2007年05月03日

不確かな真実U

地球温暖化の危機が叫ばれる、現在。
北極や南極の氷がなくなるとか、太平洋の島国は海に沈むとか、センセーショナルな話題が先行しがちですが、真実はどうなっているのでしょうか。
地球温暖化問題を冷静に考えるには、現場の科学者がどう捉えているのかを調べてみることです。以前、『北極圏のサイエンス』をご紹介しましたが、今回は世界の最高峰・ヒマラヤからの報告です。



ヒマラヤと地球温暖化 中尾正義 著

ヒマラヤでは、実際に氷河の減退が観測されています。
ネパールの首都カトマンズでも、1960年代以降気温が上昇傾向にあります。ただし、これが地球規模の気候変動の影響であるとは言えません。都市化が進むカトマンズでは、ヒートアイランド現象であると見るのが妥当です。
ではヒマラヤの山岳地帯ではどうかというと、1970年代以降、地球規模の温暖化に同期するように気温の上昇傾向が見られます。氷河の融解も、気温上昇が促進している可能性は大きいようです。しかしヒマラヤでの温暖化の速度は、世界の他の地域(北半球の平均温暖化速度)よりもいくぶん緩やかです。

実はヒマラヤの氷河を融解させる大きな要因が、もうひとつあります。ヒマラヤの氷河には黒く汚れた部分があるのですが、これは氷上に生息する生物たちが生み出した有機物クリオコナイトです。これが氷河の融解を促進していたのです。生物が地球環境の変化に及ぼす影響の大きさを示す一例ですね。

氷河には冬雪型夏雪型があります。冬に降水量が多い地域では、冬の積雪で氷河が成長します。ヒマラヤの氷河は夏雪型です。しかし夏の雪は、ほんのわずかな気温の上昇で雨に変わります。夏雪型氷河は、地球温暖化に弱いのです。
ヒマラヤの氷河の衰退がすべて気温上昇によるものではないのですが、氷河の盛衰は気候の変化を鋭敏に反映する、地球環境のバロメーターであるといえます。

(4月30日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】 不確かな真実

さて、地球温暖化に関連して気になるニュースが。4月27日から始まったバイオガソリンの販売です。

バイオガソリンは、ガソリンに3%のバイオエタノールを配合しています。
バイオエタノールは植物から製造されるために、燃焼して排出されたCO2は温室効果ガス排出量として計上されません。この考え方をカーボンニュートラルといいます。植物は大気中の二酸化炭素を吸収して成長するため、植物を燃やしてCO2が大気中に放出されても、大気中の炭素の総量は変わらないとするのです。
だったら、石炭だって植物から生成されたのだからカーボンニュートラルでは?と思うのですが、あくまで現在の大気中の炭素量であって、過去の植物が取り込んだ炭素である石炭はそうではありません。
ただしバイオエタノールの場合も、燃焼して排出された炭素を次世代の植物が取り込まねば、カーボンニュートラルにはなりませんが…(トウモロコシを収穫したあとの畑が、荒地のままではダメですね)

しかし、また素朴な疑問。植物は二酸化炭素を吸収して酸素を放出すると学校で習いましたが、実際には植物も二酸化炭素を放出しています。植物を燃やしても常にCO2は排出超過にならないと、言い切れるのでしょうか?
また、バイオエタノールの製造過程で化石燃料を多く消費して、普通にガソリンを消費するよりも炭素排出量が増加することはないのでしょうか?
もっと差し迫った問題は、バイオエタノールの製造によって穀物価格が上昇していることです。本来食糧にまわすべき穀物を燃料にしてしまっては、貧困層の食卓に大打撃を与えます。
一年前、らくちんランプ管理人のスパイラルドラゴン様からいただいた御意見のように、バイオ燃料がアフリカやアマゾンなどの熱帯地方での生育に適した植物から製造できるならば、干ばつで放置された土地を緑化し、貧困地域の経済発展や雇用の促進につながります。
私には現在のバイオガソリンが、地球環境問題に貢献するとはとても思えないのです

【不純文學交遊録・過去記事】 ハイブリッドは世界を制すかのコメント欄をご参照ください。


ラベル:地球温暖化
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:39| Comment(13) | TrackBack(4) | 自然科学交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
温室効果について掲示板でグダグダと議論をしているのでいる者ですが、「二酸化炭素の増加」を気にする必要はないと思います。

では気候の変動に問題がないかというと、そうではないのです。

二酸化炭素が増える → 温室効果が強くなる

は別に悪いことではないのです。逆に温室効果が弱くなる減少が現実に起こっているのです。それは砂漠化です。

地球の昼と夜の温度差はだいたい10℃ぐらいです。これは温室効果の影響が大なのです。この温室効果が無ければ、月のようになります。

だから「平均温度の上昇という詭弁」が問題なのです。

例えば、昼25℃で夜25℃で平均温度25℃。そして夜0℃で昼50℃で平均温度25℃になります。二つは同じ25℃です。後者は極端な例ですが、これでは人間は耐えられません。

砂漠化は温室効果を弱らせる結果、昼と夜の温度差が広がるのです。
Posted by おおくぼ at 2007年05月08日 20:36
おおくぼ様

地球温暖化が日常会話に定着するとともに、世間では温室効果という現象が、なにか悪いもののように受け止められている気がしますね。私たち生命が地球上に存在できるのは、まさに温室効果のおかげなのに…
今回のおおくぼ様のコメントには、科学一般に対する世間の誤った理解への批判が込められていると感じました。
もちろん、温室効果が暴走(?)して金星のようになってしまっては、地球はヒトの棲める星ではありません。
クマムシなら生きてゆけるでしょうが(笑)

今回私は、カーボンニュートラルという詭弁(?)に対する素朴な疑問を書いてみました。
化石燃料だろうがバイオ燃料だろうが、燃焼して大気中に放出される炭素の量はプラスのはずです。
ただ、バイオ燃料は次世代の植物が再び炭素を回収するからプラマイゼロとみなすわけですね。つまり再生可能なエネルギーなら、(炭素を放出するだけの化石燃料と違い)カーボンニュートラルであると。
例えば木材は再生可能な資源ですが、だからといって伐採するだけで植林しなければ、森林が砂漠化するだけです。当たり前の話ですが、バイオ燃料も再生のサイクルが確立されて初めてカーボンニュートラルですよね。
私の認識、資源物理学的に間違っているでしょうか?
Posted by 管理人 at 2007年05月08日 23:16
私は資源物理学の専門でないので(笑)、なんの専門でもないですけど。一応、経済学の専門家の末席に座っているつもりですが・・・。

空中に炭素を放出すれば、増えるのは当たりまえです。でも、その形が問題です。二酸化炭素は無害ですが、一酸化炭素は有害です。酸素原子1つの違いで、人体に危機を及ぼす有毒ガスになります。

バイオ燃料については、資料が少ないのでコメントは控えます。

あと参考までに、地球温暖化のサイト紹介します。

http://env01.cool.ne.jp/index02.htm

↑ こちらの管理人とは金星の温室効果について、議論しました。

http://www.geocities.jp/obkdshiroshige/index.htm

↑ 漫画を使って描いているのですが、かなり専門的です。私の以前のブログにコメントをもらったことあります。
Posted by おおくぼ at 2007年05月09日 00:23
おおくぼ様

温室効果や二酸化炭素そのものは悪ではない…おっしゃることは解ります。

私が地球温暖化によってもたらされる現実的な脅威だと思うのは、熱帯性感染症の北上(沖縄でマラリアになる?)と、予想外の気候変動ですね。

ちなみに私は文学部(社会学科)出身です。薄く広くをモットーとし、専門は雑学ということにしておきます(笑)
学生時代に愛読したエコ本は、北村美遵『地球はほんとに危ないか?』と佐倉統『現代思想としての環境問題』です。
Posted by 管理人 at 2007年05月09日 21:59
私は松岡正剛さんにならって遊学といいたいです(笑)。基本はアマチュアでありたいです。アマチュアの語源は村上陽一郎先生の本を読んで下さい。

現実的な脅威はたくさんあります。まず戦争ですね。あと自由の許されない国での生活とか。
環境問題っぽい話に限定すると、原子力発電所、砂漠化ですね。大型高温焼却炉の焼却灰とか。

中国などの発展途上国は公害が酷いです。北京オリンピックは大丈夫か?大気汚染が酷いそうです。

マラリアは気にしてません。マラリアは澱んだ沼が原因です。原因となる蚊を全滅させるという方法もありますけど。

北村美遵は読んだことないです。『現代思想としての環境問題』は読みましたが、前半はいいのですが、後半がダメというか中途半端だと思いました。池田清彦先生の方がいいのでは?
佐倉氏は山形浩生と雑誌『インターコミュニケーション』で往復書簡を公開してました。真面目な方ですね。

あと武田邦彦の一連の本はオススメです。環境問題本で一番優れているのは、日垣隆の『それは違う!』(文春文庫)です。『世間のウソ』と併読すれば完璧かな?
Posted by おおくぼ at 2007年05月09日 22:50
おおくぼ様

私が最初にエコロジーという言葉を知ったのは、NHK現代の科学グループによる『ヒトの住む星 やさしいエコロジー入門』でした。昭和46年発行の古い本ですが、温室効果を解説した「炭酸ガスは敵か味方か」という今日的なテーマの章があります。当時は地球の寒冷化が懸念されており、大気汚染による日光の遮断が、炭酸ガス排出増による温室効果を上回ると予想していました。
そのものズバリ『冷えていく地球』(根元順吉)という本も持っています。こちらは昭和56年刊です。

私が身近で具体的なことよりも、地球の生態系システムやら宇宙の起源やらの大風呂敷なテーマ(誇大妄想ともいいます…)を好むのは、幼少時の読書体験にあるのかもしれません(笑)
Posted by 管理人 at 2007年05月10日 21:30
根本順吉さんやその息子さんの本(『砂漠化ってなんだろう』は持っています。

立花隆さんは、エコロジーをサブ・タイトルにしてましたね。1971年発行です。

http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/ekoroji.html

佐倉統先生の本にも書いてありますが、エコロジーは、もともとは生態学という意味で、環境保護運動という意味はありませんでした。ロジーは学問という意味なんで。
環境保護が話題になるのは、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』(1962年)ですね。

http://hb6.seikyou.ne.jp/home/JRCC/profile.html

宮沢賢治のSF童話『グスコーブドリの伝記』は火山を人工的に噴火させて、炭酸ガスを出すことにより、地球を温暖化するという話です。当時の日本の東北地方は、冷害に悩まされてました。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1924_14254.html

私の幼少期は、『ウルトラマン』や『仮面ライダー』などの影響が大きいです。だから悪の秘密結社の陰謀や宇宙人による地球侵略によって、人類が危機に陥るというテーマが大好きです。地下鉄サリン事件の某宗教教団も、その流れですね(笑)。
Posted by おおくぼ at 2007年05月10日 23:14
最近、こちらのブログはMAC用のインターネット・エクプローラーで接続できません。
Posted by おおくぼ at 2007年05月11日 22:18
おおくぼ様

初期のエコ本は「エコロジー」を本来の「生態学」の意味でしか使っていませんね。
時代が変われば「人類の危機」も変わります。
今の日本で「人類は何が原因で滅びると思いますか?」とアンケートをとると、きっと地球温暖化がトップになることでしょう。しかし少し前までは、氷河期の再来のほうが深刻な環境の危機として認識されていました。
冷戦時代には人類滅亡の最大の原因として、米ソ核戦争を挙げる人が圧倒的多数だったでしょう。そして近代以前の社会では、飢饉や感染症が人類最大の脅威だったはずです。

不謹慎かもしれませんが「人類の危機」というテーマは、恐ろしいと同時になぜかドキドキ・ワクワクさせるものがあります。
例の宗教団体の騒動のときも、犯罪に対する強い憤りを感じる一方で、なにか世の中がひっくり返るような不思議な高揚感があったことも事実です。
鈴木光司のベストセラー小説『リング』の中心人物・高山竜司は、将来の夢を「オレは人類の滅亡の瞬間に立ち会いたい…丘の上から人類の滅亡する光景を見物しながら大地に穴を掘り、その穴の中に何度も何度も射精すること」と語っています。
人類最期の日、自分の最期の日をどう迎えたいですか?
私は地球に巨大隕石が衝突して、一瞬のうちに全てが消滅するのがいいです。

追記;当方はWindowsですが「I.E.」「Netscape」「Firefox」のいずれでも正常に表示されております。MacI.E.で接続不調があるようでしたら、デフォルトHTMLに戻してみます。
Posted by 管理人 at 2007年05月11日 23:25
私はホラー映画好きなんで、「人類の危機」は何度も体験してます(笑)。小説の『リング』も好きですけど。
最近、『ヨハネ黙示録』はどう読まれてきたか?、という類の本を読んでいます。

私は人類の危機よりも、健康で長寿できることが望みです。でも歴史を勉強すればするほど、体験できる未来が短いことが悔やまれます。千年後の日本から見れば、今の日本はどう見えるのか気になります。
Posted by おおくぼ at 2007年05月12日 00:25
おおくぼ様

もしも生まれ変われるなら、私は神様になって、宇宙の始まりから生命の進化・文明の盛衰に至るまでを、まるで映画のように観てみたいです。そうすればビッグバンの瞬間や恐竜の絶滅理由、邪馬台国の所在地も一気に解明!(笑)

ラッパが鳴るたび人類に災厄が降りかかる「ヨハネ黙示録」といえば、苦ヨモギがチェルノブイリ原発事故を予言していたとの解釈で有名ですね。
Posted by 管理人 at 2007年05月12日 21:11
スパイラルドラゴンさんもバイオ燃料について、最近ブログに書いておられますね。

ところで神様になったら、宇宙の始まりは分かるのでしょうか? 神様が、この世界を作ったとすると、その神様は誰が作ったのでしょうか?

歴史書を書くということは、自分が神様になったつもりで、歴史を見るということです。だから歴史家は皆、神様なのです。そう考えると、偽史は正統な歴史書ということになります(笑)。

私は「ノストラダムスの大予言」研究家なので、予言は好きです。でもアルファベットの本で、ぶ厚い本は、丁寧調べると、現代の人名や地名がアナグラムとして簡単に発見できます。ゆえに、どんな予言も発見可能なのです。
Posted by おおくぼ at 2007年05月13日 22:55
おおくぼ様

私も「ビッグバンの前には何があったのか?」と以前に考えたことがあるのですが、時間も空間も物質も全てはビッグバンから始まったのであり、ビッグバン以前なるものは無いとするのが現代宇宙論のお約束のようです。
神様になったら宇宙の始まりを見られるかどうかは、わかりません(笑)
古代文明は異星人によってもたらされたとか、人類は異星人による遺伝子操作で進化したとか主張するトンデモさんには、「そのナントカ星人は、何星人から文明を教わったんだ?」と聞いてみたいです。
Posted by 管理人 at 2007年05月14日 02:38
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