2005年12月11日

ないものがあり、あるものがない。

事故や病気で切断したはずの腕や脚が、存在しているかのように感じる、幻肢。この奇妙な現象は、人体の小宇宙・脳が演出しています。
ラマチャンドランは、脳の学習機能を利用し、幻肢患者を鏡を使って治療しました。



脳のなかの幽霊、ふたたび

人の顔が認識できない相貌失認(京極夏彦の作品にも登場しますが、ネタバレになるのでタイトルは伏せます)、自分の母親を見て母親になりすました偽者だと訴えるカプグラ症候群、いずれの患者も情緒的な問題はなく、これらの症状は脳の視覚のプロセスから生じています。
自分の左側にあるものを無視し、花の絵を描くと右半分だけに花びらのある絵になってしまう半側空間無視という症状もあります(なぜか葉っぱは両側にあるんですね・・・)。患者さんにはお気の毒ですが、視覚の欠損を研究することによって、人間の視覚のメカニズムがよく判るようになったのです。
人間の精神活動は、すべて脳内の化学反応である・・・なんて言い方をすると(特に文科系の方は)反発を憶える方もいらっしゃるでしょう。だからといって、芸術作品の価値が低下したり、人間から笑いや涙が失われたりするわけではありません。かく言う私も文学部出身であります。

(12月10日読了)

↓脳の不思議に魅せられた方は、こちらもどうぞ


脳のなかの幽霊



V.S.ラマチャンドラン著 / サンドラ・ブレイクスリー著 / 山下 篤子訳




posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:49| Comment(7) | TrackBack(0) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
脳の錯覚なのですかね?色々な症例がある事に驚きました!
以前テレビで熱湯が注がれたカップを水に変えて手にかけたら
皮膚が熱傷のように水ぶくれした映像を見たことがあります。
ただの水なのに火傷するのは脳が勝手に錯覚していると
説明してましたけど、信じられませんでしたね!今でも・・・
Posted by ambush at 2005年12月11日 20:36
ラマチャンドランが紹介する症例は、ホントに不思議なものばかり。脳のある箇所が損傷を受けただけで、世界の見え方がこんなにも変わってしまうのですね。
どれも、ミステリーのトリックに使えそう!
Posted by 管理人 at 2005年12月11日 21:42
この本は『日本一怖い! ブック・オブ・ザ・イヤー2006』(ロッキング・オン社・発行)で、山形浩生が褒めています。

http://www.rock-net.jp/book/book2006.html
Posted by おおくぼ at 2005年12月12日 02:05
ラマチャンドランの本は、センス・オブ・ワンダーな内容もさることながら、なんといっても読み易い!

私は『ダ・ヴィンチ』を毎号買っていますが、こちらのランキングは文芸書&コミックに偏っていて、人文社会系やサイエンス本は弱いですね。
『ダ・ヴィンチ』は、人気作家を芸能人のように扱うアイドル雑誌と言ってしまえばそれまでですが・・・
Posted by 管理人 at 2005年12月12日 12:52
たしかに『ダ・ヴィンチ』はそういう傾向がありますね。

でも、出版社は真剣に自社の本を宣伝すべきじゃないかと、思います。ネットは本の宣伝に、向いていると思うのですが・・・

私は現代思想関係の本を、たまに買いますが、本屋で直感で選びます。しかし、よくわからない内容が多いのが悲しいです。

以前、黒木玄という東北大学の数学者の掲示板で、現代思想批判が白熱していて、大変勉強になったのですが、今はそういうのが見当たりません。暗中模索ですね。
Posted by おおくぼ at 2005年12月13日 21:46
おおくぼ様のblogを「世の常識を疑う」激論の場にしちゃっては、いかがでしょうか?
でも、毎日が火事になって火消しが大変ですね(笑)
Posted by 管理人 at 2005年12月14日 12:52
「世の常識を疑う」激論の場は、大歓迎です。でも『反社会学講座』みたいな人気はありません。コメントはチョロチョロ状態です。
(>_<)
ブログの非常識さにかけては、自信があるのですが・・・。
自慢にならない。F(^^;)
よく人から、ひねくれ者扱いされます。
Posted by おおくぼ at 2005年12月15日 13:08
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