2006年10月09日

邪魅ハ魑魅乃類なり 妖邪の悪気なるべし

数々の難読漢字。
辞書のような、あの厚み。
読書の秋にふさわしい一冊…とは言っても、わが不純文學交遊界に読書の秋なんて言葉は存在しません。読書の365日です。実際には毎日は読んでいませんが(笑)


邪魅の雫



京極 夏彦著





邪魅の雫スペシャル映像

京極夏彦著作一覧

この先、ネタバレはございません
ただ、読了するまで一切の予備知識を入れたくない方は、ご注意ください。
昭和28年夏。江戸川、大磯、平塚で立て続けに起こった毒殺事件。
被害者は商社員の男、アパート住まいの女、女学生。共通しているのは青酸化合物による毒殺。しかし三人には、全く何の接点も見出せません。

まずは、巻末の参考文献を確認しました。
帝銀事件731部隊。凶器となった毒物は、何か曰くつきのモノのようです。

一方、財閥の御曹司である奇人探偵・榎木津礼二郎のもとに、お見合い話が持ち掛けられます。しかしなぜか、立て続けに破談。お相手の中には、毒殺事件の犠牲者もいました。

三件の毒殺事件は、同一犯による連続したものなのか。しかし、容疑者と目された者が次の犠牲者になります。止まらない連鎖的殺人事件…
全く無関係に見える事件が、複雑に絡み合う物語構造。京極夏彦の先行作品で思い出されるのは『絡新婦の理』です。
絡新婦の理』には、複雑な事象を織り込んだ網の中心に、すべてを操る蜘蛛がいました。
邪魅の雫』の物語はどこへ収斂するのでしょうか。
旧日本軍が開発した毒薬?榎木津財閥への妨害工作?
それとも、中心には何もないのか…

京極堂シリーズでおなじみなのは、古本屋で神主で拝み屋の中禅寺秋彦による妖怪をめぐる薀蓄ですが、今回のタイトルの邪魅については、邪悪な思念の化身というだけで何の解説もありません。その代わりといってはなんですが、伝説昔話歴史の違いをめぐる議論が楽しめました。

次作は『鵺の碑(ぬえのいしぶみ)』だそうです。

(10月9日読了)


ラベル:京極夏彦
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 22:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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