2006年12月04日

デフレ敗戦…

11月22日、2002年2月から始まった現在の景気拡大は、戦後最長だったいざなぎ景気(58ヶ月)を超えたと発表されました。
不況から脱したとされる、日本経済。しかしながら、この間の経済成長率は「いざなぎ」とは比較にならないほど低く、実感の全く伴わない景気回復となっています。また、大企業は高収益を上げているものの、その効果は家計にまで及んでいません。

平和に暮らす、戦争しない経済学




アメリカが2001年以降「テロとの戦い」に投じた戦費は4320億ドル
今でもイラクにかかる戦費は月に70億ドル
トマホークミサイルは一発3億円(←ここだけ円)

…など「経済学的に平和を守る」というサブ・タイトル通り、戦争にいかにコストが掛かるかが明かされます(ただし、短期的には戦争が利益を生むことも事実として併記されています)。
しかし本書の内容は、単に戦争のムダを指摘するにとどまらず、5年間続いた小泉政権への強烈な批判となっています。

長く続いたデフレ不況。その原因を森永卓郎は、小泉政権下で行われた不良債権処理が、アメリカのハゲタカ・ファンドを儲けさせるために行われたせいだと指摘します。
日本経済の回復には早急な不良債権処理が不可欠だと、アメリカに迫られた小泉政権。株式や不動産は外資ファンドに二束三文で買い叩かれ、利益が出るとあっさりと売り払われました。
こうして得られた利益が、アメリカの「テロとの戦い」の戦費に充てられたのかもしれません。
日本は、アメリカとの経済戦争に敗れたのです。

森永は日本経済復活へのファイナルアンサー で、現在は参議院議員の国際政治学者・舛添要一とともにインフレターゲット論を主張していました。
日銀が市場への資金の供給量を増やしていれば、デフレ不況はこんなに長引かなかったと、森永は言います。
日本をハゲタカ・ファンドに売った売国政治家に、愛国心を語る資格はあるのでしょうか。

(12月3日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】純ちゃんの不純な素顔


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 01:23| Comment(12) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本がアメリカの外圧に弱いことは事実ですが、ハゲタカ・ファンドが悪いとは思えません。もし悪いと言った場合は、日本の資本主義も同時に否定されると思います。これはライブドアや村上ファンドに対する批判も同じですけど。
資本主義を捨てて、社会主義国家を目指すなら分かりますけど。

勧善懲悪な時代劇のようには資本主義はできていないのです。そのことを森永氏には強くいいたいです。
Posted by おおくぼ at 2006年12月12日 01:04
おおくぼ様

ハゲタカファンドだろうが個人投資家だろうが、証券や不動産が安ければ買い漁り、利益が出るなら売り払う…それは資本主義の原則であり、私も非難すべきではないと思います。おそらく森永氏だってそうするはずです。

さて私が問題にしたいのは、森永氏が指摘するように、小泉政権が「日本をアメリカに売った」のかどうかです。
徹底した不良債権処理をブッシュ政権に約束した小泉政権は、さほど不良化していない債権までも処理対象として金融機関に吐き出させ、外資ファンドが買いやすいようにお膳立てした(アメリカのために意図的にデフレを長引かせた)、というのですが…
以前採り上げた栗本慎一郎氏と同じような立場ですね。
この一種陰謀論めいた「デフレ敗戦論」(←私が勝手に命名)は、果たして真実なのでしょうか?

バブル崩壊後、地価も株価も債権も下落(トリプル安)。モノが売れずに値下げをすると、利益が減るから給料も下がる。公定歩合はゼロ金利で、貸しても儲からないから貸し渋り。これって実はデフレじゃないの…デフレスパイラルなんて言葉が流布するずっと以前から、私はそう思っていました。
このままでは日本経済のパイは小さくなるばかり。こうなったら通貨量を増やして意図的にインフレを誘発するしかないのでは…経済学の素人である私は、単純にそう考えました。公的資金を導入して実際にいくらあるのか判らない不良債権を処理するよりも、経済をインフレに誘導して金回りを良くした方が、景気回復の早道ではないかと。
その後出てきたのが、インフレターゲット論でした。
経済学を学んだ、おおくぼ様。インフレターゲットって有効だったと思いますか?

Posted by 管理人 at 2006年12月12日 22:44
インフレターゲット論には賛成です。ちなみにポール・クルーグマンのインフレターゲット論をいち早く日本に紹介したのは山形浩生です。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%83%B3%E6%95%99%E6%8E%88%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%85%A5%E9%96%80-%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/4532192021/sr=1-1/qid=1165937664/ref=sr_1_1/250-9386451-0790665?ie=UTF8&s=books
また日銀が如何に無能かは、『エコノミトミシュラン』の方々の著作を参考にして下さい。ちなみに前総裁の速水氏は反インフレターゲット論者でした。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%B3-%E7%94%B0%E4%B8%AD-%E7%A7%80%E8%87%A3/dp/4872337956/sr=11-1/qid=1165937531/ref=sr_11_1/249-7072985-3440352

>「私が問題にしたいのは、森永氏が指摘するように、小泉政権が「日本をアメリカに売った」のかどうかです。」

これについては、日本はアメリカの外圧に弱いとだけ答えときます。

参考
http://www.amazon.co.jp/%E6%8B%92%E5%90%A6%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%E6%97%A5%E6%9C%AC-%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%94%B9%E9%80%A0%E3%81%8C%E9%80%B2%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%84%E3%82%8B-%E9%96%A2%E5%B2%A1-%E8%8B%B1%E4%B9%8B/dp/4166603760/sr=11-1/qid=1165937378/ref=sr_11_1/249-5218816-4586717
Posted by おおくぼ at 2006年12月13日 00:36
fujunさん、こんにちは。ちょっと足元からコメント。
景気回復感とは「企業収益が増えれば個人所得も増える」ことが大前提ですが、これが完全に崩壊してますね。かつて収益分配率は、欧米では企業:社員=3:7、日本では4:6で、この1割差も退職金や福利厚生代とされてきましたが、今では実質5:5くらいでしょうか。また税的徴収も「5公5民」感覚ですね。つまり個人の実質取り分は1/4。私は、この国は今や「サラリーマン社会」ではなく「サラリースレイヴ社会」に突入したと思っています。「格差社会」といわれる所以ですね。更に経団連では「国際競争に勝つためにはまだ強化が必要」として、戦前の「欲しがりません勝つまでは」みたいなことを強要しています。
小泉政権のコンセプトは「小の虫を殺して大の虫を助ける」でした。さて安倍政権はというと、道路目的税の一般財源化にみるように「取り過ぎ分を自分の懐に入れる」ようなネコババ行為を働こうとしています。やはり「給与奴隷制」を目指すようですね。これが「資本主義」の究極かも知れません。
Posted by ペンタクロス at 2006年12月13日 09:57
おおくぼ様、ご回答ありがとうございます。

小泉純一郎・竹中平蔵両氏は、痛みに耐えて不良債権処理を推し進めたから今の景気回復があると言うでしょうが、私はインフレターゲット政策を採るべきだったと思っています。
インフレ抑制策としてのインフレターゲットは前例があるが、デフレ不況下でのインフレターゲットは効果が未知数であるとの批判がありました。しかし、過去に例のない大不況に陥ったのだから、過去に例のないことをやってみても良かったのでは。
現実の経済政策で実験なんかするな!ゲームじゃないんだ!…と、お叱りの声もあるでしょうが(笑)

陰謀と言えば、痴漢容疑で逮捕されたエコノミスト・植草一秀氏は、反竹中論者だから権力によってハメられたとの説を、何度か目にしたことがあります。だったら、反竹中論者でありマスコミ露出も多い森永卓郎氏は真っ先にハメられているはずですから、考えすぎでしょうね(笑)


ペンンタクロス様

ご指摘のように、戦後最長の景気上昇に全く実感が伴わないのは、成長率の低さもさることながら、企業収益は過去最高なのにサラリーマンの給与は逆に減少しているという、労働分配率の低さですね。個人消費が回復しなければ、企業の成長も続かないと思いますが。
(グローバル企業は輸出と為替差益で儲かれば、人口減少社会の日本市場なんてどうだっていいのでしょうか?)
経済とは「経世済民=世の中を経営して民を救済する」であることを、忘れてはなりませんね。
民の生の声を聞く場であるはずのタウンミーティングが、金を使ったヤラセだったと報道されておりますが、この税金のムダ遣いに安倍総理はどう始末をつけるのでしょうか。
Posted by 管理人 at 2006年12月13日 22:39
昨日、発売の『SAPIO 新年合併号』に経済学者の野口旭(エノミスト・ミシュランの執筆者の一人)が、インフレ・ターゲットを導入すべき、という文章を書いています。立ち読みでいいですから、是非一読を。

ところで、植草元教授は痴漢騒動は別としても、ダメな学者です。
Posted by おおくぼ at 2006年12月14日 01:47
おおくぼ様

『SAPIO』の情報、ありがとうございます。
Blogを公開していて一番良いことは、いろいろな方から情報収集ができることですね。
インフレターゲット論の本家が、ポール・クルーグマンだというのも知らなかったです。
年間自殺者3万人は、小泉政権の経済失政の証に他ならないと思っています。
Posted by 管理人 at 2006年12月14日 12:54
おおくぼ様ご紹介の『SAPIO』合併号を読みました。
野口氏が言うように、現在30歳前後のニート世代をどう処遇するかは、大きな問題だと思います。
日本は核について「議論もさせず」の非核四原則だと指摘する、小林よしのり氏の『ゴー宣』も面白かったです。
私の場合はタカ派の方々とは違って、「憲法9条を護るための核武装」論ですが。
Posted by 管理人 at 2006年12月19日 21:50
小林よしのりは面白いし、アタマがいいです。私は小林よしのり説に賛成はしませんが、日本のインテリの弱点を鋭く突いているのが痛快です。

ところで雑誌「サイゾー」の宮台と宮崎のM・M対談が終わりました。そしてネット上でもやっていた駄目ジャーナリストの神保と宮台との対談が始まりました。
相手に合わせるのが得意で教養のある宮崎先生を評価していたので、残念です。私は宮台氏より宮崎氏の方が現実を捉える能力が格段と優れていると思っています。

宮台真司は浅田彰と同じく、飛び抜けた大秀才なんですけど、政治オンチのような気がします。
Posted by おおくぼ at 2006年12月23日 21:17
おおくぼ様

雑誌って、タイトルは変わらなくとも編集方針が変わって、全く別物になってしまうことがよくありますね。
クルマ雑誌『NAVI』の編集長が代わり、浅田彰・田中康夫対談や笠井潔の連載がなくなってから読まなくなりました。
私は、高価な服を着て高級外車を乗り回しながらマルクスを語る鈴木正文に何の思想的共感も感じませんが、面白い雑誌は素直に面白いと認めます。
私がマルクス主義を全く受け付けなかったのは、小さい頃に図鑑を読んでいて、アメリカと拮抗する宇宙ロケットや兵器を保有するはずの旧ソ連のクルマが余りにも古臭くカッコ悪かったので、「この国はおかしい」と子供ながらに感じたからでした。
Posted by 管理人 at 2006年12月24日 00:58
ソ連時代の映画を観て、社会主義国家は素晴らしい(笑)と思いました。鈴木編集長は矢作俊彦の小説のモデルになってますね。

私は社会主義国家はクレイジーだから好きなんですけど・・・。

官僚国家はクレイジーになるのは必然なのです。日本も社会主義に汚染されてるのでは??(笑)。
Posted by おおくぼ at 2006年12月24日 16:56
おおくぼ様がお好きなのは、社会主義国家のクレイジーさ?
それとも、クレイジーな社会主義国家?
前者を笑うのは楽しいですけど、後者はちょっと…(笑)
ググっても「天安門」が出てこなかったり、政府批判をしたら銃殺されるような国には住みたくないですね。

日本は「会社主義」でしょうか(笑)
民間企業社員も官僚も含めて…
Posted by 管理人 at 2006年12月24日 18:09
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