2010年08月21日

誰もピラミッドを知らない

世界の七不思議を選ぶとなると、今でも筆頭に挙がるのがエジプトのピラミッド。
一般にピラミッドは王の墓だと考えられていますが、何のために作られたのか、どのような方法で建造されたのか、未だ多くの謎に包まれています。



エジプト学者・大城道則はこう言います。
ピラミッドは誰もが知っているが、ピラミッドが何であるかは誰も知らない。
歴史学・考古学には実証性が求められますが、ピラミッドの謎に挑むには、主観的な想像性と創造性を優先させて良いのかもしれません。

ピラミッドといえばギザの三大ピラミッド、とりわけケオプス王(クフ王)のものが有名です。しかし本書は、多くの出版物やTV番組でお馴染みの、クフ王のピラミッドの謎解きをするのではありません。
タイトル通り、ピラミッドの誕生に至る歴史の解明が主題であり、エジプト文明の黎明期から最初のピラミッドであるネチェリケト王(ジョセル王)の階段ピラミッドまでが本書の扱うタイムスパンです。

エジプト文明はナイル川周辺だけで成り立っていたのではなく、世界最初の文明圏であるメソポタミアをはじめ、北方の地中海世界、南方のヌビア地域、そして西方のサハラ砂漠から文化的影響を受けています。
サハラ砂漠周辺で見られる牛の図象は、古代エジプトの埋葬文化に大きく影響しているようです。当時のサハラ砂漠は、今と違って緑豊かな場所でした。
ピラミッド以前の古代エジプト史も、結構深いのです。

著者は、今年1月に亡くなったミステリ作家・北森鴻と親交がありました。彼が天に召されたのは、奇しくも本書が書き上がった日だったそうです。

(8月15日読了)★★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
古代エジプトの叡智
フィールドワークは死を招く


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 22:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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