2012年01月03日

午前零時のシンデレラ

これまでに読んだことがない新しい作家を開拓しよう!
そこで手に取ったのが、1980年代生まれの新鋭作家たちによる作品集。



『放課後探偵団』というタイトルから想像されるように、学園ミステリの競作です。
これから単行本デビューする予定の作家の卵さんもいます。
収録されているのは以下の5作。
似鳥 鶏 『お届け先には不思議を添えて』
鵜林伸也 『ボールがない』
相沢沙呼 『恋のおまじないのチンク・ア・チンク』
市井 豊 『横槍ワイン』
梓崎 優 『スプリング・ハズ・カム』

これは巧い!と思ったのは『恋のおまじないのチンク・ア・チンク』。
そして『スプリング・ハズ・カム』はラストシーンに胸が熱くなります。
この2作が気に入りました。

(7月30日読了)



そういうわけで、第19回鮎川哲也賞を受賞した相沢沙呼の『午前零時のサンドリヨン』でございます。
学校では無口で、いつもひとりぼっちの酉乃初。でもマジックを披露するときは、別人のように生き生きとしています。実は彼女、放課後はレストランバー「サンドリヨン」でマジシャンのアルバイトをしているのです。
そんな酉乃さんに一目惚れしてしまったのが、ポチこと須川君。酉乃さんのマジックの力を借りて、学園で起こった不思議な現象を解き明かそうとします。いわゆる日常の謎ミステリです。
謎解きの過程で浮かび上がる、高校生たちの微妙な人間関係。酉乃さんが名探偵のごとくサラリと事件を解決するのではなく、途中で大失態を演じてしまうのもいいですね。孤独を抱える酉乃さんに感情移入しながら読みました。
サンドリヨンとは、フランス語でシンデレラの意味です。

鮎川哲也賞の受賞作品は、巻末に選評が掲載されています。プロに選ばれる作品は概して一致しているのかと思いきや、4名の選考委員(笠井潔・北村薫・島田荘司・山田正紀)の意見が見事にバラバラなのが面白いですね。

(8月21日読了)★★★★



待望のシリーズ第2弾が『ロートケプシェン、こっちにおいで』。
『放課後探偵団』で既出の『恋のおまじないのチンク・ア・チンク』が収録されていて、連作ストーリーの一部を成しています。些細なきっかけから起こった女子生徒間のいじめがテーマ。なんとか彼女たちを仲直りさせようと、ポチ君が酉乃さんを巻き込んでお節介をやきます。
少しずつ酉乃さんとの距離を縮めようと画策するポチ君ですが、そこに割り込んでくる曲者が、酉乃さんとは幼馴染みの八反丸芹華。かつて酉乃さんをいじめたことがあり、それでいて彼女を一番理解しているのは自分だと主張する気の強い少女です。今後も八反丸さんが、物語を掻き回してくれそう。
このシリーズ、物語はポチ君の視点で進みますが、彼は重度の太腿フェチ。ちなみに作者は男性です。そうそう、ポチというニックネームの由来も気になりますね。
なお、ロートケプシェンとはドイツ語で赤ずきんのこと。

ミステリ作家にしてマジシャンといえば泡坂妻夫が有名ですが、相沢沙呼も自らマジックを嗜むことで知られています。

(12月12日読了)★★★★


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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