとの異説を唱える書物に興味を引かれました。そうした読書歴からか、日本近海のメタンハイドレートや海底熱水鉱床の話題には強く反応します。



かつて地球は、パンゲアと呼ばれるひとつの大陸でした。
大陸移動のメカニズムとして考え出された、プレートテクトニクス理論。海底熱水鉱床は、プレートテクトニクスを検証する過程で発見されました。

海底熱水鉱床には豊富な金・銀をはじめ、銅・鉛・亜鉛といったベースメタル、ガリウムなどのレアメタルが含まれています。日本の排他的経済水域(EEZ)は世界第6位であり、有望な海底熱水鉱床がいくつも発見されています。日本が一転して資源大国となる可能性が出てきました。
いま世界は、熾烈な資源争奪競争を繰り広げています。しかしながら日本の海洋探査は、外国製の機器に頼っているのが現状です。

海底熱水鉱床の周辺にはチューブワーム、ユノハナガ二、コシオリエビなどの特異な深海生物が生息しています。そのため生態系を破壊しない開発の方法が必要となります(例えば、熱水生物が棲息しない活動を停止した鉱床から採掘する)。
本書では触れられていませんが、独特の生態系を形成する海底熱水鉱床は、最初の生命が誕生したエデンの園かもしれないのです。

本書には著者・飯笹幸吉が、海底熱水鉱床の探査に挑んだ苦難の日々が綴られるとともに、日本の資源戦略に対する危機感も滲ませています。
海底熱水鉱床を単なる資源としてではなく、純粋な人類の知的探求の対象として描くことも忘れていません。海底熱水鉱床は、地球と生命の歴史を解き明かす科学のフロンティアなのです。

(8月2日読了)★★★★ 

【不純文學交遊録・過去記事】
いつか石油が無くなる日
レアメタル・パニック
タフな奴ら。


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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