2007年08月19日

ヴァーチャルな「わたし」

日本中にあまねく普及した、パソコンに携帯電話。身の回りのあらゆるモノがネットワークでつながる、ユビキタス(=あらゆるところに)社会が現実になろうとしています。

情報化で社会はどう変わり、情報化した「ウェブ社会」を個人はどう生きてゆけばよいのでしょうか。1976年生まれの若手社会学者・鈴木謙介氏が、ウェブ社会における「わたし」のゆくえを探ります。



ウェブ社会の思想

あらゆるモノがネットワークでつながるユビキタス化と、ネットワークが生み出すヴァーチャルな世界。
ヴァーチャルという言葉は「虚構・ニセモノ」という感じで使われることが多いですが、ヴァーチャルには「仮想の、虚像の」という意味のほかに「実質上の、本質の」という意味もあります。匿名のネット空間で演じられる「わたし」こそが、文字通り「わたし」の本質なのかもしれません。

インターネットを通じて誰もが世界に向かって発言することが可能となり、またあらゆる主義主張からの情報に接することが可能となりました。
そうなると地位低下せざるを得ないのが、世論を醸成し社会の木鐸としての役割を担ってきたマスメディアです。
「ネット右翼」という言葉がありますが、鈴木氏らが大学生にアンケートをとった結果、実際に若者の多くが右翼的な言説を支持しているわけではありませんでした。しかし「マスコミの報道は偏っていて信用できない」という設問に対しては、圧倒的多数が同意しています。
マスコミの報道は(親左派的だったり、資本関係や政治的利害に縛られ)偏向している、ネットのなかにこそ真実がある、と考える人々が生まれてきているのです。

マスメディアの公的な役割が失効した今、インターネットを通じた民主主義はありうるのでしょうか。
インターネットは、自分が得たい情報を見たいときにだけ見ることが出来ます。あらゆる人のあらゆる情報を自動集約していけば、取るに足らない情報は淘汰される…こう考える立場を鈴木氏は「数学的民主主義」と呼びます。
一方で、反対意見へのリンクを義務化したり、システムのなかに民主主義を強制するアーキテクチャを組み込むべきだとする立場を「工学的民主主義」と呼んでいます。

本書の論点は多岐に渡り、私がここで簡単にまとめることは出来ませんが、本書によっていま「ウェブ社会」で起こっていることを俯瞰することが出来ると思います。
例えばセキュリティとプライバシーの関係、オンラインゲーム「セカンドライフ」とポイント経済、ブログ炎上、グーグルアマゾンが描く未来像…など、興味をひくテーマが誰でもひとつはあるはずです。

(8月16日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 15:50| Comment(4) | TrackBack(3) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 はじめまして、お邪魔致します。
この度はブログピープルでのリンクを頂いてありがとうございます。
実はその事でひとつお願いがあるのですが、ブログピープルのリンクリストを表示しては頂けないでしょうか?
そうして頂けると助かるのですがお願いできますでしょうか?
どうぞご一考下さいますようにお願い致します。
突然にて失礼致しました。
 これからも素敵な書評を綴っていかれますよう、陰ながら応援させて頂きます。
Posted by 暖房 at 2007年08月25日 19:54
暖房様、いらっしゃいませ。

『BlogPeople』を使いこなせていませんので、表示の仕方がよくわかりませんが「レビュー」のスクリプトを貼ってみました。
あまりに評価が低くてかえってイメージダウンなら、削除するかもしれません(笑)

なお当方には作品の優劣や学術的真偽などの「書評」をする能力はありませんので、交遊した書籍の読みどころを(著者の意図を大きく外さない範囲で)「紹介」しております。

ただしコメント欄では大いに脱線しています!(笑)
Posted by 管理人 at 2007年08月26日 00:00
 ご丁寧にお返事頂きましてありがとうございます。
早速ですが、ブログピープルのリンクリストの表示の仕方は以下の通りですので、どうぞご参照に。

会員ログイン
→左の「表示形式の設定」を選択する。
→出たページの左上の「基本設定」と「詳細設定」を設定する。
(注・「10.リンクリストの出力形式と文字コード」の内の「文字コード」をこのブログに合わせて「EUC-JP」に変更する)
→ページ下の「コードの作成 / 更新」をクリックする。
→出たページの「コード生成」の所のスクリプトを全文コピーしてブログに書き込む。

 以上でございます。
ではお忙しい所をお邪魔致しました。
Posted by 暖房 at 2007年08月27日 18:54
暖房様

いろいろなスクリプト・ブログパーツがあるのですね。試してみます。

さて当Blogは確かに雑読の記録ではありますが、一貫したテーマがあるとすれば、それは「歴史」です。日本史・世界史はもとより生命の進化から宇宙のビッグバンに至るまで、すべての知は歴史学であるとの信念から、あらゆるモノゴトの(花や枝葉よりも)根っこの部分を見たいと思っています。

また当Blogは日記ではありませんので、基本的に何か読まなければ更新はいたしません。
更新頻度は極めて低いですが(笑)、ジャンル別ランキング日本一を目指します。
Posted by 管理人 at 2007年08月27日 23:05
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