2007年04月08日

レアメタル・パニック

昨年(2006年)は原油価格が高騰し、日本国内はちょっとした騒ぎとなりました。
イラン情勢の先行き不透明さや中国・インドの急激な経済成長など要因は多々あげられますが、石油が枯渇に直面したわけではありません。
しかし、埋蔵量が極めて少なく産出国も限られており、そのうえ日本経済の中枢への影響がはかりしれない資源があります。レアメタル(希少金属)です。

レアメタルは、製品の小型化・軽量化・高性能化・省エネルギー化に欠かせない素材です。

液晶パネルには、インジウム
デジタルカメラのレンズには、タンタル
リチウムイオン電池には、コバルト
高性能モーターの磁石には、希土類(レアアース)。

レアメタルには、その名の通り埋蔵量そのものが希少な金属から、埋蔵量はあるが需要が限られている(先進国のハイテク産業にのみ用いられる)ために採掘コストが高いもの、産出国の政策や急激な経済発展など人為的要因で希少となったものなどがあります。
レアメタルは産出国も、アフリカ・南米・旧共産圏など限られた地域に偏在しています。とりわけ一大産出国である中国の経済成長は、レアメタルの急激な高騰=レアメタル・パニックの最大の要因です。中国は資源の供給国から、巨大な消費国となりました。さらに鉱山開発による環境汚染や労働争議も、供給の不安定要因です。

日本のハイテク産業は、レアメタルなしには成り立ちません。
備蓄はもちろん、廃棄物のリサイクル(都市鉱山の開発)や代替素材の研究、中国への環境・省エネルギー技術の提供など、多角的な戦略が求められます。
またレアメタルの価格高騰は、採掘コストが採算に合わないとして見捨てられた日本国内の資源の開発に、再び目を向けるきっかけとなるかもしれません。

(4月2日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:13| Comment(4) | TrackBack(1) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このエントリは軍事学的な見地からも興味深いですね。
チタンやタングステンの戦略物資をどのように先進国が中国から
輸入しているのか、経済のシステムに疎すぎて常日頃疑問に思って
ます。
Posted by ambush at 2007年04月10日 21:33
ambush様

中国はレアメタルの輸出規制を強化したり、輸出資源税を課しています。
先進国が中国の安価な労働力を利用し、原材料を安く手に入れて、商品としての付加価値をさらってゆく構造に、対抗しているようです。
先進諸国が今後も中国からレアメタルの供給を受けるには、最終製品まで中国国内で生産することや、最先端技術の開示を求められることでしょう。
成長著しい中国は、いずれ自らが資源の供給国から輸入国に転落することを見越して、自国内の資源を高く売り、アフリカ諸国に資源の輸入先を開拓しています。
外交に人権問題なんて条件を付けない中国は、独裁国家にとって素晴らしいお客様でしょう。
石油は無くなっても、天然ガスやメタンハイドレートで代用できますが、レアメタルはそうはいきません。
日本は中国一国頼りでなく、中央アジア諸国などの新たな輸入先開拓や、自国内の資源開発(日本近海の熱水鉱床は有望ではないでしょうか)が急務です。
Posted by 管理人 at 2007年04月11日 00:22
最近色々な経済誌でも2050年頃のレアメタル枯渇問題がクローズアップ
されているのを目の当たりにすると、対策の急務が現実味を帯びています。
新幹線の例もあるように、最先端技術の開示は日本の戦略ビジョンと
しては選択肢から除外するべきです。だとしたら、レアメタルの代替金属
の開発が急がれるところですが、ハードルは高いのでしょうね。

長期ビジョンとして、ここらへんは国策としてやってもらいたいところですが
税金投入のコンセンサスを得られるには、まだ時期尚早でしょうか?
Posted by ambush at 2007年04月18日 20:45
ambush様

著者・中村氏はレアメタル専門商社の経営者であり、海外の鉱山を買収したりレアメタル市場へ投資したりするコストは、その価値を考えれば安いものだと述べています(本書では具体的な金額も提示)。
レアメタルの持つ石油以上の重要性に国民が開眼し、政治を動かさねばなりません。
世界中の資源を猛烈な勢いで買い漁る中国に比べ、日本の策の無さには歯痒いばかりです…

資源産出国に対し、日本の先端技術の開示など出来るものではありません。
レアメタルの宝庫・中国に対しては、鉱山開発に伴う環境汚染を防止する技術の提供で、資源供給を優位に進めることですね。
中国の環境問題の改善は、黄砂や汚染物質の飛来(または海洋への流出)の減少、エネルギー消費の削減となり、国益さらには地球益にもつながります。

繰り返しになりますが、中央アジア諸国など輸入先の多角化や、代替素材の研究開発も必要です。
このままレアメタル市場の高騰が続けば、日本国内の資源の探索も採算がとれるようになるかもしれません。
Posted by 管理人 at 2007年04月19日 22:31
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