2008年05月20日

千利休はキリシタン?

茶道には「濃茶」と「薄茶」があるそうです。
濃茶は、とろりと練った抹茶を数人で回し飲みします。
薄茶は、多目の湯で一人に一椀のお茶が点てられます。



白蛇の洗礼 高田崇史 著

茶道裏千家教授・大澤信郎の次男・祐二が、濃茶の席で変死しました。
茶席にいたのは6人。
・教授の大澤信郎
・主人(お茶を点てる人)、坂元美和
・正客(最初にお茶を飲む人)、龍河誠
・客、松江亜子
・客、神凪百合
・末客(最後にお茶を飲む人)、大澤祐二
そして水屋(茶室の台所)には、火渡祥子

祐二の死因は毒物によるものと見られますが、毒物は特定されませんでした。
濃茶の席なので、お茶は4人で回し飲みします。それなのに死亡したのは最後に飲んだ祐二ひとり。
また、お茶菓子は大きな器からそれぞれが取っており、菓子に毒物を混入して特定の人物を狙うことは不可能でした。

神凪百合は新興宗教「石神教」の幹部の娘、龍河誠も石神教の青年会長です。毒殺される直前、大澤祐二は石神教への勧誘を受けていました。
松江亜子はキリスト教系の新興宗教「曙光の会」のメンバーです。亜子は祐二と不倫関係にあり、当然ながら石神教への入信には強く反対していました。
また、松江亜子は千利休がキリシタンだったと考えており、否定派の龍河誠と論争しています。

その後、祐二を殺害した毒物は蛇毒であると鑑定されました。
石神教は白蛇をご本尊としています。さらに神凪百合は病院に勤務していることが判明。毒を盛ったのは彼女なのか…
医療業界誌の編集者・西田真規は、なぜか編集長から大澤家毒殺事件に首を突っ込むよう命じられました。西田はマンションの隣室に住む、長髪で無愛想な謎の男に助言を求めます。
隣人の名は御名形史紋、職業は「毒草師」。

(この先、未読の方はご注意ください)

毒草師・御名方史紋は「QEDシリーズ」の登場人物です。
歴史の謎の解明がメインで事件の推理は副次的な「QEDシリーズ」よりも、「毒草師」シリーズは万人向けのミステリとなっています。
本作『白蛇の洗礼』では、謎に包まれていた御名方史紋の素顔がいくらか明らかとなります。ただ、毒草師なる職業でどうやって生計を立てているのかは不明。大学や製薬会社からの(表立ってはできない)委託研究で、収入を得ているのでしょうか?

本作の帯のコピーは「千利休=キリシタン説が呼び覚ます、殺人の系譜」となっていますが、事件の背景としてはさして重要ではありません。
毒殺の方法についてはフィクションなので許しますが、漢字のなかにあるものが隠されているという結末は、与太話もほどほどにしておいたほうが良かったのでは…

(5月13日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
昔、毒ありけり


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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