2010年09月16日

渡来民俗の謎

四方を海に囲まれた日本列島には、太古から多くの人々がやって来て、その痕跡を各地に残しています。
神話にはアメノヒボコやツヌガアラシトの伝説が語られ、応神天皇の御世に渡来した弓月君と阿智使主は、それぞれ秦氏と東漢氏の祖として大和朝廷に先進的な文物をもたらしました。

渡来の原郷

渡来の原郷

価格:2,310円(税込、送料別)



さて本書は、NPO法人ハヌルハウス主催「渡来文化と日本列島」で講演した3人が、意気投合して大韓民国の江陵端午祭を訪れ、そのレポートともに各人の研究テーマをまとめたものです。
前田速夫:新潮社『新潮』元編集長、白山信仰のルーツを探る民俗研究家。
前田憲二:日本や朝鮮半島の祭祀を記録する映画監督、ハヌルハウス代表理事。
川上隆志:岩波書店『へるめす』元編集長、現在は大学教授。渡来人(秦氏)を研究。

前田速夫の「白山信仰の謎と古代朝鮮」で興味深かったのは、日本にも殺牛祭祀があったこと。意富加羅国の王子ツヌガアラシトは「角がある人」で、牛の信仰との関係は深そうです。
江陵端午祭をはじめとする韓国の祭祀に詳しいのは、前田憲二の「朝鮮半島の呪術と霊魂観」。韓国の東海岸には、今でも世襲の巫女(ムダン)によるシャーマニズムが生きています。
川上隆志は「渡来文化と謎の民」で、江戸幕府の経済基盤を築いた大久保長安が、秦氏の末裔だと論じます。彼の出自は猿楽師であり、漂泊の芸能民は鉱山技術者だったのでしょうか。

面白い話なのですが、謎の渡来氏族・秦氏の正体は分からないまま…
なお、私は「なんでもかんでも朝鮮半島起源」説ではないので、誤解の無きようお願いします。

(9月12日読了)★★★

【不純文学交遊録・過去記事】
白いカミサマ


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 20:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 歴史・民俗交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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