2011年02月27日

カリスマ・カマタリ

大化の改新でおなじみ藤原鎌足に始まり、平安時代には摂政・関白として我が世の春を謳歌した藤原氏。その血脈は現在に至るまで1400年も続いています。
日本の歴代総理大臣のうち、西園寺公望と近衛文麿は藤原氏の一門です(ちなみに家格は近衛家が上)。

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天智天皇の治世を支え、その功績で藤原の姓を賜った中臣鎌足。日本最大の氏族である藤原氏の始祖として、鎌足は神格化されました。
聖徳太子と並ぶ理想的な王権の輔佐役。
乙巳の変で蘇我入鹿を誅殺した武威の象徴。
維摩居士になぞらえられる世俗の仏教者。
また出生をめぐる逸話や、天智天皇(当時は中大兄皇子)と出会った蹴鞠のエピソードなど、彼の周囲は脚色で満ちています。

時代とともに増幅する、鎌足のイメージ。
本書は藤原鎌足を通して、歴史上の人物が神格化する過程を辿っています。いわば虚像としての藤原鎌足を分析した社会史・文化史の研究書です。政治家・藤原鎌足の実像や、大化の改新の謎を解き明かす本ではありません。
それはそれで十分に面白いのですが、やはり古代史の真相も気になりますね。

どうしても気になる「大化の改新」をめぐる謎
・中大兄皇子は、なぜ天皇になれなかったのか
・なぜ軽皇子が即位(孝徳天皇)したのか
・退位した皇極天皇は、なぜ重祚(再び即位)したのか
・皇族である中大兄皇子が、なぜ儀式に参列していないのか
・高貴な身分の中大兄皇子が、なぜ自ら暗殺の実行犯となったのか
・蘇我入鹿を暗殺した「韓人」とは誰のことか
・中大兄皇子の弟・大海人皇子が、全く関わっていない
・改新の詔には、当時まだ使われていなかった語彙がある
・大化の改新と同時に「天皇紀」「国紀」が焼失している
・大化の改新以外に、藤原鎌足の事績は不明…など

※蘇我入鹿暗殺事件は「乙巳の変」、その後に行われた政治改革が「大化の改新」です。

(2月27日読了)★★★★

【不純文学交遊録・過去記事】
教科書は変わる
黒幕は誰だ?


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2011年02月14日

前略、道の果てより。

国道といえば、きれいに舗装された複数車線の幹線道路というイメージがあります。
ところが日本全国に張り巡らされた国道のなかには、険しく曲がりくねっていて今にも崖下に落ちそうになる道路や、階段になっている道路(もちろんクルマは走れません!)、さらには川が流れている道路まであるのです。

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このような国道とは思えない過酷な道路を、酷道と呼ぶそうです。
前述の階段国道は、青森県の国道339号線にあります。
川が流れている道路とは、川の水深が浅いため橋を架けずに、そのまま道路が横切っているものです。洗い越しと呼ばれ、岐阜県の国道157号線、新潟県の国道352号線などに見られます。

道路の世界に酷道があるなら、鉄道の世界にも人の立ち入りを拒む秘境駅があります。
どちらも人里離れた山奥に多い点では共通していますが、酷道と秘境駅は意外と離れた場所にあります。鉄道は自動車ほど急勾配の坂を登れないからです。道路の勾配は%で表しますが、線路の勾配は‰です。

道路に鉄道、趣味の世界は幅広く奥が深いですが、本書の著者は仕事(本業は物書きではない)や家族サービスと両立しているそうです。
趣味と日常生活との間合いの取り方でも、参考になる一冊ではないでしょうか。

(2月7日読了)★★★★

【不純文学交遊録・過去記事】
その道路、必要ですか?
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 18:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 芸術・娯楽交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月13日

脳ドーピングの時代

動物実験によって驚異的な知能を獲得した、ネズミのアルジャーノン。知能に障害をもつ青年チャーリィは、この脳手術の被験者となることで、みるみる知能が向上します。
しかし彼は、これまで自分が周囲の人々から受けてきた仕打ちを知り、手術によって得られた知能はやがて失われることを悟るのでした。
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』中編1959年、長編1966年発表。


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受験シーズン真っ盛り。
スポーツの世界では、記録向上を狙って筋肉増強剤や興奮剤を用いるドーピングが禁止されています。では、試験の前に薬物を服用して集中力を高めたら、それは脳ドーピングと呼べるのではないでしょうか。

脳死は、果たしてヒトの死なのか。脳をスキャンして思考を解読できるようになったら、私たちのプライバシーは守られるのか。エンハンスメント(病気の治療のために開発された技術や医薬品)によって、知能を向上させることは許されるのか…
本書は最新の脳科学の動向を踏まえた、ニューロエシックス(脳神経倫理学)の入門書です。問題提起の書という感じで、正直言ってエンターテイメント性は皆無ですが、脳科学に関心のある読者なら、なにかしら興味を引かれる話題があるかと思います。

エンターテイメント性を求めるなら、マイケル・ガザニガ『脳の中の倫理』や、V.S.ラマチャンドラン『脳の中の幽霊』『脳の中の幽霊、ふたたび』が面白いですね。
ガザニガやラマチャンドランの議論は本書でも採り上げられており、本書の内容を理解するためには、彼らの著書を先に読んでおく必要があります。

(1月27日読了)★★★★

【不純文学交遊録・過去記事】
マイ脳リティ・リポート
ないものがあり、あるものがない。
ラベル:生命倫理
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2011年02月12日

この国のカタチ。(後編)

建国記念日に賛成であれ反対であれ、年に一度、2月11日は、この国のカタチを考える一日にしたいですね。
NHKの番組では、菅直人総理大臣が唱える「平成の開国」の是非を問うていました。
NHK 解説委員室双方向解説『どんな国を目指すのか?〜「平成の開国」の行方〜』
指導力がない、マニフェストが破綻しているなどと批判の多い菅総理ですが、中味はともかく「平成の開国」や「税と社会保障の一体改革」といった“この国のカタチ”を問う姿勢は、評価して良いと思います。少なくとも、日によってコロコロ発言が変わり、日米関係を壊しただけの鳩山由紀夫前総理よりはずっとマシです。
しかし、冒頭の挨拶から下を向いて原稿を読んでしまうのは、なんとかならないでしょうか…
(中華人民共和国の胡錦濤国家主席との会談)

巨額の財政赤字を抱える日本の国債の格付けが、とうとう引き下げられました。それでも長期金利が上昇しないのは、日本の消費税率が低い(増税による財政再建の余地がある)からでしょう。
ただし増税する前には、国会議員と国家公務員の給与削減はもちろん、高速道路の無料化、所得制限のない子供手当、農家の戸別所得補償といった無意味なバラマキを止めることが絶対条件です。
近い将来、消費税が10%になるのは必至でしょうが、生活必需品を非課税(または別税率)にするのは反対です。生活必需品と贅沢品の区別を、一体誰が決めるのでしょうか。二重の税率は、新たな利権の温床になるだけです。そもそも税制は、シンプルであることが第一。税制がシンプルになれば役所の仕事は減り、政治も経済も効率化されます。税の捕捉率も上がるでしょう。

消費税が10%になっても、食料価格を大幅に引き下げる方法があります。それは農林水産省を廃止することです。余計な農業保護がなくなれば、食料価格は下がり、財政支出を削減できます。これぞ最強の景気対策ではありませんか。
日本の食料自給率の低さ(カロリーベース40%)が問題にされますが、金額ベースでは70%あります。ただ、食料の安定供給が確保されているなら、自給率なんてどうでもいいです。
それでも不測の事態に備えて、コメだけは自給率100%を維持しても良いでしょう。専業農家に限ってなら、所得補償をしても良いと思います。それでも農林水産省は必要ありません。その仕事は経済産業省がすれば良いでしょう。
そもそも、これまで政府がやってきたことは農家の保護であって、農業の保護ではなかったと思います。「農家栄えて、農業滅びる」では本末転倒です。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加には、農業保護の立場から根強い反対があります。今朝のNHKの番組でも、農業と工業は違うとしてTPPに反対する視聴者の意見がありました。
農業とは、食料を生産する工業に他なりません。しかしながら、食は経済効率だけで語るべきものではなく、農業にノスタルジーを求める心情は理解できます。それならば、農薬や化学肥料を使わず、里山の風景を保全し、伝統的な農村社会の民俗を継承する農家を、農業としてではなく重要無形文化財として保護すれば良いのです。農業を神聖視する消費者は、どんなに高い作物でも買ってくれるでしょうから、税金を投入して保護する必要はないかもしれませんね(笑)
日本の高品質な農作物を輸出するチャンスとして、TPPへの参加を歓迎する農家もあります。TPPへの参加が良いのか、個別に二国間でFTA(自由貿易協定)を結ぶのが良いのかは、専門家の判断に任せます。

平成の開国によって、移民の受け入れの是非も問われるでしょう。
日本人でありながら反日的な言論人よりは、日本が好きで、日本語を話し、皇室の存在に理解を示す移民を、目の色・肌の色が違っても日本人として認めたいと思います。

【不純文学交遊録・過去記事】
この国のカタチ。(前編)

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2011年02月11日

この国のカタチ。(前編)

本日は、皇紀2671年の紀元節です。
紀元前660年、カムヤマトイワレヒコノミコトが、大和国橿原で天皇に即位した故事に基いています。

神武天皇は架空の人物だったかもしれませんし、実在したとしても、紀元前660年の即位に歴史学的・考古学的な裏付けはありません。しかしながら、私たちが日頃なにげなく使っている西暦にも科学的な根拠はありません。ナザレのイエスが生まれたのは紀元前4年です。世界中が納得できる科学的な暦を作るならば、ビッグバン紀元にするしかないでしょう。創造論者の猛反発は必至ですが(笑)。
日本の歴史を科学的に解明することは重要であり、建国記念日を批判するのは自由ですが、たとえ科学的根拠はなくとも、なんらかのカタチで国民が日本の歴史に思いを馳せる記念日はあるべきだと思います。

日本国の起源をめぐって避けて通れないのが、邪馬台国論争です。
私は歴史学で飯を食ってはいないので、邪馬台国が畿内でも九州でも(はたまた岩手県でも架空の国でも)構いませんが、3世紀の日本列島で一番大きな遺跡が邪馬台国であるとは限らないと考えています。
奈良県桜井市の箸墓古墳を卑弥呼の墓だとする説がありますが、やはり古代史の真相は古墳を調査しないと解らないでしょう。天皇陵でなくとも、陵墓参考地とされた古墳には立ち入ることができません。
発掘は、必然的に遺跡の破壊を伴います。ましてや天皇陵の発掘となれば、皇室の聖性を侵すものとして批判は避けられません。しかし、発掘しなくても出来る調査はあります。
宮内庁による陵墓指定には異論が多く、是非とも最新の歴史学の成果による見直しをお願いしたいものです。

その一方で私は、王権の聖性や祭祀の由来に、合理性や科学的な根拠は不要だと考えています。ですから仮に科学的調査の結果、皇室の祖先が渡来系だったり、皇位継承が万世一系でなかったりしても、私の皇室に対する敬意は変わりません。
つづく

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