2006年05月05日

小説クオリア

文学を標榜しながら、紹介する本は小説よりも理科系本が多いという「看板に偽りあり」なBLOGとなっております(頭に「不純」と付いているからイイでしょ?)。
久しぶりに小説です。クオリアを提唱する脳科学者・茂木健一郎の初の小説作品『プロセス・アイ』。アイとは人工知能(AI)のことであり、私の「I」でもあります。


プロセス・アイ



茂木 健一郎著



アインシュタイン以来の天才と呼ばれる脳科学者タケシ・カワバタは、人間の自我の根源に迫る理論「プロセス・アイ」の発表目前に、謎の失踪を遂げます。
大学院で科学哲学を学んだグンジ・タカダは、経済はより上位レベルにある政治によって動くとする金融理論「スペラティブ」で莫大な利益を上げ、世界が注目する日本人となります。グンジは潤沢な資金をもとにクオリア研究所を立ち上げ、失踪したタケシはそこにいるとの噂が…
金融工学による政治変革を目論んだり、私設研究所を作ってまで人間の意識とは何かを探ったり、周囲からは誇大妄想症と呼ばれるグンジ。雑誌『ダ・ヴィンチ』のインタビューで茂木は、グンジを自らの理想人、ルネッサンス人のようにスケールの大きな日本人を描きたかったと述べています。
私も大風呂敷な議論は大好きなので、グンジのような登場人物は痛快でした。彼の行為の倫理的な是非は別として(ネタバレになるので、具体例は挙げません)。

「私」は人体のどこに存在するのか。本書にはクローン人間の話題も登場しますが、自分と同じ姿形をしたクローンが作られても、それは「私」ではありません。
では「私」とは、身体とは全く関係なく脳だけで作り出されるのでしょうか。
例えば、スリムな人と相撲取りでは地球の重力の感じ方が違うのではないのか。また、本書には全く触れられていませんが、免疫系も人体において自己と非自己を判別する大きな役割を担っています。
そんなことを考えながら読みました。

(5月5日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 22:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近、ヤマガタ先生の日記に茂木批判が書かれていました。

http://cruel.org/other/rumors.html

最近、人気タレント茂木先生が叩かれる傾向があって、茂木先生もイライラしておられるのでしょう。
Posted by おおくぼ at 2009年05月10日 16:33
本人が自称するしないに関わらず、テレビというメディアでの露出が多い人を、世間がタレントと呼ぶのは自然な習わしでしょう。
「タレント=才能」ですから、そう怒らなくても(笑)

茂木先生の「クオリア」について初めて読んだのは『脳+心+遺伝子サムシンググレート』だったと思いますが、どうもスッキリしませんでした。
ついでに村上和雄先生の「サムシンググレート」も、まともに人格神の存在を認めているようで、ついて行けません(笑)
Posted by 管理人 at 2009年05月11日 21:30
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