2010年12月12日

世襲する探偵



奇妙な因習の残る人里離れた山村、複雑な血縁関係で結ばれた一族、そして風変わりな名探偵…これぞ麻耶雄嵩というべき作品。

隻眼の少女

隻眼の少女

価格:1,995円(税込、送料別)



1985年、冬。
信州の山奥にある栖苅(すがる)村を、自殺志願の大学生・種田静馬が訪れました。両親を凄惨な殺人事件で失った静馬は、死に場所を求めてこの村へやって来たのです。
村には千年以上昔、たびたび洪水を起こして村人を苦しめた龍を、娘が琴を弾いて退治したとの伝説があります。娘はスガル様と呼ばれ、村人の篤い信仰を集めてきました。その娘の子孫が、琴折(ことさき)家です。

スガル様が龍を退治した場所だとされる奇岩「龍ノ首」に静馬が腰掛けていると、下から若い女の声がしました。平安時代のような装束(水干)を身に付けた少女の名は、御陵みかげ。自ら探偵だと称します。
その二日後、龍ノ首で次代のスガル様を継ぐことになっていた琴折家の娘が、首を斬られた死体で発見されました。静馬はみかげとともに、事件の真相を探るべく琴折家に乗り込みます。そこでも新たな殺人が…

実は御陵みかげは二代目で、母もまた水干姿で左目が義眼の名探偵でした。
現代に生きるシャーマンのスガル様と、伝説の名探偵である御陵みかげ。どちらも女系の世襲というのが面白いですね。皇位継承問題を意識しているのでしょうか。

本作は、二部構成。
あれから18年経った2003年の冬、琴折家で再び連続殺人事件が発生します。
いかにも麻耶雄嵩らしい舞台設定で十分に楽しめましたが、サプライズ度はそれほどでも。種田静馬は、やはり名前の通りだったし…(笑)
しかし麻耶雄嵩ビギナーには、この結末は衝撃かも。

(11月23日読了)★★★★

【不純文学交遊録・過去記事】
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ラベル:麻耶雄嵩
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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