2007年12月11日

究極のトリック

開設してまもなく3年となる『不純文學交遊録』。
不特定多数の書物と日々交遊していますが、当初はもっとミステリ小説(不純文学?)が多くなると思っていました。一時期、メフィスト賞作家の作品を多く読んでいたもので・・・

メフィスト賞の第36回受賞作は、深水黎一郎氏の『ウルチモ・トルッコ』です。
「ultimo trucco」とはイタリア語で「究極のトリック」を意味します。



ウルチモ・トルッコ犯人はあなただ!

小説家である私のもとに、一通の不審な手紙が届きます。
差出人の名は香坂誠一。私の記憶にない人物です。しかも手紙に住所は記されていません。
香坂は、ミステリ小説の世界には残された「最後の不可能トリック」があるといいます。

これまでミステリ小説は、数々の「意外な犯人」を提示してきました。
語り手が犯人、探偵が犯人、動物が犯人(犯獣?)・・・など。
そして過去の作品が未だ実現していない最後の不可能トリック、究極の「意外な犯人」とは・・・それは「読者が犯人」というものです。
「読者が犯人」というトリックを成立させるには、あらゆる読者に「自分が作品を読んだことによって登場人物が殺された」と思わせなければなりません。

究極のトリックを可能にするアイデアを持っていると語る、香坂。しかし彼は、自分には作品を書き上げる時間的・経済的な余裕はなく、しかも他人の目に晒せるような文章を書いたこともないというのです。
そこで香坂は、この究極のトリックを貴殿に売りたいと持ち掛けます。
トリックのアイデア料は一億円。
このトリックに命を賭けていると訴える、香坂誠一。実は何千万円もの借金を抱えているようです。しかし取り引きが目当てなのに、なぜか連絡先を一切明かしません。

彼の目的は何なのか?
そして究極のトリックの正体とは?

(以下、ネタバレはございません)

あなた(読者)を犯人に仕立てる「究極のトリック」。
「この手があったか!」と思わず膝を打つか。
それとも、怒りに震えて本を投げ捨てるか。
あなたはどう評価するでしょう。
私は終盤になって「ああ、そういうことね・・・」と、拍子抜けしました(笑)

(12月3日読了)

私がこれまで交遊したミステリ小説で、読了後に本を投げ出しそうになった究極のトンデモトリック作品は、小森健太朗氏の『ローウェル城の密室』です。
小森氏が16歳で書き上げ、史上最年少で江戸川乱歩賞候補作となった伝説的作品。探偵役「星の君」による密室講義が読みどころです。面白いですよ。
・・・でも、あの密室トリックは絶対に許せない(笑)



ローウェル城の密室


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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