2010年09月13日

食料自給率は、上げられない。

日本の食料自給率は約40%(カロリーベース)。
このままでは日本は食料危機に陥ると心配しているみなさん、自給率を上げる必要はありません。世界の食料は過剰生産気味で、世界食料危機が起こる可能性は極めて低くなっています。さらに日本の食料輸入先は先進国であり、政治的な理由で輸入がストップする可能性もほとんどありません。
そして…これ以上、食料自給率は上げられないのです。

「食料自給率」の罠

「食料自給率」の罠

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日本の食料自給率の低さが問題視されていますが、穀物自給率に至っては32%。
食料自給率の高い国は、穀物自給率の高い国であり、穀物の生産には広大な土地が必要です。人口密度が高く平地の少ない日本で、穀物を低コストで生産することは非常に困難です。
休耕田や耕作放棄地をフルに活用して小麦を自給しても、食料自給率は50%程度。トウモロコシや大豆を自給するには、さらに広大な土地が必要となります。
仮に小麦を自給しても、一戸あたりの農地が狭い日本の農家では採算が合いません。採算を合わせるとなると小麦の価格は国際価格の7倍にもなり、国民生活に大きな打撃を与えます。小麦の自給は、生産者も消費者も幸せにはしないのです。

日本の農業生産額は世界第五位ですが、それは決して農業の強さを示すものではありません。
農産物の輸出額から輸入額を引いた純輸出額で見ると、世界最強の農業国は、穀物自給率がわずか14%のオランダです。オランダは日本と同様に人口密度が高く、穀物の生産には不利なのですが、広い土地を必要とせず付加価値の高い農産物に特化しています。
日本に適しているのは、野菜や畜産(牛を除く)といった広い土地を必要としない農業、言い換えれば工業化しやすい農業です。

著者は『「食糧危機」をあおってはいけない』が話題となった川島博之。豊富なデータで、日本の農業の真実の姿を明らかにしています。これほどわかりやすい農業の本は、他にないでしょう。
数字ばかりでなく、日本人の土地への執着と政治の問題という、農業における「情」の部分に切り込んでいるのも本書の読みどころです。

(9月11日読了)★★★★★

【不純文学交遊録・過去記事】
食料自給率に騙されるな!(前編)
食料自給率に騙されるな!(後編)
食糧危機は、やってこない。
農政に「NO」を!(前編)
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ラベル:農業
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 16:28| Comment(4) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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