2010年08月17日

地球の危機か自由の危機か

2009年11月、英国イースト・アングリア大学の気候研究ユニットから、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のデータが捏造されていることを示唆するメールが流出しました(クライメイトゲート事件)。
地球温暖化そのものが陰謀だとは思いませんが、地球温暖化対策は自然科学の範疇を超えて、各国の政治的・経済的利害と密接に関わっています。そして地球温暖化対策が絶対の正義となってしまうと、それに対して疑問を呈することは非常に難しくなってきます。



ヴァーツラフ・クラウスはチェコ共和国第2代大統領(2003年より現職)であり、フリードリヒ・A・ハイエクやミルトン・フリードマンの自由主義思想を受け継ぐ経済学者でもあります。
第二次大戦後、社会主義体制となったチェコは、1989年のビロード革命で民主化を達成しました。自由が著しく制限された時代を体験したクラウスは、自然保護を絶対視する環境主義が、社会主義に代わって自由を脅かすことに危機感を表明しています。

経済学者であるクラウスは、環境主義者が掲げる予防原則に異を唱えます。すべての発電所を風力や太陽光に代えることが、エネルギー効率が良いわけではありません。環境対策は費用便益分析でなされるべきであり、未来への投資は割引率と時間選好によって決定すべきだとします。
環境主義による統制よりも、価格メカニズムや経済成長による技術革新が、環境問題を解決するとの主張です。

チェコの大気汚染は、社会主義時代よりも大幅に改善されました。だからといって市場原理に任せておけば環境問題が解決するとは思いませんが、イデオロギーが自由を危機に陥れるとのクラウスの警告は、環境問題に限らず肝に銘ずべきです。
宗教のもつ明確な特徴のひとつは、事実を突きつけらても信仰が揺るがないことだ
‐マイクル・クライトン


(8月9日読了)★★★★

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ラベル:地球温暖化
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:42| Comment(31) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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